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【ITニュース解説】Exploring Azure Functions for Synthetic Monitoring with Playwright: A Complete Guide - Part 3

2025年09月11日に「Dev.to」が公開したITニュース「Exploring Azure Functions for Synthetic Monitoring with Playwright: A Complete Guide - Part 3」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Azure FunctionsとPlaywrightで監視ソリューションを開発する際、Azuriteを使えばローカルでテストできる。これにより、Azure費用をかけずに素早くデバッグし、本番デプロイ前に検証可能。効率的かつ低コストで開発が進む利点がある。

ITニュース解説

この記事は、ウェブサイトやサービスの健全性を自動的に監視する「シンセティックモニタリング」という技術を、より効率的に開発・テストするためのローカル環境構築について解説している。シンセティックモニタリングとは、実際のユーザーのようにプログラムが定期的にウェブサイトを訪問し、正しく動作するかどうかを確認する仕組みだ。例えば、ECサイトで「商品をカートに入れる」といった一連の操作を自動で実行し、エラーが発生しないかをチェックする用途で使われる。この監視システムを開発する際、クラウド環境に毎回デプロイしてテストを行うのは時間もコストもかかるため、ローカル環境で手軽に開発・デバッグできる仕組みが必要となる。本記事では、そのための具体的な方法として、Azure Functions、Playwright、そしてAzuriteというツールを組み合わせる方法を紹介している。

まず、主要な技術要素について簡単に説明する。Azure Functionsは、サーバーの管理なしにコードを実行できる「サーバーレス」なサービスだ。特定のイベント(例えば、一定時間ごとに実行するタイマーなど)をきっかけに、必要なときだけコードが動き、処理が終わればすぐに停止するため、リソースを効率的に利用できる。次にPlaywrightは、ウェブブラウザを自動操作するためのツールで、ウェブサイトの動作テストや、まさにシンセティックモニタリングのような自動監視に広く利用されている。これらの技術を組み合わせることで、Azure Functionsが定期的にPlaywrightを起動し、ウェブサイトの監視を実行するといったシステムを構築できる。

ローカル環境でこのようなシステムを開発する利点は多岐にわたる。最も大きなメリットは、Azureの利用料金を気にせず開発できることだ。クラウドサービスは利用した分だけ費用が発生するため、開発中の小さな変更ごとにデプロイしてテストしていると、予想外のコストがかかる場合がある。ローカル環境なら、そうした費用は一切かからない。また、開発サイクルを高速化できる点も重要だ。コードを少し変更するたびにデプロイを待つ必要がなく、手元の環境で即座に動作確認できるため、試行錯誤が格段にスムーズになる。さらに、バグが発生した際も、ローカル環境であれば開発ツールを使って詳細なデバッグ(プログラムの実行を一時停止させ、変数の値などを確認しながら問題箇所を特定する作業)を容易に行える。インターネット接続が不安定な場所やオフラインでも開発を進められることも、ローカル環境の柔軟性を示すものだ。

このローカル開発環境のアーキテクチャは、実際のAzure環境を模倣している。まず、Azure Timer Triggerが定期的に監視処理の開始を指示する。ローカル環境では、このタイマートリガーの役割をAzuriteが担う。その指示を受けてAzure Functionが起動し、その中でPlaywright Test Runnerがウェブサイトへのアクセスや操作を行う。Playwrightによるテストが完了すると、その結果は処理され、成功・失敗といったステータスや詳細なデータが二つの場所に送られる。一つは、システムの稼働状況やパフォーマンスデータを収集・可視化する「Application Insights」で、もう一つは、スクリーンショットやエラーログなどの詳細な成果物を保存するための「Azure Blob Storage」だ。Azuriteは、このAzure Blob Storageの役割もローカルでエミュレートする。

ローカル開発を始める前に、いくつかのツールを準備する必要がある。まず、Node.js 18以上が必要だ。これはJavaScriptの実行環境であり、多くのウェブ開発ツールやライブラリの基盤となっている。次に、Azure Functions Core Tools v4をインストールする。これはAzure Functionsをローカルで開発・テストするためのコマンドラインツールだ。Node.jsのパッケージマネージャーであるnpmを使って、「npm install -g azure-functions-core-tools@4 --unsafe-perm true」というコマンドでグローバルにインストールできる。さらに、Azure Storage Emulatorの役割を果たすAzuriteもインストールが必要で、これもnpmを使って「npm install -g azurite」と実行する。Azure Storage Explorerはオプションだが、Azuriteが保存したローカルストレージの内容を視覚的に確認したい場合に便利なGUIツールだ。

