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PCI Express 3.0(ピーシーアイ エクスプレス サンテンゼロ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

PCI Express 3.0(ピーシーアイ エクスプレス サンテンゼロ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ピーシーアイ・エクスプレス・サンテンゼロ (ピーシーアイ・エクスプレス・サンテンゼロ)

英語表記

PCI Express 3.0 (ピーシーアイエクスプレスサンテンゼロ)

用語解説

PCI Express 3.0とは、コンピュータ内部で高速なデータ転送を担うインターフェース規格であるPCI Express(略称:PCIe)の第三世代にあたるバージョンである。PCIeは、中央演算処理装置(CPU)とグラフィックカード、ソリッドステートドライブ(SSD)、ネットワークカードなどの高性能な周辺機器との間でデータをやり取りするためのシリアル転送方式を採用したバス規格であり、現代のコンピュータシステムにおいて不可欠な存在である。PCIeの各世代は、前の世代と比較してデータ転送速度が飛躍的に向上しており、PCIe 3.0は特に2010年代初頭から中盤にかけての高性能コンピューティングにおいて標準的な規格として広く普及した。その導入により、より高度なグラフィック処理や、かつてない速さのストレージアクセスが実現され、今日のコンピュータシステムの性能向上に大きく貢献した。

詳細に説明すると、PCI Express 3.0は、その一つ前の世代であるPCI Express 2.0と比較して、データ転送速度を実質的に倍増させたという点で画期的な進歩を遂げた。PCIeの転送速度は「ギガトランスファー/秒(GT/s)」という単位で表され、これは1秒あたりに転送できる信号遷移の回数を示す。PCIe 2.0では、1レーンあたり片方向で5 GT/sの生データ転送速度を提供していたのに対し、PCIe 3.0では8 GT/sへと向上した。しかし、実際のデータ転送速度、すなわち帯域幅を計算する際には、信号を効率的に伝送するための「エンコーディング方式」によるオーバーヘッドを考慮する必要がある。

PCIe 2.0までは「8b/10bエンコーディング」という方式が用いられていた。これは、8ビットの純粋なデータを送るために10ビットの信号を使用する方式であり、データ全体の20%がエンコーディングのためのオーバーヘッドとして消費されていた。このため、PCIe 2.0の1レーンあたりの実効帯域幅は片方向で約500メガバイト/秒(MB/s)であった。これに対し、PCIe 3.0ではエンコーディング方式が「128b/130bエンコーディング」へと大幅に改良された。この方式は、128ビットのデータを送るために130ビットの信号を使用するため、オーバーヘッドはわずか約1.54%と劇的に削減された。この効率化により、PCIe 3.0の1レーンあたりの実効帯域幅は片方向で約985 MB/sに達し、ほぼ1ギガバイト/秒(GB/s)という高速度を実現した。

PCIeは「レーン」と呼ばれるデータ伝送路を複数束ねて使用することで、さらに広帯域を実現する。一般的なレーン構成にはx1、x4、x8、x16などがあり、例えばx16構成は16本のレーンを束ねて利用することを意味する。PCIe 3.0のx16スロットであれば、片方向で約15.76 GB/s(985 MB/s × 16)という非常に高い帯域幅を提供することが可能であった。これは、当時最も高性能なグラフィックカードが要求する膨大なデータ転送量に対応するために不可欠な性能であった。

PCIe 3.0の導入は、コンピュータの複数の主要分野に大きな恩恵をもたらした。第一に、高性能グラフィックカードの進化である。高解像度のディスプレイや3Dゲーム、専門的なグラフィックデザイン、ビデオ編集などの分野では、CPUとグラフィックカードの間で大量のテクスチャデータやシェーダー情報などを高速にやり取りする必要があり、PCIe 3.0の広帯域がそれを可能にした。第二に、ストレージデバイスの革新である。従来のSATAインターフェースはSSDの性能向上とともにその帯域幅の限界が顕在化していたが、PCIe 3.0とNVMe (Non-Volatile Memory Express) プロトコルの組み合わせにより、このボトルネックが解消された。PCIe 3.0 x4構成のNVMe SSDは、従来のSATA SSDの理論上の最大速度(約600 MB/s)をはるかに凌駕する、3000 MB/sを超えるシーケンシャルリード/ライト速度を実現し、オペレーティングシステムの起動時間やアプリケーションの読み込み速度を劇的に短縮させた。第三に、高速ネットワークインターフェースカードの普及である。10ギガビットイーサネット(10GbE)やそれ以上の速度のネットワーク接続を可能にするためには、それを支えるPCIeの広帯域が不可欠であり、データセンターや高性能ワークステーションにおける高速通信の基盤を築いた。

システムを構築したり、既存のシステムをアップグレードしたりする上で、PCIeの世代間互換性を理解しておくことは重要である。PCIeの各世代は、基本的に上位互換性および下位互換性を持つ。これは、PCIe 3.0対応のスロットにPCIe 2.0対応のデバイスを接続することや、その逆も可能であることを意味する。しかし、この場合、システム全体のデータ転送速度は、接続されているスロットとデバイスのうち、最も低い世代の性能に制限される。例えば、PCIe 3.0対応のグラフィックカードをPCIe 2.0スロットに接続した場合、そのグラフィックカードはPCIe 2.0の速度で動作し、本来の性能を最大限に発揮できない可能性がある。したがって、デバイスの性能を最大限に引き出すためには、マザーボード、CPU、そして接続する拡張カードやSSDの全てが同じ世代、あるいはより新しい世代のPCIeに対応していることが望ましい。

PCIe 3.0は、その後のPCIe 4.0やPCIe 5.0といったさらなる高速化世代の重要な土台となった。これらの新しい世代はそれぞれ前世代の倍の速度を提供するが、PCIe 3.0で確立された128b/130bエンコーディングの効率性や、複数のレーンを束ねて使用する概念は基本的に引き継がれている。現在においても、多くのビジネス向けPCや一部のサーバー、あるいはコストパフォーマンスを重視した自作PCでは、PCIe 3.0は十分な性能を提供しており、依然として広く利用されている規格である。システムエンジニアを目指す者にとって、このような主要なインターフェース規格の特性や役割を理解することは、適切なハードウェア構成の選定、システムトラブルの診断、そして将来の技術動向を予測する上で不可欠な知識となる。PCIe 3.0は、現代の高性能コンピューティングへの進化における重要なマイルストーンとして記憶されるべき規格である。

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