【ITニュース解説】What Happens When You Type a URL in Your Browser?
2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「What Happens When You Type a URL in Your Browser?」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
ブラウザにURLを入力すると、DNSでサーバーのIPアドレスを特定し、TCP/TLSで安全な通信を確立する。次にHTTPでデータを要求し、サーバーから受け取ったHTMLやCSS等を解析・実行してページを画面に表示する。
ITニュース解説
私たちが日常的にブラウザのアドレスバーにURLを入力し、Enterキーを押すという単純な操作の裏側では、ウェブページが表示されるまでに極めて複雑で多段階のプロセスが実行されている。この一連の処理は、ネットワーク、セキュリティ、サーバー、そしてブラウザ内部のレンダリングエンジンといった、多岐にわたる技術が連携して成立している。システム開発の現場では、この裏側の仕組みを理解していることが、ウェブアプリケーションのパフォーマンス改善や問題解決の基礎となる。
まず、ブラウザは入力されたURLを解析し、その構成要素を分解することから始める。例えば「https://example.com/」というURLは、通信プロトコルである「https」、ドメイン名である「example.com」、そして特定のファイルやディレクトリを示すパスである「/」といった部分に分けられる。これにより、ブラウザはどのような通信ルールを用いて、どのサーバーにアクセスすればよいかを判断する。次に、ブラウザは通信相手のサーバーがインターネット上のどこに存在するのかを特定する必要がある。しかし、コンピュータは「example.com」のような人間が覚えやすいドメイン名ではなく、「93.184.216.34」のようなIPアドレスと呼ばれる数値の住所を使って通信を行う。このドメイン名をIPアドレスに変換する仕組みがDNS(Domain Name System)である。ブラウザはまず自身のキャッシュにIPアドレスの情報がないかを確認し、なければOSやインターネットサービスプロバイダが提供するDNSサーバーに問い合わせを行う。このDNS解決というプロセスを経て、目的のサーバーのIPアドレスを取得する。
IPアドレスが判明すると、ブラウザはサーバーとの間に実際のデータ通信を行うための経路を確立しようと試みる。この接続には、信頼性の高いデータ転送を保証するTCP(Transmission Control Protocol)というプロトコルが用いられる。接続を開始する際には、送信側と受信側が互いに通信可能であることを確認し合う「3ウェイハンドシェイク」と呼ばれる手順が実行され、これにより確実な通信路が確保される。さらに、URLのプロトコルがHTTPSであった場合、このTCP接続の上で通信内容を暗号化するための追加の手順が行われる。これがTLS(Transport Layer Security)ハンドシェイクである。このプロセスを通じて、ブラウザとサーバー間でやり取りされるすべてのデータが第三者によって傍受されたり改ざんされたりするのを防ぐ、安全な通信チャネルが確立される。
安全な通信路が確立されると、ブラウザはサーバーに対してウェブページのデータを要求するHTTPリクエストを送信する。最も一般的なリクエストは、特定のウェブページの内容を要求するGETリクエストである。このリクエストには、要求するリソースのパス、対象のホスト名、そしてリクエストを送信しているブラウザの種類を示すUser-Agentといった情報を含むヘッダーが含まれる。リクエストを受け取ったウェブサーバーは、その内容を解釈して処理を行う。サーバー側では、静的なHTMLファイルをそのまま返す場合もあれば、PHPやNode.jsといったプログラムを実行して動的にHTMLを生成する場合もある。処理が完了すると、サーバーはブラウザに対してHTTPレスポンスを返す。このレスポンスには、リクエストが成功したことを示す「200 OK」や、ページが見つからなかったことを示す「404 Not Found」などのステータスコード、コンテンツの種類やキャッシュのルールを指定するヘッダー、そしてウェブページの本体であるHTMLのデータが含まれている。
サーバーからHTMLデータを受け取ったブラウザは、それを画面に表示するための準備を始める。まず、HTMLのテキストデータを解析し、文書の構造をコンピュータが理解しやすいツリー状のデータ構造に変換する。これがDOM(Document Object Model)の構築である。HTMLの解析中に、CSSファイルへのリンクを発見すると、ブラウザは並行してそのCSSファイルもサーバーから取得する。取得したCSSも解析され、どの要素にどのようなスタイルを適用するかを定義したCSSOM(CSS Object Model)というツリー構造が構築される。次に、ブラウザは構造情報を持つDOMと、スタイル情報を持つCSSOMを統合し、実際に画面に表示される要素とそのスタイルをまとめたレンダーツリーを作成する。
レンダーツリーが構築された後、ブラウザは各要素が画面上のどこにどのくらいの大きさで配置されるべきかを計算するレイアウト処理を行う。そして、その計算結果に基づいて、画面のピクセルを実際に描画するペイント処理を実行する。ウェブページには、ユーザーの操作に応じて表示内容を変化させるような動的な機能を持たせるため、JavaScriptというプログラミング言語が使われることが多い。ブラウザはJavaScriptファイルもダウンロード・解析し、実行する。JavaScriptはDOMの構造を後から変更する能力を持つため、その実行によってレイアウトの再計算や再描画が発生することもある。また、HTMLやCSSの解析と並行して、ページ内で使用されている画像、フォント、動画などの追加リソースもサーバーから取得される。これらすべてのリソースの読み込みとスクリプトの実行が完了し、最終的な描画が終わると、ウェブページは完全に表示され、ユーザーが操作できる状態となる。このように、URL入力という一つのアクションを起点として、数多くのシステムが連携することで、私たちはウェブページを閲覧することができている。この一連の流れを把握することは、ウェブ開発におけるパフォーマンスの最適化やセキュリティの強化、そしてより良いユーザー体験の創出に不可欠な知識である。