【ITニュース解説】Vibe Coding with Elixir/Phoenix
2025年09月18日に「Dev.to」が公開したITニュース「Vibe Coding with Elixir/Phoenix」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AIエージェントを活用する「Vibe coding」を実践したスタートアップの事例。人手不足の中、GeminiやClaude CodeなどのAIがUI改善や新規サービス開発を自動化し、開発速度を約3倍に向上させた。リソースが限られる企業には有効だが、新人のキャッチアップが課題となる側面も指摘された。
ITニュース解説
あるスタートアップ企業では、4人のメンバーで多数のサービスを含む大規模なシステム開発に取り組んでおり、限られたリソースの中で開発速度の向上に課題を抱えていた。この企業は、開発の効率化を目指して様々な試行錯誤を重ねる中で、最新のAI技術「Vibe Coding」を導入した経験について語っている。
まず、同社はAIによるコード補完ツールであるCopilotのプレミアム版を利用していた。Copilotは、開発者がコードを書く際に適切なコードの候補を提示し、開発効率を10〜15%向上させる効果があったという。これは、従来のプログラミング言語の解析を行うLanguage Serverよりも、コード生成や提案の面で優れていると感じられた。
Vibe Codingへの関心は、大規模言語モデル(LLM)の技術が急速に進化し、コード生成の精度が飛躍的に向上したことに端を発している。数年前のLLMはElixirのような特定のプログラミング言語でのコーディングには限界があったが、その後の進歩によりAIを活用したVibe Codingという開発手法が注目を集めるようになったため、同社も自社のElixirとFlutterで構築されたプロジェクトにVibe Codingを導入することを決意した。
Vibe Codingの最初の試みとして、自社のWebサイト(ohhi.vn)のUI(ユーザーインターフェース)改善に取り組んだ。GoogleのLLMであるGeminiをベースにしたAIエージェントを構築し、複数のAIエージェントを協調させるためのMCPサーバーを設定した。このAIエージェントは、WebサイトのUIを全面的に刷新し、よりモダンで読みやすいデザインへと短時間で変更することに成功した。AIエージェントは、コードの変更だけでなく、テストの実行、データベースのマイグレーション、コードのコンパイル、さらには発生したバグの特定と修正まで自律的に行うことができた。時にはAIエージェントが誤った判断をして処理がループしてしまうこともあったが、開発者が小さな修正を加えることで、再びタスクを続行させることが可能であった。
次に、異なるLLMであるClaude CodeとGeminiの両方を試した。Claude CodeはZedという統合開発環境との連携が良好で、CLI(コマンドラインインターフェース)からの実行速度もGeminiより速いという利点があった。特にElixirでのコーディングにおいてはClaude Codeの方が優れていると感じられた。一方で、GeminiはAIエージェントが行った変更を追跡しやすいインターフェースを持ち、WebサイトのUIやHEEXテンプレート(ElixirのWebフレームワークPhoenixで使われるHTML生成テンプレート)の作業にはGeminiの方が適していると感じられた。
三度目の試みでは、Claude Codeを使用して新しいサービスを一から構築した。この際は、AIエージェントに全スクリプトを一度に実行させるのではなく、開発者がステップバイステップで指示を出し、進捗を容易に追跡できるようにした。新しいPhoenixプロジェクトを立ち上げ、TidewaveやUsageRulesといったツールを追加し、Zed IDEをこのリポジトリ用に設定した。この方法でAIエージェントを活用した結果、開発プロセスは従来の何倍も高速化されたと報告されている。Copilotのような単なるコード補完ツールを使う場合と比較して、少なくとも3倍の開発速度向上が見られたという。同社は今後、JidoというAI開発ツールを使って、他のタスクにも自社独自のAIエージェントを構築することを計画しており、ユーザーとアプリケーションの新しいインタラクション方法についても検討している。
Vibe Codingの導入にはコストも伴った。まず、ローカル環境でのLLM実行を試みたが、古いPCと2台のGPU(合計24GBのVRAM)で30Bパラメーター程度のLLMを動かすことはできたものの、新しいプロジェクトの骨組みを生成する程度には速いものの、同社の大規模なプロジェクトでは処理が遅すぎたため、最終的にはサードパーティのクラウドサービスを利用することになった。ローカルLLMを構築する場合には、より高性能な70BパラメーターのLLMがほとんどのタスクに十分であると見ている。クラウドサービスの費用について、Geminiは比較的高価であり、前述のWebサイトUI改善のタスクだけで約300ドルを費やした。これに対し、Claude CodeはGeminiよりも安価であった。また、他のAIプロバイダーも試したが、ベトナムでのサービスが制限されていたため、利用には至らなかった。
結論として、Vibe Codingは経験豊富な開発者にとって非常に有効であり、あらゆる企業が製品開発にかかるコストと時間を節約するのに役立つと述べられている。特にリソースが限られているスタートアップ企業にとっては、Vibe Codingから多くの恩恵を得られる。Vibe Codingは開発プロセスを根本的に変える可能性を秘めているが、新たな課題も生まれる。それは、システムに関する知識やスキルが未熟な新規メンバーが、急速に進むVibe Codingによる開発プロセスや、他のベテランメンバーの作業に追いつくのが難しいという点である。
同社がVibe Codingで利用した主な環境設定は以下の通りである。LLMとしてはGemini 2.5 ProとClaude Code Sonet 4を主に利用し、統合開発環境にはZed IDEを使っていた。ローカルLLMをホストするためにはLM Studioというツールを、AMD 3700Xプロセッサ、64GB RAM、2枚のNvidia 3060(それぞれ12GB VRAM)を搭載したPC上で運用した。開発用マシンとしてはMacbook Pro 14 M1 Pro(16GB RAM)が使われた。