Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

FHRP(エフエイチアールピー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

FHRP(エフエイチアールピー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

フォールトトレラントホットスタンバイプロトコル (フォールトトレラントホットスタンバイプロトコル)

英語表記

FHRP (エフエイチアールピー)

用語解説

FHRP(First Hop Redundancy Protocol)は、ネットワークの信頼性を高めるために非常に重要な技術である。システムエンジニアを目指す上で、FHRPの概念と具体的なプロトコルの理解は不可欠となる。

FHRPの概要は、ネットワークの出入り口となるルータが故障した場合でも、通信が途切れないようにする仕組みと理解すると良い。PCなどの端末は、インターネットなど外部のネットワークへ通信する際、必ずデフォルトゲートウェイと呼ばれるルータを介してデータを送信する。もしこのデフォルトゲートウェイとなるルータが故障してしまったら、そのルータを使っているすべての端末は外部と通信できなくなり、業務が停止してしまう可能性がある。このような、ネットワーク全体の停止につながる可能性がある一点を「単一障害点(Single Point Of Failure; SPOF)」と呼ぶ。FHRPは、この単一障害点を解消し、ネットワークの可用性(システムが継続して稼働し続けられる能力)を向上させるために考案された。具体的には、複数のルータを連携させ、仮想的に一つのルータとして振る舞わせることで、物理的なルータが故障しても、別のルータがその役割を引き継ぎ、通信を継続させることを可能にする。

FHRPの詳細な仕組みについて掘り下げてみよう。FHRPが提供する冗長化の核心は、仮想IPアドレスと仮想MACアドレスという概念にある。通常、PCなどの端末は、デフォルトゲートウェイのIPアドレスと、そのIPアドレスに対応する物理的なMACアドレスをARP(Address Resolution Protocol)というプロトコルを使って学習し、通信を行う。FHRPでは、複数の物理ルータ(例えば2台のルータ)が、共通の「仮想IPアドレス」と「仮想MACアドレス」を持つ。そして、これらのルータのうち一台が「アクティブ」または「マスター」として選ばれ、実際にこの仮想IPアドレスと仮想MACアドレスを使ってトラフィックを処理する役割を担う。もう一台のルータは「スタンバイ」または「バックアップ」として待機し、アクティブルータの状態を監視する。もしアクティブルータが故障したり、通信できなくなったりした場合、スタンバイルータが自動的にアクティブな役割を引き継ぎ、仮想IPアドレスと仮想MACアドレスを使って通信を再開する。この切り替えは非常に高速に行われるため、PCなどの端末側から見ると、デフォルトゲートウェイのIPアドレスやMACアドレスが変わることなく、通信が継続されているように見える。そのため、端末側で特別な設定変更を行う必要がなく、サービス中断を最小限に抑えることができる。

FHRPにはいくつかの主要なプロトコルが存在する。代表的なものとして、HSRP(Hot Standby Router Protocol)、VRRP(Virtual Router Redundancy Protocol)、そしてGLBP(Gateway Load Balancing Protocol)が挙げられる。

HSRPは、シスコシステムズ社が独自に開発したプロトコルで、最も広く利用されているFHRPプロトコルの一つである。HSRPでは、仮想ルータのIPアドレスとMACアドレスを共有する複数の物理ルータの中から、一台が「アクティブルータ」として選出され、実際のパケット転送を行う。残りのルータは「スタンバイルータ」となり、アクティブルータの稼働状況を監視する。アクティブルータの選出は、ルータに設定された「プライオリティ(優先度)」の値に基づいて行われ、数値が大きいルータが優先される。また、「プリエンプション」という機能を有効にすると、より高いプライオリティを持つルータが後からネットワークに接続された場合や、一度故障したアクティブルータが復旧した場合に、そのルータがアクティブな役割を奪い返すことが可能になる。HSRPは、ルータのインターフェースの状態や、ルーティングプロトコルの隣接関係なども監視する「トラッキング機能」を持っており、より詳細な障害検知とフェイルオーバーを実現できる。

VRRPは、HSRPと同様の機能を提供するが、IETF(Internet Engineering Task Force)によって標準化されたプロトコルであるため、様々なベンダーの機器で相互運用が可能である点が特徴だ。VRRPでは、仮想ルータの役割を「マスター」と「バックアップ」と呼ぶ。HSRPと同様に、マスターは仮想IPアドレスとMACアドレスを所有し、パケットを転送する。バックアップはマスターの状態を監視し、マスターに障害が発生した場合にその役割を引き継ぐ。VRRPもプライオリティ値によるマスター選出や、プリエンプション機能をサポートしている。標準プロトコルであるため、異なるベンダーのルータが混在する環境でも利用しやすい。

GLBPもシスコシステムズ社が独自に開発したプロトコルだが、HSRPやVRRPとは異なり、単なる冗長化だけでなく「ロードバランシング(負荷分散)」の機能も提供する点が最大の特徴である。HSRPやVRRPでは、通常、一台のアクティブルータがすべてのトラフィックを処理するため、スタンバイルータは待機状態となり、リソースが有効活用されない。GLBPでは、複数の物理ルータがそれぞれ異なる仮想MACアドレスを持つことができる。クライアントPCからのARP要求に対して、GLBPは複数の物理ルータの仮想MACアドレスを順番に返答することで、クライアントからのトラフィックを複数のルータに分散させ、ネットワークの帯域をより効率的に利用することが可能になる。これにより、冗長性を確保しつつ、ネットワークのパフォーマンスも向上させることができる。

これらのFHRPプロトコルは、それぞれ異なる特徴を持つが、最終的な目的はネットワークの信頼性を高め、サービスの中断を防ぐことにある。システムエンジニアとしては、これらのプロトコルの違いを理解し、ネットワークの要件や既存の機器構成に合わせて最適なFHRPソリューションを選択できる知識が求められる。FHRPは、今日の高可用性が求められるネットワーク環境において、その基盤を支える非常に重要な技術と言えるだろう。

関連コンテンツ

関連IT用語