SCSI(スカジー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
SCSI(スカジー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
シー・エス・シー・アイ (シーエスシーアイ)
英語表記
SCSI (スカジー)
用語解説
SCSI (Small Computer System Interface) とは、コンピュータとハードディスクドライブ、CD-ROMドライブ、スキャナ、プリンタといった様々な周辺機器とを接続するためのインターフェース規格である。かつては特に高性能なストレージシステムやサーバー、ワークステーションなどのエンタープライズ用途において、高速なデータ転送と高い信頼性が求められる場面で広く採用されてきた重要な技術だ。
この規格は、複数のデバイスを一本のバスに接続できる「デイジーチェーン接続」という特徴を持つ。コンピュータ側にSCSIコントローラと呼ばれる専用のインターフェースカードを搭載し、そこから伸びるケーブルに複数のSCSIデバイスを直列に接続していく方式だ。各SCSIデバイスには0から7、あるいはそれ以上の範囲でユニークな「SCSI ID」と呼ばれる識別番号を割り当てる必要があった。また、SCSIバスの物理的な両端には「ターミネータ」と呼ばれる終端抵抗を設置しなければならなかった。これは、電気信号がバスの端で反射してノイズを発生させるのを防ぎ、信号品質を保つために不可欠な要素だった。これらの設定が正しく行われないと、デバイスが認識されない、あるいは正常に動作しないといったトラブルの原因となることがあり、初期のコンピュータ初心者にとってはやや複雑に感じられる側面もあった。
SCSIは、その進化の過程で数多くのバージョンが登場した。最初の「SCSI-1」は比較的小規模なシステム向けだったが、その後、より高速な「Fast SCSI」や「Wide SCSI」が登場し、データ転送速度が向上し、バス幅(一度に転送できるデータ量)も拡張された。さらに「Ultra SCSI」「Ultra2 SCSI」「Ultra320 SCSI」といった後継規格が次々と登場し、最終的には数百MB/秒という高速なデータ転送速度を実現するまでになった。これらの進歩は、データ量の増大に伴うストレージ性能の要求に応える形で発展していったものだ。
SCSIの大きな利点の一つは、その汎用性にある。ハードディスクドライブだけでなく、CD-ROMドライブ、DATドライブ、スキャナ、MOドライブなど、多種多様なデバイスが共通のSCSIコマンドセットで制御できた。これにより、システムインテグレーターやユーザーは、異なる種類のデバイスを単一のインターフェースで管理できるというメリットを享受できた。また、SCSIコントローラは、接続された複数のデバイスからのデータ転送要求を効率的に処理できる能力を持っていたため、マルチタスク環境やサーバーのような高いI/O性能が求められるシステムにおいて、安定したパフォーマンスを発揮した。特に、複数のハードディスクを連携させて高速化や冗長化を図るRAID (Redundant Array of Independent Disks) システムを構築する際にも、SCSIは非常に信頼性の高い選択肢であった。
しかし、SCSIにはいくつかの課題も存在した。一つは、インターフェースカードやケーブル、そしてSCSIデバイス自体が高価であったことだ。これは、一般消費者向けのPCにおいては導入のハードルとなる要因だった。また、前述したように、ターミネータの設定やSCSI IDの割り当てなど、物理的な接続設定が複雑であり、トラブルシューティングにも専門知識を要することがあった。さらに、並列SCSIと呼ばれる初期のSCSI規格では、ケーブル長に厳密な制限があり、長距離接続には適していなかった。
時代が進むにつれて、SCSIは徐々に他のインターフェース技術に道を譲ることになる。特に、一般消費者向けPC市場においては、安価で設定が容易なIDE/ATA (Integrated Drive Electronics / Advanced Technology Attachment) や、そのシリアル版であるSATA (Serial Advanced Technology Attachment) が主流となった。SATAは、細いケーブルで取り回しがしやすく、デバイスIDやターミネータ設定が不要という点で優位性があった。
一方で、SCSIの思想は完全に消え去ったわけではない。SCSIのコマンドセットと信頼性を継承しつつ、物理的な接続をシリアル化した「SAS (Serial Attached SCSI)」が登場した。SASは、SATAとの互換性を持ちながら、より堅牢なエンタープライズ環境での利用を想定しており、ホットプラグ(稼働中にデバイスの抜き差しができる)やマルチパス(複数の経路で接続し冗長性を高める)といった高度な機能を提供した。現在でもサーバーや高性能なストレージアレイにおいて、SASは重要なインターフェースとして利用されている。
さらに近年では、SSD (Solid State Drive) の普及に伴い、PCI Expressバスを直接利用し、ストレージデバイスの性能を最大限に引き出すための「NVMe (Non-Volatile Memory Express)」といった新しいインターフェースが主流となりつつある。これは、従来のSCSIやSATA/SASといったインターフェースが持つプロトコルオーバーヘッドを削減し、SSDの持つ高速性をよりダイレクトに活かすためのものだ。
このように、SCSIはコンピュータの黎明期から高度なストレージシステムを支え、信頼性と性能を追求する中で進化を遂げてきた。その直接的な形態はほとんど見られなくなったが、その設計思想やコマンドセットは、SASという形で今日のエンタープライズストレージ技術に受け継がれており、IT技術の進化の一端を担った重要な足跡として記憶されるべき規格である。