LANアダプタ(ランアダプタ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

LANアダプタ(ランアダプタ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

有線LANアダプター (ユウセンランアダプター)

英語表記

LAN adapter (ランアダプター)

用語解説

LANアダプタとは、コンピュータやその他のネットワーク対応機器を、イーサネットと呼ばれる有線LAN(Local Area Network)に接続するためのハードウェアのことだ。これは、コンピュータがネットワークケーブルを通じてデータを送受信するための窓口であり、非常に重要な役割を担っている。ネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Card)、イーサネットアダプタなどとも呼ばれることがあるが、これらは基本的に同じものを指している。LANアダプタの主な機能は、コンピュータ内部のデジタルデータを、ネットワークケーブルを介して伝送できる電気信号に変換し、またその逆の変換を行うことにある。これにより、コンピュータはインターネットや社内ネットワークに接続し、他のデバイスと通信したり、情報資源にアクセスしたりすることが可能になる。

LANアダプタは、その形状や接続方法によっていくつかの種類に分けられるが、最も一般的なのはコンピュータの内部に組み込まれている「内蔵型」だ。デスクトップPCのマザーボード上には通常、複数のイーサネットポートが一体化した形で搭載されており、ノートPCの場合も同様に本体側面にRJ-45と呼ばれるLANケーブル接続用のポートが標準で備わっていることが多い。これらは、購入時からコンピュータに搭載されているため、利用者が意識することは少ないかもしれないが、紛れもなくLANアダプタの機能を提供している。

一方、「外付け型」のLANアダプタも存在する。これは主にUSBポートを介してコンピュータに接続するタイプが主流で、USB-Ethernetアダプタとも呼ばれる。なぜ外付け型が必要になるかというと、例えば、近年薄型化が進むノートPCの中には、物理的なLANポートが搭載されていないモデルがあるためだ。また、既存のLANポートが故障した場合や、より高速なネットワーク接続(例えば、ギガビットイーサネットを超える2.5Gbeや10Gbeなど)に対応させたい場合、あるいは物理的に複数のLANポートが必要なサーバーなどで、既存ポートに加えてポート数を増設したい場合にも利用される。USB接続のLANアダプタは、手軽に持ち運びができ、様々なコンピュータで利用できる利便性がある。その他にも、Thunderboltポートを利用する高速なアダプタや、過去にはPCカードスロットやExpressCardスロットに挿入するタイプも存在した。

LANアダプタの具体的な機能としては、まず物理層でのデータ変換が挙げられる。コンピュータが内部で扱うデジタルデータ(0と1の信号)を、LANケーブルを流れる電気信号(電圧の変化など)に変換し、ケーブルを通じて送信する。また、ケーブルから受信した電気信号を、コンピュータが理解できるデジタルデータに戻す役割も担う。この変換処理は、イーサネットの規格に基づいて行われるため、異なるメーカーのアダプタや機器間でも相互に通信できる互換性が保たれている。

さらに、すべてのLANアダプタには、世界中で唯一の識別子であるMACアドレス(Media Access Control address)が割り当てられている。このMACアドレスは、ネットワーク上でデータがどの機器に送られるべきかを特定するために使用される。データが送信される際には、送信元と宛先のMACアドレス情報が付与され、それによって正しい機器へとデータが届けられる仕組みになっている。MACアドレスは、製造時にROMに書き込まれており、通常は変更できない。

通信速度に関して言えば、LANアダプタは様々な速度に対応している。最も一般的なのは「ギガビットイーサネット(1000BASE-T)」で、最大1Gbps(1秒間に約1ギガビット)のデータ転送速度を持つ。これよりも古い規格には「ファストイーサネット(100BASE-TX)」の100Mbpsや「イーサネット(10BASE-T)」の10Mbpsがあるが、現在ではほとんどがギガビットイーサネット以上に対応している。さらに高速な通信を求める場合、2.5Gbps、5Gbps、10Gbpsといったより高速なLANアダプタも市場に登場しており、これらは主にデータセンターや高性能なワークステーションなどで利用されることが多い。

多くのLANアダプタには、RJ-45ポートの脇に小さなLEDインジケータが搭載されている。これらのLEDは、ネットワークケーブルが正しく接続され、リンクが確立されているか(リンクアップ)、そしてデータが送受信されているか(アクティビティ)を示す役割がある。例えば、リンクアップLEDが緑色に点灯していれば接続は正常であり、点滅していればデータが通信中であることを示す。これらの情報は、ネットワーク接続に問題が発生した際に、トラブルシューティングの第一歩として非常に役立つ。

また、LANアダプタがコンピュータのOS(Windows, macOS, Linuxなど)と正しく連携するためには、ドライバソフトウェアが必要だ。最近のOSはほとんどのLANアダプタに対応しており、接続するだけで自動的にドライバがインストールされる「プラグアンドプレイ」機能が充実しているため、利用者が意識することは少ない。しかし、特定の古いアダプタや、最新の高性能アダプタを導入する際には、メーカー提供のドライバを別途インストールする必要がある場合もある。ドライバが正しくインストールされていないと、LANアダプタは機能せず、ネットワークに接続できない。

システムエンジニアを目指す初心者にとって、LANアダプタはネットワークの最も基礎的な部分を理解するための重要な要素だ。ネットワークトラブルシューティングの際には、まずLANアダプタの物理的な接続状態やドライバの状況を確認することが基本中の基本となる。ケーブルの接続が緩んでいないか、LANアダプタのLEDが点灯しているか、デバイスマネージャでアダプタが認識されているか、といった確認を怠ってはならない。有線LAN接続は、無線LANに比べて安定性が高く、速度も出やすいため、特に業務用途や重要なデータ転送においては依然として主要な接続方法であり、その根幹を支えるLANアダプタの機能と役割を理解することは、ネットワークインフラを構築・運用する上で不可欠な知識となる。

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