【ITニュース解説】How I Built (and Debugged) My First Web3 App in a Single Afternoon
2025年10月04日に「Medium」が公開したITニュース「How I Built (and Debugged) My First Web3 App in a Single Afternoon」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
筆者がWeb3アプリをたった半日で開発し、デバッグした経験を解説する。Web3の基礎から構築プロセス、直面した課題と解決策まで、初心者にも分かりやすく具体的に紹介している。Web3開発への挑戦を考えているエンジニア志望者にとって参考になるだろう。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す初心者がWeb3アプリ開発の世界に足を踏み入れる上で、最初に体験するであろう「構築とデバッグ」のプロセスについて解説する。Web3は、ブロックチェーン技術を基盤とした次世代のインターネットであり、従来のWebとは異なる概念とツールが必要となる。この解説では、著者が実際に体験したWeb3アプリの構築過程を通して、その基本的な流れと、特に初心者がつまずきやすいデバッグのポイントを具体的に理解することを目指す。
まず、Web3とは何かという点から始めよう。従来のインターネット(Web2.0)が、GoogleやFacebookのような中央集権的な企業が提供するサービスを中心に展開されてきたのに対し、Web3は「分散型」の思想を核とする。これは、特定の管理者がいなくても、ネットワーク上の参加者全体でデータを共有し、サービスを運営するという考え方だ。この分散型を実現する主要な技術がブロックチェーンであり、その上で自動的に実行されるプログラムを「スマートコントラクト」と呼ぶ。スマートコントラクトは一度ブロックチェーンにデプロイされると、設定された条件に基づいて確実に実行されるため、信頼性の高いサービス構築が可能になる。
著者は、このWeb3の可能性に魅力を感じ、実際に手を動かすことで理解を深めようと決意した。目標は、わずか一日でシンプルなWeb3アプリケーション(DApp)を構築すること。このDAppは、ブロックチェーン上にメッセージを保存し、表示するという基本的な機能を備えるものだ。
開発を開始するにあたり、いくつかの重要なツールと環境を準備する必要がある。まず、ブロックチェーンへのアクセスを容易にするための「Alchemy(アルケミー)」というサービス。ブロックチェーンのノード(ネットワークのサーバーのようなもの)を自分で構築するのは非常に手間がかかるため、Alchemyのようなクラウドサービスを利用することで、手軽にブロックチェーンと通信できるようになる。次に、スマートコントラクトの開発を効率的に進めるためのフレームワーク「Hardhat(ハードハット)」。これはSolidity(ソリディティ)というスマートコントラクト開発言語で書かれたコードのコンパイル、テスト、デプロイ(ブロックチェーンへの展開)までを一元的に管理できる強力なツールだ。そして、Web3アプリケーションとユーザーのブロックチェーンウォレットを接続するための「MetaMask(メタマスク)」。これはブラウザの拡張機能として提供され、ユーザーが自分のデジタル資産を管理し、DAppからのトランザクション(取引)要求を承認するための重要なインターフェースとなる。これらのツールに加え、JavaScriptの実行環境であるNode.jsとパッケージマネージャーのnpmも必要となる。
環境が整ったら、いよいよスマートコントラクトの開発に着手する。Solidityを使って、メッセージを保存する変数と、そのメッセージを更新する関数、そして現在のメッセージを取得する関数を実装した。このコントラクトは、Hardhatを使ってローカル環境でコンパイルされ、テストが実行される。ローカル環境でのテストは、実際のブロックチェーンにデプロイする前に、コントラクトが意図通りに動作するかを確認する上で非常に重要だ。
コントラクトが完成したら、いよいよブロックチェーンへのデプロイだ。今回は、実際の資金を使わずにテストができる「Sepolia(セポリア)」というテストネットを利用した。テストネットは、メインネット(本物のブロックチェーン)と同じ機能を持つが、使用される暗号資産はテスト用のものであり、価値がないため、安心して開発を進められる。Hardhatのデプロイスクリプトに、Alchemyから取得したテストネットのエンドポイントURLと、MetaMaskからエクスポートした秘密鍵(ウォレットの所有権を証明する情報)を設定し、コントラクトをSepoliaに展開した。このデプロイ処理には、「ガス代」と呼ばれるブロックチェーン上での取引手数料が必要となるため、事前にテストネット用の仮想的なイーサリアム(ETH)をMetaMaskウォレットに用意しておく必要がある。
次に、ユーザーインターフェースとなるフロントエンド、つまりDAppの開発だ。著者はReactなどの一般的なJavaScriptフレームワークを使用し、Ethers.js(イーサーズ・ジェイエス)というライブラリを使ってスマートコントラクトとの連携を実装した。Ethers.jsは、JavaScriptからスマートコントラクトの関数を呼び出したり、コントラクトの状態を読み取ったりするための便利な機能を提供する。このDAppはMetaMaskを通してユーザーのウォレットと接続し、ユーザーの承認を得てコントラクトの関数を実行することで、ブロックチェーン上のメッセージを更新したり、取得したりする。
しかし、開発は常にスムーズに進むわけではない。特にWeb3開発においては、従来のWeb開発とは異なる概念が多いため、多くのデバッグ作業が必要となる。著者が直面した主なデバッグの課題は次の通りだ。まず、DAppがMetaMaskウォレットを正しく検出できない、あるいは接続が拒否されるといった接続関連のエラー。これはブラウザのキャッシュの問題やMetaMaskの設定ミスが原因となることが多い。次に、スマートコントラクトのデプロイ時のエラー。ガス代の不足やネットワーク設定の誤りなどが考えられ、HardhatのログやAlchemyのダッシュボードでエラーの詳細を確認し、解決していく。
そして、最も重要な、かつ初心者がつまずきやすいポイントが、フロントエンドからスマートコントラクトの関数を呼び出す際のエラーだ。特に「provider(プロバイダー)」と「signer(サイナー)」の概念の混同は、Web3開発で頻繁に発生する。
providerは、ブロックチェーンからデータを「読み取る」ための接続だ。例えば、現在のメッセージの内容を取得するような、ブロックチェーンの状態を変更しない操作に使用する。この操作は誰でも実行でき、通常はガス代もかからない。
一方、signerは、ブロックチェーンのデータを「変更する」ための接続だ。例えば、メッセージを更新するような、ブロックチェーンの状態を変更するトランザクションを発生させる操作に使用する。この操作にはユーザーの署名(MetaMaskでの承認)が必要であり、ガス代も発生する。
著者は当初、メッセージを更新する関数をproviderで呼び出そうとしてエラーに直面した。これはブロックチェーンの状態を変更する操作であるため、signerを使って実行する必要があったのだ。このproviderとsignerの使い分けを理解することは、Web3アプリケーションの動作原理を深く理解する上で不可欠な要素である。エラーメッセージを注意深く読み解き、公式ドキュメントや開発者コミュニティの情報を参照することで、この問題は解決された。
初めてのWeb3アプリ開発は、従来のWeb開発とは異なる独特の困難を伴うが、その分、多くの新しい学びと達成感をもたらす。ブロックチェーン、スマートコントラクト、ウォレット、ガス代といったWeb3固有の概念を理解し、HardhatやEthers.jsのような専門ツールを使いこなす能力が求められる。そして何よりも、エラーが発生した際に、その原因を特定し、解決へと導くデバッグスキルが不可欠だ。この一日の挑戦は、Web3の世界への第一歩として、その可能性と複雑さの両方を体験する貴重な機会となった。