【ITニュース解説】Challenge to "Space Invaders from Scratch"
2025年09月28日に「Dev.to」が公開したITニュース「Challenge to "Space Invaders from Scratch"」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
フルスタックエンジニアMinmin55氏が、C++学習と英語力向上を兼ね、人気ゲーム「スペースインベーダー」をゼロから開発した。簡単なゲームループの構造やSDL2の基本、エンティティ管理を学び、読みやすく保守しやすいコードの重要性を実感。今後は敵の種類追加やスコア実装を計画している。
ITニュース解説
あるエンジニアが「ゼロから作るスペースインベーダー」というプロジェクトに挑戦した話を紹介する。このエンジニアはMinmin55と名乗る人物で、普段はWebサービス開発で使われるRailsやReactといった技術を専門とする、経験1年半のフルスタックエンジニアだ。フルスタックエンジニアとは、Webサービスのあらゆる部分、例えばユーザーが直接操作する画面の見た目や動きを作る「フロントエンド」から、データを管理したり処理を行う裏側のシステム「バックエンド」まで、幅広く開発できるエンジニアのことだ。
Minmin55氏は現在、C++というプログラミング言語を新たに学びつつ、同時に英語力も高めようと努力している。今回のゲーム開発は、その学習の一環として取り組んでいるもので、ニック・タシオスの「Space Invaders from Scratch(ゼロから作るスペースインベーダー)」というチュートリアルを参考にしている。既存のWeb開発スキルとは異なる、よりコンピューターの根幹に近い部分を操作するC++に挑戦することで、エンジニアとしての幅を広げようとしているのがわかる。
このゲーム開発の挑戦を通して、Minmin55氏はいくつかの重要なことを学んだと述べている。まず一つ目は、「シンプルなゲームループの構造」についてだ。ゲームループとは、ゲームが常に動き続けるための仕組みを指す。例えば、私たちがゲームをプレイしているとき、キャラクターが動いたり、敵が出現したり、弾が飛んだり、画面が切り替わったりと、常に何かが起こっている。これらはすべて、ゲームが「入力(コントローラーの操作など)を検知し、ゲーム内の状態を更新し、その結果を画面に描画する」という一連の処理を高速で何度も繰り返すことで実現されている。この繰り返し処理のサイクルこそがゲームループであり、あらゆるゲームの根幹をなす仕組みだ。これを理解することは、ゲームだけでなく、リアルタイムで動くあらゆるシステム開発において非常に役立つ基礎知識となる。
次に学んだのは、C++で「SDL2」というライブラリの基本的な使い方だ。SDL2は「Simple DirectMedia Layer」の略で、ゲームやマルチメディアアプリケーションの開発でよく使われるライブラリである。これを使うと、C++のようなプログラミング言語から、簡単にウィンドウを開いてそこに絵を描いたり、音を鳴らしたり、キーボードやマウスからの入力を受け取ったりといったことができるようになる。つまり、コンピューターのOSが提供する複雑な機能を、SDL2という橋渡し役を通して、プログラマーが扱いやすいようにしてくれるツールだと考えると良い。ゲームの画面にスペースインベーダーのドット絵を描いたり、爆発音を鳴らしたりするために、このようなライブラリが不可欠になるわけだ。
さらに、「エンティティ管理とレンダリング」についても学習した。ゲームにおいて「エンティティ」とは、ゲーム内に存在するキャラクターやアイテム、敵機や弾、背景オブジェクトなど、独立した存在として扱われるあらゆる要素を指す。これらのエンティティがゲーム内でどのような状態であるか(どこにいるか、どんな向きか、体力はどれくらいかなど)を管理し、それぞれのエンティティを適切なタイミングで画面に「レンダリング(描画)」することが、ゲーム画面を作る上で非常に重要になる。例えば、自機が移動したらその位置を更新し、画面の新しい場所に描画し直す。敵が爆発したら、爆発のアニメーションを描画するといった具合だ。これは、単に絵を描くだけでなく、ゲームの世界観を構成する要素を効率的に管理する、システム設計の基礎的な考え方につながる。
そして、エンジニアとして非常に重要な課題意識である「読みやすく、保守しやすいコードを書くことの難しさ」についても学んだと述べている。コードは一度書いたら終わりではなく、後から機能を追加したり、不具合を修正したり、他の人が理解して開発を引き継いだりする可能性がある。そのため、書かれたコードが誰にとっても分かりやすく、修正が容易であることは、プロジェクトを成功させる上で極めて重要となる。これは、プログラミング言語の知識だけでなく、設計の原則や命名規則、コメントの書き方など、幅広い視点と経験が求められるスキルだ。初心者にとって、動くコードを書くだけでなく、良いコードを書くことの重要性に気づけたことは大きな進歩と言えるだろう。
Minmin55氏はこの学習の成果を、GitHubのリポジトリとして公開している。「invader_game」という名前で公開されたこのコードは、実際にどのようにゲームが作られているのかを確認できる。GitHubは、プログラマーが自分の書いたコードをインターネット上で公開・共有したり、複数人で共同開発を進めたりするためのサービスだ。自分の成果を公開することは、他のエンジニアからのフィードバックを得たり、自身の学習履歴やスキルを示すポートフォリオになったりするため、エンジニアとしての成長に非常に有効な手段である。
今後の展望としては、いくつかの機能追加や改善を計画している。まず、「敵の種類を増やす」ことで、ゲームに多様性と戦略性をもたらすことを考えている。次に、「スコアシステムを実装する」ことで、プレイヤーの達成感を高め、ゲームをより競技性のあるものにする。また、「グラフィックとサウンドを改善する」ことで、視覚的・聴覚的な魅力を高め、ユーザー体験を向上させる狙いがある。さらに、ユーザーインターフェースを日本語に翻訳することで、より多くの日本のユーザーに親しみやすくすることも視野に入れている。将来的には、モバイル環境でも遊べるように「モバイルサポート」も検討しているようだ。これらの計画は、一度完成したシステムにさらなる価値を加え、ユーザーのニーズに応えるための継続的な改善サイクルを示している。
Minmin55氏のこの挑戦は、特定の技術領域にとどまらず、新しい技術や知識を積極的に学び、それを実践に移すことの重要性を私たちに示している。Web開発経験者が、これまでとは異なるC++のような低レベルな言語やゲーム開発に挑戦し、基本的な仕組みから応用的な課題まで、一つ一つ向き合っていくプロセスは、システムエンジニアを目指す初心者にとって、非常に良い手本となるだろう。単にプログラムが動けば良いという段階から、読みやすく保守しやすいコードを意識するようになること、そして成果物を公開し、さらに改善を続けていく姿勢は、プロのエンジニアとして成長していく上で不可欠な要素である。