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【ITニュース解説】Building a License Plate Recognition System with Deep Learning and Edge Deployment

2025年09月11日に「Dev.to」が公開したITニュース「Building a License Plate Recognition System with Deep Learning and Edge Deployment」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

ディープラーニングと安価なエッジデバイスで、リアルタイムのナンバープレート認識システムを構築する方法を解説する。データ準備からモデル訓練、推論の最適化、NVIDIA Jetsonなどのエッジデバイスへのデプロイまで、具体的な手順を紹介。クラウド依存を抑え、遅延を最小限にすることで、駐車場管理や物流など多様な分野での活用が可能になる。

ITニュース解説

自動ナンバープレート認識(ALPR)システムは、これまで政府の交通監視カメラで使われる専門的な技術と見なされてきたが、現代のディープラーニング技術と低コストの小型デバイス(エッジデバイス)の発展により、状況は大きく変化した。今では、駐車場の管理会社から物流企業まで、多様な組織がリアルタイムでナンバープレートを検出・認識するシステムを自社で構築できるようになっている。

このシステムを構築する基本的な流れは、いくつかの段階に分けられる。まず、システムが学習するための画像を大量に集め、適切に準備する。次に、その準備したデータを使って、ナンバープレートを認識する人工知能(AI)モデルを訓練する。訓練が終わったら、そのモデルが小型デバイス上で効率良く動作するように最適化し、最終的にカメラの近くに配置するエッジデバイスに導入する。このシステムの目標は、クラウド環境にほとんど依存せず、カメラから送られてくる映像フレームを毎秒約30フレームという速さで処理することである。

ALPRシステムの構造は、主に三つの部分から構成される。第一に「画像キャプチャ」で、これはIPカメラやドライブレコーダーが映像を取り込む役割を果たす。第二に「検出と認識」で、ここでディープラーニングモデルが映像の中からナンバープレートを見つけ出し、そこに書かれた文字を読み取る。第三に「エッジデプロイメント」で、この検出と認識の処理を、カメラの近くに設置された小型のコンピュータで実行する。これにより、データのやり取りにかかる時間を短縮し、インターネットの帯域幅の消費を最小限に抑えることが可能になる。

モデルの学習に使うデータセットを準備する際には、OpenALPRのような公開データや、中国のCCPD、米国のLPRデータセットなど、特定の国や地域に特化したデータソースを利用する。これらの画像に対して、ナンバープレートの位置を四角い枠(バウンディングボックス)で囲む作業や、さらにナンバープレート内の各文字にもラベルを付ける「アノテーション」作業を行う。また、様々な明るさや天候条件下でもモデルが正しく機能するように、画像のリサイズ、色の正規化、明るさの調整、ぼかし、雨や雪などの効果の追加といった「データ拡張」を行うことで、モデルの汎用性を高める。

ALPRモデルの選択においては、二つの主要なコンポーネントが必要となる。一つは「ナンバープレート検出」の機能で、これは映像の中からナンバープレートそのものを見つけ出す役割を担う。YOLOv8やDetectron2といった高速な物体検出モデルがこの目的に適している。もう一つは「文字認識(OCR)」の機能で、検出されたナンバープレート内の文字を読み取る。CRNN(畳み込みリカレントニューラルネットワーク)や、より高い精度を持つTransformerベースのOCRモデルが使われることが多い。PaddleOCRのように、検出と認識の両方の機能を一つのモデルで提供する統合されたアーキテクチャを利用すると、システム構築のプロセスが簡素化される場合もある。

モデルの学習(トレーニング)は、PyTorchやTensorFlowといったディープラーニングのフレームワークを用いて行われる。学習の際には、モデルの挙動を左右する「ハイパーパラメータ」を適切に調整することが重要だ。例えば、一度に処理するデータ量であるバッチサイズは、使用するGPUのメモリ容量に合わせて設定し、学習の進行に合わせて学習の速度を調整する「学習率スケジューリング」は、ウォームリスタートなどの手法を使って効率的な学習を促す。モデルの性能を評価する指標としては、ナンバープレート検出にはmAP(平均適合率)を、文字認識には文字ごとの認識精度を用いる。特に、ナンバープレート検出の精度は、様々な天候や照明条件下でも95%以上を目標とすることが望ましい。

訓練したモデルを、NVIDIA JetsonやGoogle Coral、Raspberry Pi 4のような組み込み型のエッジデバイスで動かすためには、そのデバイスの限られた計算能力とメモリに合わせてモデルを「最適化」する必要がある。これを「エッジ最適化」と呼ぶ。具体的な手法としては、モデルのデータ形式をより小さい表現(例えばINT8やFP16といった「量子化」)に変換してモデルサイズを縮小したり、モデル内の不要な部分を削除する「プルーニング」を行ったりする。さらに、NVIDIA TensorRT、OpenVINO、ONNX Runtimeといった推論エンジンを利用して、モデルの実行速度を最大限に引き出す。この最適化のプロセスを繰り返し、目標とするフレームレート(例えば毎秒30フレーム)が達成できるまで性能評価を行う。

最終的な「デプロイメント」段階では、カメラから映像フレームを取り込み、最適化されたディープラーニングモデルを使ってナンバープレートの検出と文字認識を実行する。そして、読み取られたナンバープレートの番号と検出時刻の情報を、MQTTやRESTといった通信プロトコルを用いて、ローカルまたはクラウド上のデータベースに送信する。運用者がシステムの動作状況や検出された情報を確認できるように、軽量なユーザーインターフェース(UI)ダッシュボードも用意されるのが一般的だ。

ALPRシステムを運用する上で、「セキュリティとプライバシー」の考慮は非常に重要である。ナンバープレートのデータは個人情報に繋がり得るため、データが保存されている状態でも通信中であっても、TLSなどの技術を用いて暗号化する必要がある。また、データへのアクセスを厳しく管理し、データの保持期間に関する明確なポリシーを定めることで、GDPRやCCPAといった地域のプライバシー規制に準拠することが求められる。

将来的な機能強化としては、複数のカメラを使って車両の動きを追跡し分析する機能や、駐車場管理システムや支払いシステムとの連携、さらには盗難車リストとの照合によるリアルタイムでのアラート機能などが考えられる。

この技術の重要な点は、ディープラーニングとエッジデバイスの組み合わせによって、スタートアップ企業から大企業まで、あらゆる組織がALPRシステムを実用的に導入できるようになったことである。信頼性の高いシステムを構築するには、高品質なデータセットの準備、モデルの最適な調整、そして慎重な導入計画が不可欠だ。また、エッジデバイスでの処理は、生データを外部に送信する量を減らすことで通信コストを削減し、同時にユーザーのプライバシー保護にも貢献するという大きな利点を持つ。

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