RBI(アールビーアイ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
RBI(アールビーアイ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
リスクベース検査 (リスクベースケンサ)
英語表記
RBI (アールビーアイ)
用語解説
RBI(Remote Browser Isolation)は、インターネットを閲覧する際に発生する様々なサイバーセキュリティリスクからユーザーを保護するための先進的な技術である。これは、ユーザーがWebサイトにアクセスする際に、実際にWebコンテンツを実行する場所をユーザー自身のデバイスから、隔離されたリモート環境(通常はクラウド上のサーバー)へ移すことで機能する。この分離によって、悪意のあるWebサイトやマルウェア、フィッシング詐欺などが、ユーザーのコンピューターやネットワークに直接影響を与えることを防ぐ。
Webブラウザは、今日のデジタル社会において情報収集、業務遂行、コミュニケーションの中心的なツールであり、同時にサイバー攻撃の主要な標的の一つとなっている。フィッシング詐欺、ドライブバイダウンロード(Webサイトを閲覧するだけでマルウェアが自動的にダウンロード・実行される攻撃)、ゼロデイ攻撃(まだ修正プログラムが提供されていない脆弱性を狙う攻撃)、悪意のある広告(マルバタイジング)など、多種多様な脅威がWebブラウジングを通じてユーザーを狙っている。従来のアンチウイルスソフトウェアやファイアウォールだけでは、これらの進化し続ける複雑な脅威から完全に保護することは難しくなってきている。RBIはこのような状況に対応するために開発された、セキュリティ対策の新たな柱である。
RBIの基本的な仕組みは、ユーザーがWebサイトにアクセスしようとすると、そのリクエストがRBIサービスへと送信されることから始まる。RBIサービスは、ユーザーのデバイスに代わって、クラウド上に用意された仮想環境(コンテナや仮想マシンなど)で実際にWebページを開き、その内容をレンダリング(表示処理)する。この仮想環境は、ユーザーのデバイスや企業のネットワークから完全に隔離されているため、たとえ悪意のあるWebサイトであったとしても、その中に含まれるマルウェアや攻撃コードが仮想環境内で実行されるに留まり、ユーザーの実際のデバイスには到達しない。
Webページがリモートの仮想環境でレンダリングされた後、RBIサービスはその結果をユーザーのWebブラウザへと送り返す。この際、悪意のある可能性のあるアクティブなコンテンツ(例えば、JavaScriptのコードそのもの)はユーザーのデバイスには送られず、Webページの安全な表示情報のみが転送される。転送される形式は、主に二つの主要な方式がある。一つは「ピクセルストリーミング(Visual Streaming)」と呼ばれる方式で、リモートでレンダリングされたWebページを画像やビデオストリームとしてユーザーのブラウザに送信する。ユーザーはまるでWebページが自分のデバイスで開かれているかのように見えるが、実際にはリモートサーバーからの画面の映像を見ているに過ぎないため、非常に高いセキュリティが確保される。もう一つは「DOM再構築(Document Object Model Reconstruction)」と呼ばれる方式で、リモートで実行されたWebページから、安全な構造要素(DOM要素)のみを抽出し、それを再構築してユーザーのブラウザに送信する。この方式では、ユーザーエクスペリエンスがよりネイティブなWebブラウジングに近く、インタラクティブ性が高く保たれる傾向がある。
RBIを導入することで、企業や個人は様々なメリットを享受できる。最大のメリットは、やはりセキュリティの劇的な向上である。未知のマルウェアやゼロデイ攻撃、巧妙なフィッシングサイトなど、従来のセキュリティソリューションでは防ぎきれない高度な脅威に対しても、ブラウジングを完全に隔離することで保護を提供する。これにより、エンドポイント(ユーザーのデバイス)でのセキュリティ対策の負担を軽減し、複雑な設定や頻繁なアップデートの手間を省くことができる。また、ユーザーはセキュリティを心配することなくインターネットを安全に利用でき、業務効率の低下を防ぐことができる。多くのRBIソリューションは、ユーザーが普段使用しているWebブラウザとほとんど変わらない使用感を提供し、わずかな遅延を感じることはあっても、大抵の場合はスムーズなブラウジングが可能である。さらに、データ漏洩のリスクも低減する。ユーザーが誤って悪意のあるWebサイトに機密情報を入力しようとした場合でも、RBIサービスがそれを検知し、ブロックすることが可能になる。これは、GDPRやCCPAなどの厳格なデータ保護規制への遵守にも貢献しうる。
一方で、RBIの導入にはいくつかの考慮点も存在する。一つは導入コストである。RBIサービスは専用のインフラやクラウドサービスを利用するため、従来のセキュリティソフトウェアと比較してコストが高くなる可能性がある。また、前述したように、データ転送によるわずかなパフォーマンスの低下が生じる可能性もある。特にネットワーク環境が不安定な場合や、画像・動画を多用するWebサイトでは、体感速度に影響が出ることが全くないわけではない。さらに、非常に複雑なWebアプリケーションや、特定の非標準的なWeb技術を使用しているサイトについては、RBI環境下での互換性問題が発生する可能性もゼロではない。そのため、導入前には自社の業務で利用する主要なWebサイトやWebアプリケーションでの動作検証が重要となる。
システムエンジニアを目指す初心者にとって、RBIは今後のITインフラ設計やセキュリティ戦略を考える上で非常に重要な概念となる。現代のセキュリティは、もはや「境界の内側は安全」という考え方ではなく、「全てを信頼しない」というゼロトラストモデルへと移行している。RBIは、特にWebブラウジングという最もリスクの高い経路において、このゼロトラストモデルを実現するための強力な手段の一つである。クラウドセキュリティ、ネットワークセキュリティ、エンドポイントセキュリティといった幅広い分野の知識と結びつき、企業の全体的なサイバーレジリエンス(サイバー攻撃からの回復力)を高める上で不可欠な技術となるだろう。Webアプリケーションを開発する立場であれば、自身のアプリケーションがRBIのような隔離環境下でも適切に機能するかを考慮することは、将来的に重要性を増していく。RBIは、単なるWebセキュリティ技術に留まらず、企業のIT環境全体の安全性を根底から支える可能性を秘めていると言える。