【ITニュース解説】Native CSS carousels and positioning controls
2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Native CSS carousels and positioning controls」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
CSSの新機能`anchor-name`を使い、JavaScriptなしでスライドショーを実装する方法が紹介された。しかし、複数設置で不具合が起きるなど、Chromeの実験的機能ゆえの不安定さも指摘。実用には従来の技術での代替も一案だ。(120文字)
ITニュース解説
Webサイトでよく見かける、画像やコンテンツが横にスライドして切り替わる表示形式は「カルーセル」と呼ばれる。これまで、こうした動きのあるコンポーネントを実装するには、プログラミング言語であるJavaScriptを使用するのが一般的だった。しかし近年、ウェブページの見た目を定義する言語であるCSSの機能が大きく進化し、JavaScriptを使わずにCSSだけでカルーセルを実現しようとする新しい試みが登場している。これは、ページの読み込み速度を向上させたり、コードをよりシンプルにしたりするメリットが期待できるため、多くの開発者から注目されている。
このCSSによるカルーセル実装の中核となるのが、「アンカーポジショニング」という新しいレイアウト技術である。これは、特定の要素を「アンカー(錨)」として設定し、そのアンカーを基準にして別の要素の位置を決定する仕組みだ。具体的には、anchor-nameというプロパティで要素に名前を付け、その名前をposition-anchorプロパティで指定することで、二つの要素を関連付ける。これにより、例えばカルーセルのスライド表示エリアをアンカーとし、その左右に「前へ」「次へ」といった操作ボタンを正確に配置することが可能になる。
しかし、この新しい技術はまだ発展途上であり、実際の開発で利用するにはいくつかの課題が存在する。その一つが、anchor-nameの仕様に関する問題だ。このプロパティで指定する名前は、ウェブページ全体で一意である必要がある。これは、HTMLで要素に固有の識別子を与えるid属性が、一つのページ内で重複してはならないルールと似ている。そのため、anchor-nameを使って作られたカルーセルを同じページに複数設置しようとすると、名前が衝突してしまう。ブラウザは最後に読み込まれた要素のanchor-nameを有効とみなすため、結果として一つ目のカルーセルは意図通りに動作しなくなってしまうのだ。これは、同じ部品を繰り返し使って効率的にページを構築するコンポーネント設計において、大きな制約となる可能性がある。
さらに、要素の配置においても予期せぬ挙動が報告されている。CSSで要素のレイアウトを行う際、親要素にposition: relativeを指定し、その中の子要素にposition: absoluteを指定して自由な位置に配置する手法は、最も基本的で広く使われている。この手法を使い、カルーセルの操作ボタンを配置しようと試みたところ、期待通りに動作しないという問題が発生した。カルーセルの操作ボタンは、ブラウザが内部的に自動生成する特殊なパーツ(擬似要素)であり、こうした新しい要素と既存のCSSプロパティとの組み合わせが、まだ完全には安定していない可能性が示唆される。
このような最新技術がうまく機能しない状況において、開発者は別の解決策を見出す必要がある。今回この問題に直面した開発者は、floatという古くから使われているCSSのプロパティを利用して、ボタンを目的の位置に配置することに成功した。これは、必ずしも最新の技術が最善の解決策とは限らず、時には確立され、動作が保証されている既存の技術を選択する柔軟性が重要であることを示している。
この一連の出来事は、最先端のウェブ技術を扱う上で重要な教訓を含んでいる。新しいCSSの機能は非常に強力で、ウェブ制作の可能性を広げるものであるが、その多くはまだ実験的な段階にある。ブラウザによって対応状況が異なったり、今回のように他のCSS機能と組み合わせた際に予期せぬ不具合(バグ)が発生したりすることがある。特に、ブラウザがHTMLやCSSを解釈して画面に表示する「レンダリングエンジン」の実装が、まだ仕様に追いついていないケースも考えられる。したがって、システム開発の現場でこれらの新機能を採用する際には、その特性や制約、そして潜在的なリスクを十分に理解し、慎重なテストを重ねることが不可欠である。今後、これらの技術が成熟し、各種ブラウザで安定して利用できるようになれば、ウェブ開発の効率はさらに向上するだろう。