Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

PCカード(ピーシーカード)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

PCカード(ピーシーカード)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ピーシーカード (ピーシーカード)

英語表記

PC Card (ピーシーカード)

用語解説

PCカードは、かつてノートパソコンの機能拡張に広く用いられた、クレジットカード大の周辺機器の一種である。これは、主にノートパソコンに設けられた専用のスロットに挿入して利用するもので、ネットワーク機能、モデム機能、追加ストレージ、SCSIインターフェースなど、多岐にわたる機能を提供した。PCカードが登場した背景には、デスクトップパソコンに比べて拡張性に乏しかったノートパソコンの課題を克服し、ユーザーの多様なニーズに応えるという目的があった。その利便性から一時代を築いたが、現在はより高速で汎用性の高いUSBや、ノートパソコン本体への機能統合が進んだことで、ほとんど使われなくなっている。

PCカードの規格は、1990年代初頭にPersonal Computer Memory Card International Association (PCMCIA) という団体によって策定された。当初は主にメモリカードを想定していたため、PCMCIAカードとも呼ばれたが、後に日本電子工業振興協会 (JEIDA) との共同作業によって、より広範な用途に対応できる現在のPCカード規格として発展した。PCカードには物理的な厚みによってType I、Type II、Type IIIの3種類があった。Type Iカードは最も薄く、厚さ3.3mmで、主にSRAMやフラッシュメモリといったメモリカードに用いられた。Type IIカードは厚さ5.0mmで、モデム、LANカード、ATAフラッシュメモリカード、GPS受信機、SCSIインターフェースカードなど、非常に多様な機能を提供し、最も普及したタイプである。Type IIIカードは最も厚く、厚さ10.5mmで、小型のハードディスクドライブ(HDD)や、初期の無線LANカードなど、より多くの物理的スペースを必要とするデバイスに使用された。これらのカードは、専用のスロットに差し込むだけで機能を追加できるホットスワップ機能に対応しており、パソコンの電源を入れたまま抜き差しが可能だったため、非常に高い利便性を提供した。

PCカードのインターフェースは、当初はPC/AT互換機のISAバスに近い16ビットバスを採用しており、最大転送速度はそれほど高速ではなかった。しかし、後にCardBusという新しい規格が登場し、これはPCIバスと互換性のある32ビットバスを採用することで、データ転送速度を大幅に向上させた。CardBusスロットは、従来の16ビットPCカードも利用できる上位互換性を持ち、より高速なネットワークカードやグラフィックアクセラレータ、IEEE1394インターフェースカードなど、高性能なデバイスに対応可能となった。利用するには、PCカードを挿入した後、対応するデバイスドライバをオペレーティングシステムにインストールする必要があったが、Windows 95以降のOSではプラグ&プレイ機能により、自動的にドライバが認識・インストールされることが多く、導入の手間は軽減された。

PCカードはノートパソコンの機能拡張に革命をもたらし、特にビジネス用途で移動先でのネットワーク接続やデータ保存を可能にした点で大きな役割を果たした。しかし、2000年代に入ると、ノートパソコン本体にイーサネット(有線LAN)ポートやWi-Fi(無線LAN)機能が標準で搭載されるようになり、PCカードでそれらの機能を追加する必要性が減少した。また、USBインターフェースの普及と高速化、そしてUSB接続の周辺機器の多様化により、外付けデバイスとしてPCカードと同等かそれ以上の機能を持つ製品が手軽に利用できるようになり、PCカードの優位性は失われていった。さらに、PCカードの後継規格として、より小型で高速なExpressCardが登場した。ExpressCardはPCI ExpressおよびUSB 2.0をベースとしており、PCカードの物理的な制約や速度の限界を超えるものだったが、これもまた、その後のThunderboltやUSB-Cといった汎用性の高い高速インターフェースの登場により、広く普及するまでには至らなかった。現在、PCカードは一般的な用途で利用されることはほとんどなく、特定の古い産業用機器や、レガシーシステムを維持する必要がある場面で稀に見られる程度である。しかし、ノートパソコンの拡張性という概念を確立し、現代のモバイルコンピューティングの基盤を築いた技術の一つとして、その歴史的意義は大きい。

関連コンテンツ