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vCard(ブイカード)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

vCard(ブイカード)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ブイカード (ブイカード)

英語表記

vCard (ブイカード)

用語解説

vCardは、個人や組織の連絡先情報をデジタル形式で記述するための標準的なファイルフォーマットである。これは、デジタル名刺と表現されることも多く、異なるソフトウェアアプリケーションやデバイス間で連絡先情報を効率的かつ正確に共有、交換することを主な目的としている。氏名、電話番号、メールアドレス、住所、所属組織、役職、ウェブサイトのURL、メモ、写真など、多岐にわたる連絡先情報を統一された形式で表現し、手動での入力の手間や誤入力のリスクを減らし、情報共有の利便性を大幅に向上させる。例えば、スマートフォンで登録した知人の連絡先をパソコンのメールソフトにインポートしたり、ウェブサイトから特定の企業の担当者情報をダウンロードして自分のアドレス帳に追加したりする際に、vCard形式が広く利用される。システムエンジニアを目指す者にとって、vCardはデータの相互運用性を理解し、実装する上で基礎となる重要な技術概念の一つである。

vCardの標準化は、インターネットメールコンソーシアム(Internet Mail Consortium: IMC)によって始まり、その後、インターネット技術特別調査委員会(Internet Engineering Task Force: IETF)によってRFC(Request for Comments)として正式に定義され、進化を続けている。主要なバージョンにはv2.1、v3.0(RFC 2426)、そして最新のv4.0(RFC 6350)がある。この標準化の取り組みにより、世界中の多様なシステム間で連絡先データの互換性が保証され、シームレスな情報交換が実現している。

vCardファイルの構造は、プレーンテキスト形式で記述される。各vCardデータは、BEGIN:VCARDという行で始まり、END:VCARDという行で終わるブロックで構成される。このブロック内には、さまざまな情報を示すプロパティが記述される。ファイルの先頭には、vCardのバージョンを示すVERSIONプロパティが必須であり、これによりパーサー(解析プログラム)はファイルをどのvCardバージョンとして解釈すべきかを判断する。例えば、VERSION:3.0VERSION:4.0といった記述がある。

連絡先情報の各要素は、特定のプロパティ名と値のペアで表現される。代表的なプロパティとその機能は以下の通りである。

  • FN (Formatted Name): 連絡先の表示名であり、通常、人間が最も読みやすい形式で氏名が記述される。
  • N (Name): 氏名を姓、名、ミドルネーム、敬称、接尾辞といった個別のコンポーネントに分けて記述する。例として、N:家族名;名;ミドルネーム;敬称;接尾辞のようにセミコロンで区切って表現される。
  • TEL (Telephone): 電話番号を記述する。TYPEパラメータを用いることで、自宅、職場、携帯電話、FAXなどの電話番号の種類を指定できる。例としては、TEL;TYPE=WORK,VOICE:+81-3-1234-5678のように記述する。
  • EMAIL (Email): メールアドレスを記述する。これもTYPEパラメータで種類を指定することが可能である。例えば、EMAIL;TYPE=INTERNET,WORK:user@example.comといった形式をとる。
  • ADR (Address): 住所を記述する。TYPEパラメータで住所の種類(自宅、職場など)や形式(郵便用など)を指定し、郵便番号、国、都道府県、市区町村、番地、部屋番号などをセミコロンで区切って表現する。
  • ORG (Organization): 所属組織名を記述する。
  • TITLE (Title): 役職名を記述する。
  • URL (URL): 関連するウェブサイトのURLを記述する。
  • NOTE (Note): 任意のテキスト形式のメモを記述する。
  • PHOTO (Photo): 連絡先の顔写真などの画像データへのURL、またはBase64エンコードされた画像を直接埋め込む。
  • REV (Revision): vCardが最後に更新された日時を示す。
  • UID (Unique Identifier): そのvCardを一意に識別するためのグローバルな識別子であり、連絡先の同期などに利用される。
  • CATEGORIES (Categories): 連絡先を分類するためのカテゴリを記述する。

これらのプロパティは、さらにパラメータ(属性)を持つことができ、値のデータ型、エンコーディング、言語、優先順位などの詳細な情報を示す。例えば、TELプロパティで電話番号の種類を指定するためにTYPE=WORK,VOICEを使用したり、CHARSET=UTF-8で文字エンコーディングを指定したりする。一つの連絡先に対して複数の電話番号やメールアドレスが存在する場合、同じプロパティを複数行にわたって記述することで対応する。また、一行が非常に長くなる場合は、次の行の先頭にスペースまたはタブを挿入することで、その行が前の行の継続であることを示す規則がある。

vCardには主要なバージョンがいくつか存在する。v2.1は初期に広く普及し、基本的な連絡先情報を扱えた。v3.0(RFC 2426)はv2.1を拡張し、国際化対応、エンコーディング指定、URIのサポートなどを強化したもので、現在でも多くのシステムで広く採用されている。最新のv4.0(RFC 6350)は、URIをより広く利用し、地理座標(GEO)などの新しいプロパティを追加するなど、現代のインターネット環境に適応した機能と拡張性を提供している。システム開発においては、ターゲットとするシステムやアプリケーションがどのvCardバージョンをサポートしているかを意識し、互換性を確保することが重要である。

vCardは、現代のITシステムにおいて非常に多様な場面で利用されている。スマートフォンの連絡先アプリが、連絡先データのインポートやエクスポートを行う際の標準的なファイル形式として用いる。OutlookやGmailなどの主要なメールクライアントやWebメールサービスでもvCard形式がサポートされており、連絡先情報の共有や管理に利用される。企業の顧客関係管理(CRM)システムやグループウェアにおいても、連絡先情報の連携や管理にvCard形式が採用されることがある。さらに、ウェブサイトの問い合わせページやプロフィールページなどで、訪問者がクリック一つで連絡先情報をダウンロードできるようvCardファイルが提供される例も多い。カレンダーアプリが会議の出席者の連絡先を共有する際にも、vCardが用いられる場合がある。

システムエンジニアを目指す者にとって、vCardの知識は実用的な価値が非常に高い。連絡先情報を扱うシステムの開発では、vCardファイルの読み込み(パース)や生成(ジェネレート)機能を実装する必要が生じる場合がある。この際、vCardの構造、各プロパティとそのパラメータの厳密な定義を理解し、国際化対応(特に多言語での氏名や住所の扱い)、文字エンコーディングの適切な処理、異なるバージョン間の互換性といった課題に対処する能力が求められる。また、異なるシステムやサービス間でデータ連携を行う際、APIを通じて連絡先情報がvCard形式で受け渡されることも少なくないため、フォーマットを正確に解釈し、適切に処理する技術は不可欠である。vCardは単なるファイル形式ではなく、データの相互運用性を実現するための重要な標準プロトコルの一つとして、その原理と実装方法を深く理解しておくべきである。

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