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Hadoop(ハドゥープ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Hadoop(ハドゥープ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ハドゥープ (ハドゥープ)

英語表記

Hadoop (ハドゥープ)

用語解説

Hadoopとは、1台のコンピュータでは処理や保存が困難な、テラバイトやペタバイト級の巨大なデータ群、いわゆるビッグデータを、多数の安価な汎用コンピュータを連携させて効率的に処理・管理するためのオープンソースのソフトウェアフレームワークである。現代のデータ駆動型社会において、大量のデータを分析し、ビジネス上の洞察を得るための基盤技術として広く利用されている。Hadoopは単一のソフトウェアではなく、大規模データの分散ストレージ、分散処理、リソース管理といった機能を提供する複数のコンポーネントから構成される複合的なシステムである。

Hadoopの最も中核的な構成要素は、分散ファイルシステムであるHDFSと、分散処理フレームワークであるMapReduce、そしてリソース管理基盤であるYARNの三つである。まずHDFSは、Hadoop Distributed File Systemの略であり、巨大なファイルをブロックと呼ばれる単位に分割し、クラスタを構成する複数のコンピュータ(ノード)に分散して格納する仕組みを提供する。HDFSの大きな特徴は、高い耐障害性を持つ点にある。データを保存する際、同じデータブロックの複製(レプリカ)をデフォルトで3つ作成し、それぞれを物理的に異なるサーバーに配置する。これにより、クラスタ内の一部のサーバーが故障しても、他のサーバーに保存されている複製データを利用して処理を継続でき、データの損失を防ぐことができる。また、ストレージ容量が不足した際には、新たにサーバーを追加するだけでシステム全体の容量を容易に拡張できるスケーラビリティも備えている。

次にMapReduceは、HDFS上に格納された膨大なデータを並列処理するためのプログラミングモデルおよびその実行環境である。処理は大きく分けてMapフェーズとReduceフェーズの二段階で実行される。Mapフェーズでは、大規模なデータセットを分割し、クラスタ内の各ノードが分担して個別に処理を行う。例えば、大量の文書から単語の出現回数を数える場合、各ノードが担当する文書内の単語を抽出し、キーと値のペアを生成する。続くReduceフェーズでは、Mapフェーズで生成された中間データをキーごとに集約し、最終的な結果を算出する。このモデルにより、開発者は複雑な分散処理の制御や耐障害性の確保といった詳細を意識することなく、データの処理ロジックそのものの実装に集中できる。

そしてYARNは、Yet Another Resource Negotiatorの略で、Hadoopクラスタ全体のリソース(CPU、メモリなど)を管理し、様々なアプリケーションの実行を調整する役割を担う。初期のHadoopではリソース管理機能がMapReduceと密接に結びついていたが、Hadoop 2.0からYARNが導入されたことで、リソース管理機能が分離された。これにより、MapReduceだけでなく、より高速なインメモリ処理を実現するSparkや、ストリームデータをリアルタイムに処理するFlinkなど、多様な分散処理アプリケーションをHadoopクラスタ上で共存させ、効率的に実行することが可能となった。

Hadoopはこれらの中心的なコンポーネントだけでなく、その周辺に広がるエコシステムと呼ばれる多様なソフトウェア群と連携することで、より強力なデータ処理基盤を構築する。例えば、SQLに似たクエリ言語を用いてHDFS上のデータを集計・分析できるHive、MapReduceのプログラミングをより簡潔にするためのデータフロー言語であるPig、HDFS上で稼働するリアルタイムな読み書きに適したNoSQLデータベースのHBaseなどが存在する。これらのツールを組み合わせることで、データの収集、蓄積、処理、分析という一連のデータ活用のパイプラインをHadoop上で実現できる。

Hadoopの最大の利点は、高価な専用ハードウェアではなく、一般的なサーバーを多数用いてスケールアウト(サーバーの台数を増やすことで性能を向上させること)が可能な点にある。これにより、従来は莫大なコストがかかっていた大規模データ処理基盤を、比較的低コストで構築できるようになった。また、ログファイル、SNSの投稿、センサーデータといった構造化されていないデータもそのままの形で格納し、後から柔軟に処理できる点も大きなメリットである。一方で、MapReduceはバッチ処理を前提としているため、秒単位の応答が求められるリアルタイム処理には不向きな側面もあるが、これはエコシステムの他のツールで補完されることが多い。システムエンジニアを目指す者にとって、Hadoopのアーキテクチャや思想を理解することは、現代のデータ基盤技術を学ぶ上での重要な第一歩となる。

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