【ITニュース解説】AWS Storage Gateway: Cached Volumes or Stored Volumes ?
2025年09月28日に「Dev.to」が公開したITニュース「AWS Storage Gateway: Cached Volumes or Stored Volumes ?」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AWS Storage GatewayのCached Volumesは、全データをクラウドに保存し、よく使う最新データのみをローカルにキャッシュし高速アクセスする機能だ。オンプレミスのストレージ容量を抑えつつ、必要なデータに素早くアクセスできるため、全データをローカルに置くStored Volumesよりも今回のケースに最適だ。
ITニュース解説
AWS Storage Gatewayは、企業のデータストレージをクラウドであるAmazon S3と連携させるためのサービスだ。これにより、企業はオンプレミス(自社内)のシステムから、クラウドのストレージをまるで自社内に設置されたストレージのように利用できるようになる。特に、クラウドのメリットである柔軟性や耐久性、コスト効率の良さを享受しつつ、従来のシステムとの互換性を保ちたい場合に役立つ。
ある企業では、日々生成される大量のデータを分析業務に活用している。この企業が直面しているのは、最新のデータサブセット、つまり最近更新されたり頻繁に参照されたりするデータには、素早く(低遅延で)アクセスする必要があるという点だ。一方で、分析に使う過去の古いデータは、ほとんど参照されることがない。この状況で、企業が求めるのは、全てのデータを自社内に抱えることなく、最新のデータだけは素早く手元で利用できるような効率的なストレージソリューションだった。もし全てのデータを自社内のストレージに保存しようとすると、ストレージ容量は膨大になり、管理コストも跳ね上がってしまう。
AWS Storage Gatewayにはいくつかのタイプがあるが、今回のケースで検討されるのは「Volume Gateway」というタイプだ。このVolume Gatewayには、「Stored Volumes(ストアードボリューム)」と「Cached Volumes(キャッシュドボリューム)」という、異なる特性を持つ二つのモードが存在する。
まず、「Stored Volumes」から説明しよう。このモードは、企業が保有する全てのデータセットを自社のオンプレミス環境に保存する方式だ。つまり、データの実体は全て会社内にあるストレージに存在し、クラウドであるAmazon S3には、そのデータのバックアップが定期的に、具体的にはEBSスナップショットという形で非同期に作成される。EBSスナップショットとは、ある時点でのストレージの状態を丸ごと保存する機能で、災害時などにデータを復元する際に非常に有用だ。Stored Volumesは、全てのデータに常に高速にアクセスする必要がある場合に最適な選択肢となる。
次に、「Cached Volumes」について説明する。このモードは、Stored Volumesとはアプローチが大きく異なる。Cached Volumesでは、データセットの全てがAmazon S3に保存される。つまり、データの原本はクラウド上にあるわけだ。では、自社内からアクセスする際、毎回クラウドからデータをダウンロードするのだろうか。そうではない。Cached Volumesでは、頻繁にアクセスされるデータサブセット、いわゆる「ホットデータ」と呼ばれる部分だけを、自社のオンプレミス環境にあるローカルキャッシュに一時的に保存する。これにより、アプリケーションは、クラウド上にデータの実体があっても、手元にあるキャッシュからホットデータに素早くアクセスできる。このモードは、オンプレミス環境に用意するストレージ容量を最小限に抑えつつ、かつ頻繁に使うデータには高速にアクセスしたい場合に非常に効果的だ。
先に述べた企業の課題を思い出してほしい。彼らは、古いデータはほとんど使わず、最新のデータサブセットにのみ低遅延でアクセスできればよいと考えていた。この要件に対して、「Cached Volumes」はまさに理想的なソリューションだと言える。企業は全てのデータ(最新データも古いデータも含む)をAmazon S3に保存するため、自社で膨大なストレージを管理する必要がなくなる。そして、最新データや頻繁にアクセスされるデータは自動的にオンプレミスのキャッシュに保持されるため、アプリケーションはこれらのデータに素早くアクセスできる。これにより、企業はオンプレミスのストレージ容量を大幅に節約でき、結果としてストレージに関するコストも削減できるのだ。Stored Volumesのように全てのデータをオンプレミスに保存する必要がないため、物理的なストレージの増設や管理の手間からも解放される。
Cached Volumesを利用する際の詳細についても触れておく。一つのボリュームのサイズは1GiB(ギビバイト)から最大32TiB(テビバイト)まで設定でき、必ずGiB単位の整数で指定する必要がある。また、一つのゲートウェイにつき最大32個のボリュームを接続でき、一つのゲートウェイが管理できるボリュームの合計サイズは最大1PiB(ペビバイト、1,024TiBに相当)にまで及ぶ。これらのボリュームは、iSCSI(インターネットSCSI)というプロトコルを通じて、自社内のサーバーにまるで直接接続されたストレージのように利用される。iSCSIは、ネットワーク経由でSCSIコマンドをやり取りするための標準的な技術で、これにより、既存のサーバーやアプリケーションが、物理的に離れた場所にあるストレージをローカルストレージのように扱えるようになる。
一方で、「Stored Volumes」がこの企業にとってなぜ適切ではないのかも明確にしておこう。Stored Volumesは、全てのデータセットをオンプレミスに保存することを前提としている。つまり、データ量が増えれば増えるほど、企業は自社内のストレージを拡張し続けなければならない。これは、企業が「最新のデータサブセットにのみ頻繁にアクセスできればよく、全てのデータは手元に必要ない」という当初の要件と真っ向から対立する。不必要なデータまで手元に置くことは、ストレージの購入費用、電力コスト、管理の手間など、多大なコストと運用負担を企業にもたらしてしまう。
以上の点を踏まえると、最新のデータサブセットにのみ低遅延でアクセスしたい一方で、全てのデータをオンプレミスに保存するコストや手間を避けたいという企業の要件に対しては、AWS Storage GatewayのVolume Gatewayを「Cached Volumes」モードで利用するのが最善の選択であることが分かる。このモードは、クラウドのメリットとオンプレミスの使いやすさを両立させ、必要な時に必要なデータに高速アクセスできる効率的なストレージ環境を実現するのだ。Stored Volumesは、全てのデータに低遅延でアクセスする必要がある場合には強力な選択肢だが、今回の企業のようにデータ利用パターンが特定の部分に集中するケースでは、その利点を十分に活かせず、かえって非効率になる可能性がある。