【ITニュース解説】[Boost]

2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「[Boost]」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

AWSのKubernetesサービス(EKS)上のアプリをインターネットに公開する手順を解説。AWS Load Balancer Controllerを使い、「LoadBalancer」サービスや「Ingress」の設定で、AWSのロードバランサーを自動的に作成・連携させる方法を紹介する。

出典: [Boost] | Dev.to公開日:

ITニュース解説

クラウド上でアプリケーションを動かすことは、現代のシステム開発において標準的な手法となっている。その中心的な技術として、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、スケーリング、管理を自動化するコンテナオーケストレーションツールであるKubernetesが広く利用されている。Amazon Web Services (AWS)が提供するAmazon Elastic Kubernetes Service (EKS)は、このKubernetes環境の構築や運用に伴う複雑な作業をAWSに任せることができるマネージドサービスであり、多くの開発者に支持されている。しかし、EKSクラスター上でアプリケーションを起動させただけでは、そのアプリケーションはクラスター内部の閉じたネットワークからしかアクセスできない。これをインターネットにいる不特定多数のユーザーに利用してもらうためには、外部からのアクセス経路を確立する必要がある。そのための代表的な方法として、AWSのロードバランサーと連携させる仕組みが存在する。

Kubernetesにおけるアプリケーションの実行単位はPodと呼ばれる。通常、複数のPodが連携して一つのサービスとして機能する。これらのPod群に対して、クラスター内部で安定したアクセスポイントを提供するための仕組みがServiceである。このServiceや、より高度なルーティング機能を持つIngressという仕組みを利用することで、Podで実行されているアプリケーションを外部に公開できる。特にEKS環境では、AWS Load Balancer Controllerというツールが重要な役割を果たす。これは、Kubernetesクラスター内での設定変更を監視し、その設定内容に応じてAWSのロードバランサーを自動的に作成、設定、削除してくれる便利なコンポーネントである。このコントローラーのおかげで、開発者はAWSの管理画面を直接操作することなく、Kubernetesの作法に則った設定ファイルを作成するだけで、アプリケーションの公開設定を完結させることができる。

アプリケーションを外部に公開する一つ目の方法は、ServiceリソースのタイプにLoadBalancerを指定することである。開発者がtype: LoadBalancerと記述されたServiceの定義ファイルを作成し、Kubernetesクラスターに適用すると、AWS Load Balancer Controllerがこれを検知する。そして、自動的にAWS上にNetwork Load Balancer (NLB)をプロビジョニングし、そのNLBと対象のServiceを紐付ける。NLBは、ネットワークのトランスポート層(レイヤー4)で動作し、TCPやUDPといったプロトコルのトラフィックを高速に分散処理することに長けている。この方法では、生成されたNLBに一つのグローバルIPアドレスが割り当てられ、そのアドレス宛のすべてのトラフィックが、指定されたPod群へと直接転送される。設定がシンプルであり、高性能なネットワーク通信が求められるアプリケーションを単独で公開する場合に適している。

二つ目の方法は、Ingressリソースを利用することである。Ingressは、HTTPやHTTPSといったアプリケーション層(レイヤー7)のトラフィックを管理するための、より高機能な仕組みだ。Ingressリソースの定義ファイルを作成してクラスターに適用すると、AWS Load Balancer ControllerはAWS上にApplication Load Balancer (ALB)を自動で作成する。ALBの大きな特徴は、リクエストの内容、例えばホスト名(例: api.example.com)やURLのパス(例: /users/products)に基づいて、トラフィックの振り分け先を動的に変更できる点にある。これにより、一つのALBを入り口として、その後ろに存在する複数の異なるサービス(Pod群)へとアクセスを適切にルーティングすることが可能になる。例えば、/apiで始まるリクエストはAPIサーバーのPod群へ、/webで始まるリクエストはWebサーバーのPod群へといった制御ができる。この方法は、複数のマイクロサービスを運用している場合に特に有効で、ロードバランサーの数を一つに集約できるため、コスト効率が非常に良い。また、SSL/TLS証明書の設定や管理もALBで一元的に行えるため、運用上のメリットも大きい。

結論として、EKS上で稼働するKubernetesアプリケーションをインターネットに公開するには、主に二つの選択肢がある。LoadBalancerタイプのServiceは、NLBを利用して特定のサービスをシンプルかつ高速に公開したい場合に最適な方法である。一方、Ingressは、ALBを利用してURLベースの柔軟なルーティングを実現し、複数のサービスを一つのエンドポイントで効率的に公開したい場合に非常に強力な選択肢となる。どちらの方法を選択するかは、アプリケーションの要件、構成、そしてコストなどを総合的に考慮して決定する必要がある。AWS Load Balancer Controllerの存在により、これらの複雑な連携が自動化され、開発者はアプリケーションロジックの実装に集中できる環境が整えられている。システムエンジニアを目指す上で、こうしたクラウドネイティブな技術を理解し、適切に使い分ける能力は不可欠なスキルと言えるだろう。

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