TCP/IPネットワーク(ティーシーピーアイピーネットワーク)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
TCP/IPネットワーク(ティーシーピーアイピーネットワーク)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
TCP/IPネットワーク (ティーシーピーアイピーネットワーク)
英語表記
TCP/IP network (ティーシーピーアイピーネットワーク)
用語解説
TCP/IPネットワークとは、インターネットをはじめとする現代のネットワークの基盤となっている通信規約の集合体である。これは単一のプロトコルではなく、複数のプロトコルが連携して動作する「プロトコルスタック」として機能する。コンピュータやデバイスが相互にデータを効率的かつ確実に送受信するためのルールを定めており、異なるメーカーやOSの機器間でも通信を可能にする標準的な枠組みを提供する。この技術は、地球規模のネットワークであるインターネットが実現される上で不可欠な要素となっている。システムエンジニアを目指す上で、TCP/IPの基本原理と各プロトコルの役割を理解することは、ネットワークの設計、構築、トラブルシューティングを行う上で極めて重要な知識となる。
TCP/IPは、その機能を複数の階層に分けて定義する。これにより、各層が独立して機能し、変更や問題解決が容易になる。一般的には、ネットワークインターフェース層、インターネット層、トランスポート層、アプリケーション層の4つの階層で説明されることが多い。
最も下位の階層であるネットワークインターフェース層は、物理的なケーブルや無線LANなどのメディアを介して、直接接続された機器間でデータをやり取りするための規約を定義する。イーサネットやWi-Fiなどがこの層に属し、MACアドレスを用いて隣接する機器を識別する。データは「フレーム」という単位で送受信される。
その上位にあるインターネット層は、異なるネットワーク間でのデータの転送を担当する。主要なプロトコルはIP(Internet Protocol)であり、ネットワーク上の各デバイスに割り当てられる「IPアドレス」を使用して、データの送り元から送り先までの経路を決定する。IPアドレスには現在IPv4とIPv6が存在する。データは「パケット」という単位に分割され、ルーターを介して最適な経路をたどって目的地へ送られる。IPはあくまでデータを「届ける」ことのみを担い、途中のエラーや順序の保証は行わないという特徴がある。
さらに上位のトランスポート層は、アプリケーション間でデータを確実に、または効率的に転送するための規約を定める。主要なプロトコルはTCP(Transmission Control Protocol)とUDP(User Datagram Protocol)である。TCPは信頼性の高い通信を提供するプロトコルで、データの送受信前にコネクション(接続)を確立し、データが正しく届いたかを確認する(確認応答)。もしデータが失われたり破損したりした場合は再送を行い、データの順序も保証する。Webブラウジング(HTTP)やファイル転送(FTP)など、信頼性が求められる通信で利用される。一方、UDPはコネクションレス型のプロトコルであり、信頼性よりも速度を重視する。データの到着確認や再送は行わず、一方的にデータを送信するため、リアルタイム性が重要な音声通話(VoIP)や動画ストリーミングなどで利用される。この層では、複数のアプリケーションが同時に通信できるよう、「ポート番号」を用いてどのアプリケーションにデータを受け渡すかを識別する。
最上位のアプリケーション層は、ユーザーが直接利用する具体的なサービスやアプリケーションの通信規約を定義する。Webページ閲覧のためのHTTP(Hypertext Transfer Protocol)、メール送受信のためのSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やPOP3(Post Office Protocol version 3)、ファイル転送のためのFTP(File Transfer Protocol)などがこれに該当する。また、人間にとって覚えやすいドメイン名(例: www.example.com)と、機械が識別するIPアドレス(例: 192.0.2.1)との間を相互に変換する役割を担うDNS(Domain Name System)もこの層のプロトコルである。これらのプロトコルは、トランスポート層以下のサービスを利用してデータをやり取りする。
データがネットワークを流れる際には、「カプセル化」というプロセスが重要となる。アプリケーション層で生成されたデータは、下の層に渡されるごとに、その層のヘッダ情報(制御情報)が付加されていく。例えば、トランスポート層ではTCPまたはUDPヘッダ、インターネット層ではIPヘッダが付加され、最終的にネットワークインターフェース層でフレームヘッダとトレーラが追加され、電気信号などに変換されて物理的な媒体へと送出される。受信側ではこの逆のプロセス、すなわち「非カプセル化」が行われ、各層でヘッダが取り除かれながらデータが元の形に戻される。インターネット層における「ルーティング」は、IPアドレスに基づいてパケットの最適な転送経路を決定する仕組みであり、ルーターがこの役割を担う。
TCP/IPネットワークは、これらの複雑な階層構造とプロトコル群が協調して動作することで、世界中のコンピュータがシームレスに通信できる環境を提供している。各層の役割と連携を理解することが、現代のネットワーク技術を深く学ぶための第一歩となる。