Azuriteの設定は、ローカルでAzure Storageの機能を模倣するために非常に重要だ。Azuriteは、AzureのBlob Storage(ファイルを保存するサービス)、Queue Storage(メッセージキューイングサービス)、Table Storage(構造化データを保存するNoSQLデータベース)をローカルでエミュレートできる。グローバルにインストールした後、「azurite --silent --location ./azurite --debug ./azurite/debug.log」のようなコマンドで起動する。--locationはデータが保存されるディレクトリを指定し、--debugはデバッグログの出力先、--silentはコンソールへの出力を抑えるオプションだ。さらに、--blobHost--blobPortなどのオプションを使って、Blob Storageが待ち受けるIPアドレスやポート番号を細かく設定することもできる。これらの設定により、ローカルで実行されるAzure Functionsが、まるで実際のAzure Blob Storageに接続しているかのように振る舞うことを可能にする。

ローカル環境でAzure Functionsを動作させるためには、「local.settings.json」という設定ファイルが必要となる。このファイルには、環境変数としてさまざまな設定を記述する。特に重要なのが、「AzureWebJobsStorage」だ。これはAzure Functionsのランタイム(実行環境)が内部的に使用するストレージの接続文字列で、Azuriteが提供するローカルストレージのエンドポイントを指すように設定する。具体的には「DefaultEndpointsProtocol=http;AccountName=devstoreaccount1;...BlobEndpoint=http://127.0.0.1:10000/devstoreaccount1;」のような形式で記述し、Azuriteがローカルで提供するストレージサービスのアカウント名や接続先ポートを指定する。また、「AZURE_STORAGE_CONNECTION_STRING」は、開発者が自分で記述したBlob Storageを操作する関数が利用する接続文字列だ。「APPLICATIONINSIGHTS_CONNECTION_STRING」は、テスト結果をApplication Insightsに送信するために必要で、ローカル環境では開発用の一時的な接続文字列を設定する。「BLOB_CONTAINER_NAME」は、Playwrightのテスト成果物(スクリーンショットなど)を保存するBlobコンテナの名前を指定する。「SYNTHETIC_MONITOR_SCHEDULE」は、タイマートリガーが実行される頻度を設定するもので、ローカルテスト中は「0 */5 * * * *」(5秒ごと)のように短い間隔で設定し、頻繁にテストを実行できるようにする。

具体的なローカル開発のワークフローは、通常、複数のターミナルウィンドウを使って行われる。まず、一つのターミナルでAzuriteを起動する。これは前述の「azurite --silent --location ./azurite --debug ./azurite/debug.log」コマンドを実行するだけだ。これにより、ローカルでストレージサービスが稼働し始める。次に、別のターミナルでAzure Functionsをビルドし、ローカルで起動する。TypeScriptで書かれたコードの場合は、「npm run build」でコンパイルした後、「func start --typescript」コマンドでFunctionsランタイムを起動する。これにより、local.settings.jsonで設定されたタイマースケジュールに従って、Azure Functionが自動的に実行されるようになる。もし、タイマーに頼らず手動でPlaywrightテストを実行したい場合は、さらに別のターミナルで「npx playwright test」コマンドを直接実行することも可能だ。この一連の流れにより、コードの変更、Azuriteによるローカルストレージへのアクセス、Functionsの実行、Playwrightによるウェブテスト、そしてApplication Insightsへの結果報告まで、全てをローカル環境で完結させることができる。

結論として、Azuriteを使ったローカル開発環境の構築は、シンセティックモニタリングのような複雑なシステムの開発において、非常に大きな価値を提供する。開発者は、Azureの料金を気にすることなく、迅速な開発サイクルでコードの変更や機能追加を行える。また、バグが発生した場合でも、ローカル環境ならではの詳細なデバッグ機能を利用して、効率的に問題を解決できる。Azuriteが提供するストレージのエミュレーション機能と、ローカルで動作するAzure Functionsの組み合わせは、本番環境に近い動作を再現しながらも、開発に必要な柔軟性と制御を最大限に提供し、開発プロセス全体の生産性を大きく向上させるものだ。このアプローチは、コストを抑えつつ、品質の高いシンセティックモニタリングソリューションを構築するための強力な基盤となる。

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