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MMS(エムエムエス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

MMS(エムエムエス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

マルチメディアメッセージング (マルチメディアメッセージング)

英語表記

MMS (エムエムエス)

用語解説

MMS(Multimedia Messaging Service)は、携帯電話やスマートフォンなどのモバイルデバイス間で、テキストメッセージに加えて画像、動画、音声ファイルといったマルチメディアコンテンツを送受信するためのサービスである。SMS(Short Message Service)が極めて限定された文字数のテキストメッセージのみを扱うのに対し、MMSはその機能を大幅に拡張し、より多様な情報をやり取りできる表現豊かなコミュニケーション手段を提供した。MMSは、主に携帯電話会社のネットワークを通じて提供され、フィーチャーフォン時代からスマートフォン時代初期にかけて、メールとインスタントメッセージの中間的な役割を担うメッセージングサービスとして広く利用された。

MMSの最大の特長は、文字情報だけでなく、視覚的・聴覚的な情報をメッセージに含めることができる点にある。SMSでは文字コードに限定された最大160文字程度のテキストメッセージしか送れないのに対し、MMSではJPEG形式の画像ファイル、MP4形式などの動画ファイル、AAC形式などの音声ファイルといったマルチメディアコンテンツを添付して送ることが可能である。これにより、ユーザーは撮影した写真や短い動画、録音した音声などを友人や家族に手軽に共有し、より感情や状況を伝えやすいコミュニケーションを実現できた。

MMSの技術的な仕組みは、SMSに比べて複雑である。MMSの送受信には、MMSC(Multimedia Messaging Service Center)と呼ばれるサーバーが中心的な役割を果たす。ユーザーが携帯電話からMMSを送信すると、まずそのメッセージは送信側の携帯電話会社のMMSCに送信される。MMSCはメッセージの内容(テキストと添付ファイル)を解析し、受信者情報を確認する。メッセージが同じ携帯電話会社のユーザー宛てであれば、MMSCは直接そのユーザーの携帯電話にメッセージを配信する。異なる携帯電話会社のユーザー宛ての場合、送信側のMMSCは受信側の携帯電話会社のMMSCと連携し、メッセージを受け渡す。最終的に、受信側のMMSCから受信者の携帯電話へメッセージが配信される。このMMSCとデバイス間の通信、およびMMSC間の通信には、WAP(Wireless Application Protocol)、SIP(Session Initiation Protocol)、HTTP(Hypertext Transfer Protocol)など、複数のプロトコルが状況に応じて利用される。

MMSで送信できるファイルサイズには上限が設けられている。これは、携帯電話ネットワークの帯域幅の制限、各キャリアのシステム処理能力、そして受信側のデバイス性能などを考慮したもので、キャリアや時代によって異なるが、一般的には数百KBから数MB程度であった。そのため、高解像度の写真や長尺の動画ファイルをMMSでそのまま送ることは難しく、多くの場合、送信時に自動的にファイルサイズや画質、解像度が圧縮される仕様となっていた。

MMSとSMSはしばしば比較対象となるが、両者の基本的な違いは扱えるコンテンツの種類とメッセージの長さに集約される。SMSはテキストのみで文字数制限が厳しく、シンプルな情報伝達に適している一方、MMSはマルチメディアコンテンツを扱え、文字数も比較的自由度が高い。料金体系についても違いがあり、SMSはメッセージ1通ごとに課金される従量課金が一般的であったのに対し、MMSはデータ通信量に応じて課金される場合が多く、パケット定額制の普及とともに利用しやすくなった経緯がある。

また、MMSはキャリアメール(携帯電話会社が提供するEメールサービス)と混同されることがあるが、厳密には異なる概念であった。キャリアメールはインターネット標準のSMTP/POP3/IMAPなどのプロトコルをベースにしたEメールサービスであり、パソコンからのEメールとも互換性がある。対してMMSは、モバイルネットワークに特化した独自のプロトコルセットの上に構築されたサービスである。ただし、日本のフィーチャーフォンでは、ユーザーインターフェース上ではMMSとキャリアメールが同じ「メッセージ」アプリ内で扱われることが多く、独自の絵文字やデコレーションメールといったMMS的な拡張がキャリアメールにも取り込まれて発展したため、両者の境界は実質的に曖昧になっていった。

スマートフォンの普及と高速データ通信環境の整備が進むにつれて、MMSの利用頻度は世界的に減少傾向にある。その主な理由は、LINE、WhatsApp、Facebook Messengerなどのインターネットベースのメッセージングアプリが急速に普及したことである。これらのアプリは、Wi-Fi環境やデータ通信を利用するため、MMSのようにデータ通信料が別途発生するという意識が薄く、より多くのマルチメディアコンテンツを、より高速に、そして実質無料で送受信できる利点がある。さらに、グループチャット機能、既読通知、豊富なスタンプなど、MMSにはない多様な機能を提供している。

現代のスマートフォン環境においても、MMSは一部の国や地域、あるいは特定の用途で引き続き利用されている場合がある。例えば、iPhoneでは、キャリアとの契約状況や通信環境によって、iMessageが利用できない場合にMMSとしてメッセージが送信されることがある。また、Androidデバイスでは、一部のキャリアでMMS機能が標準のメッセージアプリに統合されている。しかし、MMSはデバイスやキャリア間の互換性問題も抱えており、例えばiPhoneからAndroidデバイスにMMSを送ると、画像が過度に圧縮されたり、正常に表示されなかったりといった問題が発生することもある。

MMSは、モバイル通信がまだ発展途上にあった時代において、テキストメッセージの枠を超えた豊かなコミュニケーション手段を提供し、携帯電話の可能性を広げた重要な技術である。しかし、インターネット技術の進化とスマートフォンの普及により、その役割は新しいメッセージングサービスへと引き継がれつつある。システムエンジニアを目指す者としては、MMSが過去の技術としてではなく、モバイル通信の歴史における重要なマイルストーンとして、また、現在のメッセージングサービスの礎を築いた技術の一つとして理解しておくことが重要である。電話番号だけで簡単にマルチメディアメッセージを送れる手軽さは、現在主流のメッセージングアプリのコンセプトにも通じるものがある。