【ITニュース解説】Java 24リリース――AIとポスト量子暗号をサポートする新機能をJavaOne 2025で紹介

Javaは、現代のIT社会を支える基盤技術の一つであり、スマートフォンアプリからWebアプリケーションのサーバーサイド、企業の基幹システム、さらにはIoTデバイスの制御に至るまで、その活躍の場は非常に幅広い。システムエンジニアを目指す人々にとって、Javaは必須とも言える重要なプログラミング言語であり、その進化の動向は常に注目すべき点だ。

2025年3月18日、Javaの開発元である米Oracle Corporationは、最新バージョンとなる「Java 24」をリリースした。この新たなリリースは、特に「人工知能（AI）」と「ポスト量子暗号」という、今日のIT業界における二つの重要な技術トレンドへの対応を強化する新機能を含んでいると発表された。これらの詳細な情報は、後日開催される「JavaOne 2025」というイベントで紹介される予定となっている。

まず、Java 24がAIサポートを強化するという点について解説する。近年、AI技術は私たちの社会に急速に浸透し、その応用範囲は日々拡大している。画像認識、自然言語処理、データ分析、レコメンデーションシステムなど、多岐にわたる分野でAIが活用されている。多くのAIモデルはPythonなどの言語で開発されることが多いが、それらを実際に大規模なシステムやサービスとして運用する際には、高い性能、安定性、そして既存のエンタープライズシステム（企業向けの巨大なシステム）との連携が求められる。ここでJavaの強みが発揮される。Javaは、高い信頼性とパフォーマンスが特徴であり、長年にわたり企業の基幹システム構築に利用されてきた実績がある。Java 24がAIサポートを強化するということは、Javaで開発された既存のシステムにAI機能をより容易に、かつ効率的に組み込めるようになることを意味する。例えば、機械学習モデルの推論、つまり学習済みのAIモデルを使って新たなデータから予測や判断を行う処理を、Javaアプリケーション内で高速かつ安定して実行するための新しいAPI（アプリケーションプログラミングインターフェース）が提供される可能性が高い。また、人気のAIライブラリやフレームワーク（AI開発を支援するツール群）との連携がよりスムーズになり、Java開発者がAIを活用したアプリケーションを迅速に、そして堅牢に開発できる環境が整うだろう。これにより、AI技術をビジネスに活用する動きがさらに加速し、Javaを基盤としたシステムがより高度な知能を持つことが期待される。

次に、ポスト量子暗号のサポートについて説明する。暗号技術は、私たちがインターネット上で安全に情報をやり取りしたり、大切なデータを保護したりするために不可欠な技術だ。オンラインバンキング、電子商取引、個人情報保護など、現代のデジタル社会は暗号技術の上に成り立っていると言える。しかし、近年、これまでの暗号技術の安全性を根底から揺るがしかねない「量子コンピュータ」の研究開発が急速に進んでいる。量子コンピュータは、現在のスーパーコンピュータでも解読に膨大な時間がかかるような複雑な計算問題を、驚くべき速さで解決する能力を持つと言われている。この能力は、現在のインターネットの安全性を支える主要な公開鍵暗号方式（例えばRSA暗号や楕円曲線暗号など）を、理論上、簡単に破ってしまう可能性を秘めている。もし量子コンピュータが実用化され、これらの暗号が解読されれば、私たちの個人情報、企業の秘密情報、国家の機密などが容易に漏洩する深刻な事態が起こりうる。

このような将来の脅威に備えるため、現在「ポスト量子暗号（PQC）」と呼ばれる新しい暗号技術の研究開発と標準化が進められている。これは、量子コンピュータが実用化されても解読が困難であるように設計された、次世代の暗号方式だ。Java 24がポスト量子暗号をサポートするということは、Javaのセキュリティ基盤が、これらの新しい暗号アルゴリズムに対応できるようになることを意味する。具体的には、Webサイトの安全な接続に使われるSSL/TLS（HTTPSの根幹技術）や、データの暗号化、デジタル署名といった、Javaが提供するセキュリティ機能が、ポスト量子暗号の仕組みを取り入れることで、将来の量子コンピュータによる攻撃にも耐えうる堅牢性を獲得するだろう。これにより、Javaで構築されたシステムは、金融機関、政府機関、医療機関など、特に高度なセキュリティと長期的なデータ保護が求められる分野において、今後も安心して利用され続けることが保証される。これは、将来のサイバーセキュリティ環境を見据えた、極めて戦略的かつ重要な対応であると言える。

これらの革新的な新機能が、JavaOne 2025という大規模なイベントで紹介される予定であることも注目すべき点だ。JavaOneは、世界中のJava開発者や企業が一堂に会し、Javaの最新動向、技術的な深い知見、そして未来の展望が共有される場である。ここでJava 24のAIサポート機能やポスト量子暗号機能が詳細に発表されることで、Java開発コミュニティ全体がこれらの最先端技術について学び、実際のシステム開発に取り入れるための具体的な情報やノウハウが提供される。これにより、Javaの進化がさらに加速し、より多くの開発者が最新の技術トレンドに対応した、安全でインテリジェントなアプリケーションを構築できるようになるだろう。

Javaは、その誕生以来、常に時代の変化に適応し、進化を続けてきたプログラミング言語だ。今回のJava 24のリリースは、JavaがAIや量子コンピュータといった最先端の技術動向にも積極的に対応し、未来を見据えていることを明確に示している。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このような技術の進化を深く理解し、それがなぜ重要なのかを把握することは、これからのキャリアを築く上で非常に大切な学習姿勢となる。Javaはこれからも、現代社会のITインフラを支え、未来の技術革新を実現していくための重要な役割を担い続けるに違いない。