MHTML(エムエイチティーエムエル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
MHTML(エムエイチティーエムエル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
エムエイチティーエムエル (エムエイチティーエムエル)
英語表記
MHTML (エムエイチティーエムエル)
用語解説
MHTMLは、ウェブページ全体を単一のファイルとして保存するための技術である。その正式名称は「MIME Encapsulation of Aggregate Documents, HTML」であり、MIMEというインターネット標準技術を基盤としている。ウェブページは通常、HTMLファイル、CSSファイル、画像ファイル、JavaScriptファイルなど、複数の独立したファイルで構成されているため、これらをまとめて扱うことは時に煩雑になる。MHTMLはこの問題を解決し、ウェブページとその関連リソースを一つのファイルにカプセル化することで、オフラインでの閲覧、アーカイブ、共有を容易にする。ウェブページを「現状のまま」記録し、インターネット接続がない環境でもその外観と基本的な機能が再現できるように設計されている点が特徴である。
MHTMLの基本的な仕組みは、Eメールの添付ファイルが複数の異なるコンテンツを一つのメッセージにまとめるのと似ている。MIME(Multipurpose Internet Mail Extensions)は、もともとEメールシステムでテキスト以外のデータ(画像、音声、動画など)を扱うための拡張規格だが、MHTMLはこのMIMEの「マルチパートメッセージ」の概念を応用している。MHTMLファイルは、内部的に複数のパートに区切られており、それぞれのパートがHTMLコンテンツ、画像データ、スタイルシート、スクリプトなどの異なる要素を格納する。これらのパートは特定の「境界文字列(boundary string)」によって明確に区切られ、それぞれのパートには「Content-Type」ヘッダが付与されており、そのデータが何であるか(例:text/html, image/jpeg, text/cssなど)を示す。また、「Content-Location」ヘッダは、元のウェブページでのそのリソースのURLを示すことで、HTMLコンテンツ内の参照を正しく解決できるようにする。画像などのバイナリデータは、テキスト形式で安全に表現するためにBase64エンコーディングなどの方法で変換され、ファイルに埋め込まれる。これにより、ウェブページを構成する全ての要素がテキストベースの単一ファイルの中に収められ、異なる環境への転送や保存が容易になる。
MHTMLの最大の利点の一つは、インターネット接続がない環境でも保存したウェブページを完全に閲覧できる点にある。通常のウェブページの保存方法では、HTMLファイルは保存されても、画像やスタイルシートが別のフォルダに保存されたり、そもそも保存されなかったりすることがあり、結果としてページのデザインが崩れたり、画像が表示されなかったりすることが頻繁に発生する。MHTMLはこれらのリソースを全て包含しているため、保存時とほぼ同じ状態でページを再現できる。これは、重要な情報をアーカイブしたり、特定のウェブサイトのコンテンツを証拠として保全したりする場合に非常に有用である。ウェブページは時間の経過とともに内容が変化したり、最悪の場合削除されたりする可能性があるが、MHTML形式で保存しておけば、その時点の情報が永続的に保持される。また、単一ファイルであるため、メールに添付して送信したり、USBメモリで持ち運んだりするなど、共有が非常に簡単である。複数のファイルをまとめて圧縮する手間も省ける。
一方で、MHTMLにはいくつかの注意点も存在する。MHTMLは主にMicrosoft Internet ExplorerやMicrosoft Edgeなどのブラウザで広くサポートされてきたが、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの他の主要なブラウザでは、MHTML形式での保存や表示が標準機能として提供されていないか、限定的である場合が多い。このため、MHTMLファイルを異なるブラウザで開くと、表示が崩れたり、一部の機能が動作しなかったりする可能性がある。また、MHTMLファイルは全てのリソースを内部に抱え込むため、ファイルサイズが大きくなりがちである。特に多くの画像やメディアを含むページでは、そのサイズは数MBから数十MBに達することもある。さらに、MHTMLは静的なコンテンツの保存には優れているが、JavaScriptによって動的に生成されるコンテンツや、外部のAPIに依存して動作するウェブアプリケーションの全ての機能を完全に再現することは難しい場合がある。セキュリティの観点からも、悪意のあるスクリプトやコンテンツが埋め込まれたMHTMLファイルを開くことには注意が必要である。
MHTMLは、システムエンジニアがウェブサイトの開発や運用を行う上で、特に以下のシナリオで役立つ。例えば、ウェブサイトのテストを行う際に、特定の時点でのページの表示状態を記録したい場合、MHTMLは完全なスナップショットとして機能する。顧客への報告書や資料作成のためにウェブ上の情報を引用する際、その情報源をMHTMLとして保存しておけば、リンク切れの心配なく、いつでも元の情報を確認できる。また、法務関連の業務でウェブページの内容を証拠として残す必要がある場合、MHTMLは情報の完全性と信頼性を確保する有効な手段となる。ウェブデザインの変更前後を比較したり、競合他社のウェブサイトの特定時点での状態を記録したりする用途にも活用できる。
MHTMLと類似の技術として、ウェブページをPDF形式で保存する方法がある。PDFはレイアウトの再現性に優れ、どの環境でも同じ見た目で表示されるが、通常はインタラクティブな要素(リンクのクリック、フォーム入力、JavaScriptの実行など)が失われることが多い。MHTMLは元のウェブページのインタラクティブ性を可能な限り保持しようとする点でPDFとは異なる。また、単にHTMLファイルとリソースファイルを別々のフォルダに保存する方式に比べ、MHTMLはそれらを単一のファイルにまとめることで管理と共有の手間を大幅に削減する。MHTMLは、ウェブコンテンツを「そのままの形で」保存し、オフライン環境での閲覧や共有、長期的なアーカイブを目的とする場合に、特にその真価を発揮する技術であると言える。