【ITニュース解説】Prey 2006 project to create open-source FPS game port by integrating its codebase with Doom 3 GPL release

2006年に発売されたFPSゲーム「Prey」を、オープンソースの形で復活させようというプロジェクトが進行中だ。これは、オリジナルの「Prey」のコードを、同じくFPSゲームである「Doom 3」のソースコードと統合することで実現を目指すものだ。

まず、「Prey」について簡単に説明する。「Prey」は、宇宙を舞台にしたアクションゲームで、重力を操ったり、壁を歩いたりといったユニークなゲームプレイが特徴だった。しかし、権利関係などの問題から、長らく入手困難な状態が続いていた。

一方、「Doom 3」は、id Softwareが開発したFPSゲームで、2004年に発売された。特徴的なのは、そのソースコードがGPL（GNU General Public License）というライセンスで公開されている点だ。GPLは、ソフトウェアの自由な利用、改変、再配布を認めるオープンソースライセンスの一つ。

今回のプロジェクトは、「Prey」のコードを「Doom 3」のGPL公開されたソースコードに組み込むことで、「Prey」をオープンソース化し、誰でも自由に利用できるようにしようという試みだ。

なぜ「Doom 3」のソースコードを使うのか？ それは、両方のゲームがid Tech 4というゲームエンジンをベースにしているからだ。id Tech 4は、当時としては非常に高度なグラフィック表現を可能にするエンジンで、両ゲームの互換性を高める上で重要な役割を果たす。

このプロジェクトの技術的な課題はいくつかある。「Prey」のソースコードは完全には公開されていないため、残されたコードを解析し、「Doom 3」のエンジンに適合させる必要がある。また、「Prey」独自のゲームプレイ要素、例えば重力操作や壁歩きなどを、「Doom 3」のエンジン上で再現する必要がある。

プロジェクトの成功は、これらの技術的な課題を克服できるかにかかっている。しかし、もし成功すれば、「Prey」はオープンソースのFPSゲームとして新たな命を得ることになる。これは、ゲーム開発者やMod制作者にとって、貴重なリソースとなるだろう。自由にコードを改変したり、新しい要素を追加したりすることで、「Prey」の世界をさらに広げることができるからだ。

また、このプロジェクトは、過去のゲームをオープンソース化することで、そのゲームを未来に残すという意義も持つ。ゲーム業界では、古いゲームが権利関係や技術的な問題でプレイできなくなることが少なくない。しかし、オープンソース化することで、そのような問題を解決し、ゲームの歴史を後世に伝えることができる。

さらに、このプロジェクトは、システムエンジニアを目指す初心者にとっても、学ぶべき点が多い。

まず、既存のコードを解析し、理解する能力が求められる。これは、実際のシステム開発においても重要なスキルだ。既存のシステムを改修したり、新しいシステムに統合したりする際には、そのシステムのコードを深く理解する必要がある。

次に、異なるソフトウェアの連携に関する知識が重要になる。「Prey」のコードを「Doom 3」のエンジンに組み込むためには、両方のソフトウェアの構造や動作原理を理解し、互いにどのように連携させるかを設計する必要がある。

また、オープンソースソフトウェアの利用に関する知識も必要になる。GPLをはじめとするオープンソースライセンスは、ソフトウェアの利用条件を定めるものだ。これらのライセンスを理解し、適切にソフトウェアを利用することが重要だ。

今回のプロジェクトは、技術的な挑戦であると同時に、ゲームの歴史を未来につなげるための重要な取り組みだ。システムエンジニアを目指す初心者は、このプロジェクトの動向を注視し、その技術的な課題や解決策を学ぶことで、自身のスキルアップにつなげることができるだろう。オープンソースプロジェクトに参加することは、実践的な経験を積むための良い機会にもなる。