NDMP(エヌディーエムピー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
NDMP(エヌディーエムピー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ネットワークデータ管理プロトコル (ネットワークデータカンリプロトコル)
英語表記
NDMP (エヌディーエムピー)
用語解説
NDMP(Network Data Management Protocol)は、ネットワークアタッチトストレージ(NAS)デバイス上のデータを効率的にバックアップおよびリストアするための標準プロトコルである。このプロトコルは、特に大規模なNAS環境におけるデータ保護の課題を解決するために開発された。
NDMPが考案された背景には、NASの普及に伴い、その大容量データをいかに効率良くバックアップするかという課題があった。従来のバックアップシステムでは、NASのデータをバックアップサーバーが一旦受け取り、そこからさらにバックアップストレージ(テープドライブやディスクアレイなど)に書き込むという方式が一般的だった。この方式では、データがバックアップサーバーを経由する際に、バックアップサーバー自体の処理能力がボトルネックになったり、バックアップネットワーク(LAN)に大きな負荷がかかったりするという問題があった。特にギガバイト、テラバイト級のデータを扱うNASでは、このネットワーク負荷とバックアップ時間の増大は深刻な問題であった。NDMPは、これらの問題を解決し、NASのデータを高速かつ効率的に保護するための仕組みを提供する。
NDMPの基本的な役割は、NASデバイスとバックアップストレージデバイス(多くの場合、テープライブラリ)の間でデータを直接転送する経路を確立し、バックアップサーバーはデータの転送制御やメタデータ(ファイル名、タイムスタンプ、パーミッションなどの情報)の管理に専念できるようにすることである。これにより、バックアップサーバーとバックアップネットワークの負荷を大幅に軽減できる。
詳細
NDMPの仕組みは、主に三つの要素で構成される。一つは「NDMPクライアント」、二つ目は「NDMPサーバー」、そして三つ目は「データ転送デバイス」である。
NDMPクライアントは、バックアップソフトウェア(Commvault、Veritas NetBackup、Dell EMC Data Protection Advisorなど)が提供する機能の一部であり、バックアップポリシーの管理、スケジュール設定、およびNDMPサーバーへの指示出しを担当する。具体的には、どのNASのどのデータを、いつ、どこにバックアップするかといった命令をNDMPサーバーに送る役割を担う。
NDMPサーバーは、NASデバイス自身が持つ機能である。NDMPクライアントからの指示を受け取ると、NAS内部のファイルシステムからデータを読み出し、そのデータを直接データ転送デバイスへ送信する。この「NASが自らデータを読み出し、直接バックアップデバイスへ転送する」という点が、NDMPの最大の特徴であり、従来のバックアップ方式との決定的な違いである。NDMPサーバーは、データの転送だけでなく、ファイルシステムに関するメタデータもNDMPクライアントに報告する。
データ転送デバイスは、バックアップデータを実際に保存する物理的なストレージデバイスである。これは多くの場合、テープドライブやテープライブラリ、あるいはディスクベースのストレージデバイス(DDBoostなどの専用アプライアンス)である。このデバイスは、NDMPサーバーと直接接続されるか、あるいはバックアップネットワークを通じて接続されるが、データの流れはNDMPサーバーから直接データ転送デバイスへ向かう。
NDMPのデータ転送は、TCP/IPプロトコル上で動作する。NDMPクライアントとNDMPサーバー間で制御コマンドやメタデータがやり取りされ、データ自体はNDMPサーバーからデータ転送デバイスへ直接ストリーミングされる。これにより、バックアップサーバーを経由する手間が省かれ、バックアップ処理が高速化される。この方式は、一般的に「LAN-freeバックアップ」または「Server-freeバックアップ」と呼ばれる。LAN-freeとは、バックアップデータがLANを通過しないことを指し、Server-freeとは、バックアップサーバーがデータ転送の主役ではないことを指す。
NDMPは、フルバックアップ、増分バックアップ、差分バックアップといった様々なバックアップタイプに対応している。これにより、初回はすべてのデータをバックアップし、その後は変更されたデータのみを効率的にバックアップすることが可能となる。また、バックアップされたデータから特定のファイルをリストアしたり、ファイルシステム全体をリストアしたりする機能も提供される。
NDMPの最も大きな利点は、その高速性とネットワーク負荷の軽減にある。NASからバックアップストレージへのデータパスが直接確立されるため、バックアップサーバーの処理能力やネットワーク帯域がボトルネックになりにくい。これにより、バックアップウィンドウ(バックアップ作業が許される時間帯)を短縮し、システム全体の運用効率を向上させることができる。さらに、NDMPは業界標準プロトコルとして広く採用されており、異なるベンダーのNASデバイスとバックアップソフトウェアの間で相互運用性が確保されている点も大きなメリットである。これにより、ユーザーは特定のベンダーに縛られることなく、最適なバックアップソリューションを選択できる柔軟性を得られる。
企業や組織がNASを導入し、膨大なデータを管理する現代において、NDMPはデータ保護戦略の重要な要素となっている。特に、ファイルサーバーとして利用されるNASや、メディアコンテンツ、設計データ、研究データなどの大容量データを扱う環境では、NDMPによる効率的かつ高速なバックアップが不可欠である。NDMPは、システムエンジニアがデータ保護ソリューションを設計・運用する上で、理解しておくべき基盤技術の一つと言える。