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HBase(エイチベース)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

HBase(エイチベース)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

エイチベース (エイチベース)

英語表記

HBase (エイチベース)

用語解説

HBaseは、Apache Hadoopエコシステムの一部として開発された、オープンソースの分散型NoSQLデータベースである。正式名称はApache HBaseであり、Googleが発表した論文「Bigtable: A Distributed Storage System for Structured Data」を基に実装されている。その主な目的は、ペタバイト級の非常に大規模なデータセットに対して、リアルタイムでの高速なランダムアクセス(読み書き)を提供することにある。従来のリレーショナルデータベース(RDB)が苦手とするような、膨大な量のデータを扱うビッグデータ領域で広く利用されている。HBaseは、Hadoopの分散ファイルシステムであるHDFS(Hadoop Distributed File System)上に構築され、HDFSの持つ高い耐障害性とスケーラビリティの恩恵を受けている。

HBaseのアーキテクチャは、マスターノードと複数のワーカーノードから成るマスター/スレーブ型の構成を取る。マスターノードの役割を担うのがHMasterであり、クラスタ全体の管理、テーブルの作成や削除、そしてデータの格納単位であるリージョン(Region)の各サーバーへの割り当てなどを行う。一方、ワーカーノードはRegionServerと呼ばれ、実際にデータを保持し、クライアントからの読み書き要求を処理する。データはテーブル単位で管理されるが、テーブルが大きくなると自動的に複数のリージョンに分割され、各RegionServerに分散して配置される。これにより、データ量やアクセス負荷が増大しても、RegionServerの台数を増やすことで水平方向にシステムを拡張(スケールアウト)できる。また、クラスタの状態管理やノード間の協調には、分散コーディネーションサービスであるZooKeeperが利用される。

HBaseのデータモデルは、RDBとは大きく異なり、列指向(カラム指向)データベースとしての特徴を持つ。データはテーブルに格納されるが、その構造は多次元のソート済みマップと表現できる。各データは、行キー(Row Key)、列ファミリ(Column Family)、列修飾子(Column Qualifier)、タイムスタンプ(Timestamp)という4つの要素で一意に識別される。行キーはテーブル内の各行を識別するためのユニークなキーであり、データは常にこの行キーの辞書順でソートされて格納される。この特性のため、行キーの設計はHBaseのパフォーマンスに極めて大きな影響を与える。列ファミリは関連する列をグループ化するもので、テーブル作成時に定義する必要がある。物理的に近い領域にデータが格納されるため、アクセスパターンを考慮した設計が重要となる。列修飾子は列ファミリ内の具体的な列名であり、こちらは動的に追加可能である。この柔軟なスキーマ構造により、事前に厳密なデータ構造を定義しなくてもデータを格納できる。さらに、各データセルはタイムスタンプを持ち、複数のバージョンを保持することができる。これにより、データの変更履歴を追跡したり、特定の時点のデータを取得したりすることが可能になる。

HBaseの最大の利点は、その圧倒的なスケーラビリティと高速なランダムアクセス性能にある。データが複数のRegionServerに分散されているため、単一のキーに対する読み書き要求は特定のサーバーに直接送られ、ミリ秒単位での応答が可能となる。また、データの実体はHDFS上に複数(デフォルトでは3つ)のレプリカとして保存されるため、特定のRegionServerに障害が発生してもデータが失われることはない。HMasterも複数台で冗長構成を組むことができ、システム全体として高い耐障害性を実現している。

一方で、HBaseには不得意な領域も存在する。RDBが得意とするような、複数のテーブルを結合(JOIN)するクエリや、複雑な条件でのデータ集計、厳密なトランザクション処理などはサポートしていない。あくまで、行キーに基づいた単純なCRUD(作成、読み取り、更新、削除)操作に特化している。そのため、時系列データ、センサーデータ、ログデータ、メッセージング履歴といった、大量のデータが継続的に発生し、キーに基づいて個別にアクセスされるようなユースケースでその真価を発揮する。HBaseを導入する際は、その特性を正しく理解し、扱うデータの種類やアクセスパターンがHBaseのアーキテクチャに適しているかを慎重に検討する必要がある。

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