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【ITニュース解説】Keeping secrets out of logs

2025年09月09日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「Keeping secrets out of logs」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

システム開発では、パスワード等の機密情報が誤ってログに記録される危険がある。情報漏洩を防ぐため、ログ出力時に機密データを自動で隠すフィルタ機能の導入や、ログに残さない設計が重要となる。これは基本的なセキュリティ対策である。

出典: Keeping secrets out of logs | Reddit /r/programming公開日:

ITニュース解説

システム開発において、プログラムがどのように動作しているかを記録する「ログ」は、非常に重要な役割を担う。システムの稼働中にエラーが発生した際、その原因を特定したり、ユーザーの利用状況を分析してサービスを改善したりするために、ログは不可欠な情報源となる。しかし、この便利なログの取り扱いには細心の注意が必要である。なぜなら、意図せずしてパスワードや個人情報といった極めて重要な「機密情報」が記録されてしまう危険性があるからだ。今回は、なぜこのような問題が起こるのか、そしてそれを防ぐためにはどうすれば良いのかを解説する。

まず、ここで言う「機密情報」とは具体的にどのようなものを指すのかを確認する。代表的なものには、ユーザーのパスワード、APIキーやアクセストークンといった他のサービスと連携するための認証情報、クレジットカード番号などの決済情報、そして氏名、住所、電話番号といった個人情報が含まれる。これらの情報が万が一外部に漏洩すれば、不正アクセス、なりすまし、金銭的被害、プライバシーの侵害といった深刻なセキュリティインシデントに直結する。したがって、これらの情報はシステム内で厳重に管理し、不必要に外部へ出力してはならない。

では、なぜこれらの機密情報がログに記録されてしまうのだろうか。多くの場合、開発者が悪意なく、むしろ開発の効率化のために行ったことが原因となる。例えば、開発中にプログラムの動作を確認するため、リクエストとして送られてきたデータや、処理中のオブジェクトの中身を丸ごとログに出力することがある。このとき、そのデータの中にパスワードやAPIキーが含まれていることに気づかないまま実装してしまうケースは少なくない。また、データベースへの接続失敗や外部APIとの通信エラーといった予期せぬエラーが発生した際、そのエラーメッセージに認証情報などの機密情報が含まれていることがある。このエラーメッセージをそのままログに記録してしまうと、結果的に機密情報がログファイルに残ってしまうことになる。さらに、利用しているWebフレームワークやライブラリが、デフォルトの設定で全てのリクエストパラメータをログに出力する仕様になっている場合もあり、知らず知らずのうちに機密情報を記録している可能性もある。

ログに機密情報が残ることのリスクは計り知れない。ログファイルは、開発者だけでなく、システムの運用担当者やカスタマーサポート、さらにはログデータを分析する外部ツールなど、様々な人やシステムからアクセスされる可能性がある。もし攻撃者が何らかの方法でサーバーに侵入した場合、ログファイルは機密情報をまとめて盗み出すための宝の山となり得る。一度ログに記録されてしまうと、そのファイルだけでなく、バックアップデータにも情報が残り続けるため、後から完全に削除することは非常に困難になる。また、GDPR(EU一般データ保護規則)や日本の個人情報保護法といった法令では、個人情報の厳格な管理が義務付けられており、ログへの記録は法令違反とみなされ、企業に多額の罰金が科されるリスクもある。

このような事態を防ぐために、システムエンジニアは開発の初期段階から対策を講じる必要がある。最も基本的な対策は「マスキング」である。これは、ログに出力する際に、パスワードやクレジットカード番号といった特定のキーワードが含まれるフィールドの値を、「*****」のような意味のない文字列に自動的に置き換える手法だ。多くのプログラミング言語で利用できるロギングライブラリには、こうしたマスキング機能が標準で備わっていることが多い。次に重要なのが、ログに出力する情報を厳選することである。デバッグのためにオブジェクトの内容をすべて出力するのではなく、問題解決に必要なユーザーIDや処理ID、処理結果など、安全な情報だけを意図的に選び出して出力する習慣をつけることが重要だ。また、使用しているフレームワークやライブラリのドキュメントをよく読み、ログ出力に関するデフォルト設定を必ず確認することも欠かせない。不要な情報が出力される設定になっていれば、それを無効化する設定変更を行う。チームで開発を進める際には、「コードレビュー」の仕組みを取り入れ、ログ出力処理に機密情報が含まれていないかをお互いにチェックすることも有効な対策となる。さらに、機密情報がソースコードに直接書き込まれていたり、ログに出力されたりする危険な箇所を自動で検出してくれる静的解析ツールを導入することも、セキュリティレベルを向上させる上で効果的である。

ログはシステムの健全性を保つための強力なツールであるが、その取り扱いを誤れば深刻なセキュリティリスクを生む諸刃の剣でもある。システム開発に携わる者は、たとえ初心者であっても、常にセキュリティを意識し、機密情報をログに残さないという基本原則を徹底する必要がある。安易なログ出力は避け、マスキングやフィルタリングといった技術的な対策を確実に実装し、フレームワークの仕様を理解した上で安全な設定を施すことが、信頼性の高いシステムを構築するための第一歩となる。これは単なる技術的な課題ではなく、ユーザーの信頼と安全を守るためのエンジニアとしての重要な責務である。

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