Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

PCI Express 2.0(ピーシーアイエクスプレスニテンゼロ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

PCI Express 2.0(ピーシーアイエクスプレスニテンゼロ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ピーシーアイ エクスプレス 2.0 (ピーシーアイ エクスプレス ニテンゼロ)

英語表記

PCI Express 2.0 (ピーシーアイ エクスプレス ニテンゼロ)

用語解説

PCI Express (PCIe) は、コンピュータのマザーボード上に搭載され、グラフィックスカードやSSD、ネットワークカードなどの高性能な拡張デバイスを接続するための高速なシリアルインターフェースである。その中でもPCI Express 2.0 (PCIe 2.0) は、このPCIe規格の第2世代として2007年に発表された。従来のPCIバスやPCI-Xバスといったパラレル転送方式の限界を克服するために開発されたPCIeの性能をさらに高め、特にデータ処理能力が飛躍的に向上したグラフィックスカードなどの要求に応える形で広く普及した。PCIe 2.0の最も重要な特徴は、そのデータ転送速度の大幅な向上にあり、前世代のPCIe 1.xと比較して、1レーンあたりの理論上の最大転送速度が2倍に引き上げられた。この速度向上は、システムのボトルネックを解消し、全体的なパフォーマンス向上に大きく貢献した。さらに、PCIe 2.0は優れた後方互換性を有しており、PCIe 1.x対応の既存のハードウェア資産を活かしつつ、システムをアップグレードできる柔軟性も持ち合わせていたため、多くのPCやサーバーシステムに採用された。

PCI Expressの根幹をなす技術は、これまでのパラレル接続の共有バス型とは異なり、デバイスとホストコントローラが1対1で接続されるポイントツーポイントのシリアル接続を採用している点にある。このシリアル接続は「レーン」と呼ばれる差動信号ペアで構成され、データが直列に、かつ双方向で同時に通信される。差動信号はノイズに強く、高速伝送に適している。従来のパラレル接続が複数の信号線を同時に利用するため、信号線の長さやインピーダンスのばらつきによるスキュー(時間差)の問題が高速化の障壁となっていたのに対し、シリアル接続ではこの問題を回避できるため、より高い周波数での動作が可能となる。PCIe 2.0では、この1本のレーンが片方向あたり毎秒5.0ギガ転送(GT/s)の速度でデータを送受信する能力を持つ。これはPCIe 1.xの2.5 GT/sのちょうど2倍にあたる速度である。データの転送時には、伝送路におけるエラー検出とクロック同期を確実にするため、8ビットのデータを10ビットの信号として符号化する「8b/10bエンコーディング」という方式が用いられる。この符号化では、データの8ビットごとに2ビットの冗長情報を付加するため、実効的なデータ転送速度は理論値の80%となる。したがって、PCIe 2.0の1レーンあたりの実効データ転送速度は、片方向で毎秒500メガバイト(MB/s)、双方向でその2倍の毎秒1ギガバイト(GB/s)となる。

PCIeデバイスは、必要とする帯域幅に応じて複数のレーンを束ねて使用することができ、このレーン数はx1、x4、x8、x16といった形で表現される。例えば、高性能グラフィックスカードに多く見られるx16スロットは16本のレーンを使用し、PCIe 2.0の場合、その合計帯域幅は双方向で毎秒16ギガバイト(16 GB/s)に達する。これは、当時の最先端のグラフィックスカードがGPUとメインメモリ間、あるいはGPUとシステムメモリ間で膨大なデータをやり取りするために必要とする帯域幅を十分に満たすものであった。そのため、デスクトップPCや高性能ワークステーションのメイングラフィックスカード用スロットとして、PCIe 2.0 x16が広く採用された。この高帯域幅は、高速なNVMe SSDが登場する以前のSATA/SAS SSDや、RAIDコントローラ、10ギガビットイーサネットなどの高速ネットワークカードなどにも活用され、システムのI/O性能全体を底上げすることに貢献した。

PCIe 2.0は、速度の向上だけでなく、いくつかの重要な技術的改善も導入している。その一つに、消費電力管理機能の強化が挙げられる。特に「Active State Power Management (ASPM)」の改善により、デバイスがアイドル状態にある際の電力消費をさらに効率的に削減できるようになり、システムの省エネルギー化に貢献した。また、サーバー仮想化環境におけるI/Oデバイスの効率的な共有を可能にする「Single Root I/O Virtualization (SR-IOV)」機能のサポートもPCIe 2.0の重要な進化点である。SR-IOVにより、物理的なNIC(ネットワークインターフェースカード)などのデバイスを複数の仮想マシンで直接共有できるようになり、仮想化環境におけるI/Oパフォーマンスの向上とCPU負荷の軽減が実現された。さらに、ホットプラグ機能の改善も行われ、システム稼働中でも対応デバイスの抜き差しがより安全かつスムーズに行えるようになった。これらの機能は、システムの運用効率と柔軟性を大幅に向上させた。

互換性に関して、PCIe 2.0は非常に優れた設計を持つ。物理的なコネクタ形状はPCIe 1.xと共通であるため、PCIe 2.0対応のスロットにPCIe 1.xの拡張カードを挿入することも、またPCIe 1.xのスロットにPCIe 2.0のカードを挿入することも可能である。この場合、通信速度は両者で対応する最も低い世代の規格、すなわちPCIe 1.xの速度(2.5 GT/s)に制限される。例えば、PCIe 2.0 x16のグラフィックスカードをPCIe 1.x x16のスロットに挿入すると、そのカードはPCIe 1.x x16の帯域幅(双方向8 GB/s)で動作する。これは、最高の性能は得られないものの、システムを確実に動作させることができる優れた仕組みである。また、異なるレーン幅の組み合わせにも対応し、例えばPCIe 2.0 x16スロットにPCIe 1.x x8カードを挿入した場合、カードはx8の物理的なレーンを使用し、PCIe 1.xの速度で通信する。この柔軟性により、ユーザーは段階的にシステムのアップグレードを進めることができた。

PCIe 2.0は2007年の登場からしばらくの間、PC市場およびサーバー市場で標準的な高速インターフェースとしての地位を確立し、2010年代初頭までその役割を果たした。しかし、コンピューティング技術の急速な進歩により、さらなる高速化が求められ、2010年にはPCIe 3.0が、その後PCIe 4.0、5.0と世代を重ねていった。新しい世代のPCIeは、データ転送速度をさらに倍増させ、より効率的な符号化方式(PCIe 3.0以降では128b/130bエンコーディングなど)を採用することで、実効帯域幅をさらに高めている。現在では最新の高性能デバイスの多くはPCIe 4.0や5.0を要求するが、PCIe 2.0は、その後の世代への重要な橋渡し役を果たした規格として、システム開発の歴史において重要な位置を占める。システムエンジニアを目指す者にとって、PCIe 2.0の技術的背景と、それが果たした役割、そして互換性の特性を理解することは、古いシステムと新しいシステムの間の相互作用や、将来の技術進化の方向性を把握するための貴重な基礎知識となる。

関連コンテンツ

関連IT用語