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TCPヘッダ(ティーシーピーヘッダ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

TCPヘッダ(ティーシーピーヘッダ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

TCPヘッダ (ティーシーピーヘッダ)

英語表記

TCP Header (ティーシーピーヘッダー)

用語解説

TCPヘッダは、TCP(Transmission Control Protocol)においてデータ本体に付加される制御情報のまとまりである。TCPは、インターネットプロトコルスイートのトランスポート層で動作するプロトコルであり、IP(Internet Protocol)が提供するパケット転送サービスの上に構築される。その主な役割は、異なるホスト上のアプリケーション間で、信頼性があり、順序が保証されたコネクション指向のデータ転送を実現することにある。この信頼性と順序性を保証するための基盤となるのが、TCPヘッダに格納される多様な情報である。

具体的に、TCPヘッダには、通信を行うアプリケーションを特定するためのポート番号、送信されるデータのバイト順序を管理するシーケンス番号と確認応答番号、現在の通信状態や制御を示す各種フラグ、データ流量を調整するウィンドウサイズ、そしてデータが転送中に破損していないかを検出するチェックサムなど、通信を円滑かつ正確に行うために不可欠な情報が詰まっている。これらの情報が各データセグメント(TCPのデータ単位)に付与されることで、たとえネットワーク上でパケットが失われたり、重複したり、順序が入れ替わったりしても、受信側で元のデータが正しく復元されるような堅牢な通信が実現される。

詳細として、TCPヘッダを構成する各フィールドについて解説する。まず、**送信元ポート番号(Source Port)**は、データを送信しているアプリケーションを識別するための16ビットの数値である。次に、**宛先ポート番号(Destination Port)**は、データを受信するアプリケーションを識別するための16ビットの数値である。これらポート番号により、サーバーやクライアントが複数のサービスやプロセスを同時に利用していても、どのデータがどのアプリケーションに属するかを正確に区別できる。

**シーケンス番号(Sequence Number)**は、送信するデータセグメントのペイロード(実際のデータ部分)における最初のバイトのシーケンス番号を示す32ビットの数値である。これは、大きなデータを複数のセグメントに分割して送信する際に、各セグメントが全体のデータのどの位置に対応するかを示すものであり、受信側がセグメントを正しい順序に並べ替え、また重複するセグメントを排除するために利用される。

**確認応答番号(Acknowledgement Number)**は、受信側が次に期待するデータのシーケンス番号を示す32ビットの数値である。このフィールドはACKフラグがセットされている場合に有効となり、送信側に対し「この確認応答番号より前のデータはすべて正常に受信したため、次にこの番号から始まるデータを送信してください」という情報を提供する。これにより、送信されたデータが相手に到達したことの確認と、データ転送の信頼性が保証される。

**データオフセット(Data Offset)**は、4ビットのフィールドであり、TCPヘッダの長さを32ビットワード(4バイト)単位で示す。このフィールドがあることで、オプションフィールドの有無やその長さに応じて変動するTCPヘッダの実際の長さを、受信側が正確に把握できる。TCPヘッダの最小長は20バイトであるため、データオフセットの最小値は「5」となる。

その次の6ビットは**予約(Reserved)**フィールドであり、将来的な拡張のために予約されており、現在は常に0に設定される。

続く6ビットは**コントロールフラグ(Flags)**であり、TCPコネクションの状態や、セグメントがどのような目的を持つかを示す非常に重要なビット列である。具体的には、

  • **URG(Urgent)**フラグは、緊急ポインタフィールドが有効であることを示す。
  • **ACK(Acknowledgement)**フラグは、確認応答番号フィールドが有効であることを示す。ほとんどのデータ転送セグメントでセットされる。
  • **PSH(Push)**フラグは、受信側にバッファリングせず、アプリケーションにデータをすぐに渡すことを要求する。
  • **RST(Reset)**フラグは、エラー発生時など、何らかの理由でコネクションを強制的にリセットする場合に用いられる。
  • **SYN(Synchronize)**フラグは、TCPコネクションの確立プロセス(スリーウェイハンドシェイク)を開始する際に、同期要求としてセットされる。
  • **FIN(Finish)**フラグは、送信側がこれ以上送信するデータがないことを示し、コネクションの正常な終了を要求する際にセットされる。

**ウィンドウサイズ(Window Size)**は、受信側が一度に受信可能なデータのバイト数を通知する16ビットのフィールドである。これはTCPのフロー制御機能の中核をなし、送信側が受信側のバッファ処理能力を超えてデータを送りすぎないように調整する役割を果たす。受信側は、自身の受信バッファの空き容量に応じてこの値を動的に変更し、送信側に通知することで、データの過剰な送信を防ぎ、ネットワークの輻輳を緩和する。

**チェックサム(Checksum)**は、TCPヘッダとデータ部分、そして一部のIPヘッダ情報から生成される擬似ヘッダを含めた全体の整合性を検証するための16ビットのフィールドである。送信側はこれらの情報に基づいてチェックサムを計算して格納し、受信側も同様の計算を行って送信されてきたチェックサムと比較する。この比較により、データが転送中に破損していないかを高確率で検出できる。

**緊急ポインタ(Urgent Pointer)**は、URGフラグがセットされている場合にのみ有効となる16ビットのフィールドで、通常のデータストリーム中に存在する「緊急データ」の終了位置を、シーケンス番号からのオフセットとして示す。これにより、受信側は緊急データを通常のデータ処理よりも優先してアプリケーションに渡すことが可能となる。

最後に、**オプション(Options)フィールドがある。これは可変長であり、標準のTCPヘッダには含まれない追加機能を提供する。代表的なオプションには、MSS(Maximum Segment Size:一度に送信できるTCPデータセグメントの最大データサイズ)の通知、大きなウィンドウサイズを扱うためのウィンドウサイズスケールオプション、RTT(Round Trip Time)測定に用いるタイムスタンプオプションなどがある。これらのオプションフィールドの長さは32ビット(4バイト)の倍数となるように調整され、必要に応じてパディング(Padding)**と呼ばれる埋め草が追加される。

TCPヘッダの各フィールドが持つ情報は、TCPが提供する信頼性、順序保証、エラー検出、フロー制御といった基幹機能を具現化するために不可欠である。これらの情報が正確に設定され、通信相手と適切に交換されることで、現代のインターネットにおけるアプリケーション間の安定したデータ転送が成り立っている。システムエンジニアを目指す上で、このTCPヘッダの構造と各フィールドの役割を深く理解することは、ネットワークの動作原理の把握、トラブルシューティング、および効率的なアプリケーション開発において非常に重要な基礎知識となる。

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