138番ポート(イチサンハチバンポート)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
138番ポート(イチサンハチバンポート)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
イチサンハチバンポート (イチサンハチバンポート)
英語表記
port 138 (ポートイチサンハチ)
用語解説
138番ポートは、NetBIOS datagram service(NetBIOSデータグラムサービス)が利用するUDPポートである。NetBIOS datagram serviceは、主にWindows系のOSが稼働するネットワーク環境において、他のコンピュータやネットワーク上の共有資源を発見するために用いられる。TCP/IPネットワーク上でNetBIOSサービスを利用可能にするNetBIOS over TCP/IP(NBT)の一部として機能し、コネクションレス型のデータグラム通信を提供する役割を持つ。
NetBIOSとは、Network Basic Input/Output Systemの略称であり、IBMが初期のLAN環境向けに開発したAPI(Application Programming Interface)である。このAPIは、ネットワーク上のコンピュータ間で名前解決やデータ通信を行うための基本的な機能を提供した。後に、TCP/IPプロトコルスタック上でNetBIOSの機能を利用できるように拡張されたものがNetBIOS over TCP/IP、略してNBTである。NBTは、従来のNetBIOSが提供していたサービスを、TCP/IPネットワーク環境で実現するために、複数のポート番号とプロトコルを割り当てている。
NBTには主に三つのサービスが存在し、それぞれ異なるポート番号を使用する。一つ目は、NetBIOS Name Service(NBNS)であり、主に137番のUDPポートを利用して、NetBIOS名(コンピュータ名)とIPアドレスの相互変換を行う名前解決サービスを提供する。これは、ネットワーク上のコンピュータが互いの存在を名前で認識し、通信を開始するための基盤となる。二つ目は、NetBIOS Datagram Service(NBDS)であり、本稿の主題である138番のUDPポートを利用する。NBDSはコネクションレス型のデータグラム通信を担当し、ネットワーク上でブロードキャスト(一斉送信)を用いて、コンピュータが共有資源をアナウンスしたり、他のコンピュータがそれらを発見したりする際に用いられる。そして三つ目は、NetBIOS Session Service(NBSS)であり、主に139番のTCPポートを利用して、コンピュータ間でコネクション指向のセッションを確立し、信頼性の高いデータ通信(例:ファイル共有、プリンタ共有)を行う。
138番ポートが利用するNetBIOS Datagram Serviceの具体的な役割は多岐にわたる。このサービスはUDP(User Datagram Protocol)を使用するため、通信はコネクションレスであり、データの到達保証や順序保証は行われない。しかし、その特性から、少量のデータを高速に、かつネットワーク全体に効率的に配信する用途に適している。例えば、Windowsネットワークにおいて「ネットワーク」や「ネットワークコンピュータ」を開くと、共有フォルダや共有プリンタを持つコンピュータの一覧が表示されることがあるが、この一覧の取得には138番ポートを通じたブロードキャスト通信が関与している場合が多い。具体的には、ネットワーク上のコンピュータが起動時に自身の存在や提供するサービスをブロードキャストでアナウンスしたり、他のコンピュータが共有資源を検索するためにブロードキャストクエリを送信したりする。138番ポートは、これらのブロードキャストメッセージや、小さなステータス情報、エラーメッセージなどの送受信に利用される。NetBIOS Name Serviceによって名前解決が完了したホストに対して、実際のデータグラムを送受信する際にも使用されることがある。
現代のネットワーク環境では、NetBIOS over TCP/IPの利用は以前に比べて減少している傾向にある。特に、Windowsドメイン環境やActive Directory環境では、名前解決には主にDNS(Domain Name System)が使用され、ファイル共有などのセッションベースの通信には、SMB over TCP/IP(Server Message Block over TCP/IP)が直接445番のTCPポートを利用して行われることが一般的である。しかし、古いWindowsシステムとの互換性を保つためや、特定のレガシーなアプリケーションがNetBIOSを利用している場合など、現在でも138番ポートを含むNBTサービスが利用されるケースは存在する。
セキュリティの観点から見ると、138番ポートは注意が必要なポートの一つである。NetBIOS datagram serviceは認証機能を直接持たないため、外部からアクセス可能な状態になっていると、ネットワーク上のコンピュータ名や共有資源の情報が漏洩するリスクや、不正なブロードキャストメッセージによってネットワークが混乱するリスクがある。特にインターネットに直接接続された環境では、これらのポートをファイアウォールで適切にブロックし、内部ネットワークからのアクセスのみに限定することが強く推奨される。不要なサービスは停止し、必要な場合でもアクセス制御を厳格に行うことで、セキュリティリスクを低減できる。NetBIOS over TCP/IPの理解は、Windowsネットワークの基本的な動作原理を把握する上で今なお重要であり、特にネットワークトラブルシューティングやセキュリティ監査の際には、その動作とポート番号の知識が役立つことになる。