【ITニュース解説】Beyond Renewables: The Essential Role of CCUS in Achieving Climate Resilience and SDG 13

気候変動への対策は、現代社会が直面する最も重要な課題の一つであり、国際的な目標として国連の持続可能な開発目標（SDGs）の13番目「気候変動に具体的な対策を」が掲げられている。この目標達成に向けた取り組みとして、太陽光や風力といった再生可能エネルギーの導入が世界中で進められているが、それだけでは十分ではないという現実がある。そこで、気候変動を抑制し、持続可能な社会を構築するためのもう一つの重要な技術として「CCUS」が注目されている。CCUSとは、二酸化炭素（CO2）を回収・利用・貯留する一連の技術の総称である。具体的には、Carbon Capture（回収）、Utilization（利用）、Storage（貯留）の三つの要素から構成される。

まず、気候変動対策として再生可能エネルギーが中心的な役割を担うことは間違いない。しかし、再生可能エネルギーにはいくつかの課題が存在する。例えば、太陽光発電や風力発電は天候に左右されるため、電力供給が不安定になりやすい。また、すべての産業がエネルギー源を電力に切り替えられるわけではない。特に、セメント、鉄鋼、化学といった産業は「ハード・トゥ・アベイト（排出削減が困難な）産業」と呼ばれる。これらの産業では、製造プロセスそのものから大量のCO2が副産物として排出されるため、使用するエネルギーを再生可能エネルギー由来のものに変えるだけでは、CO2排出量をゼロにすることは極めて難しい。こうした再生可能エネルギーだけではカバーしきれない領域のCO2排出を削減するために、CCUS技術が不可欠となる。

CCUSの最初のステップである「Capture（回収）」は、発電所や工場の排気ガスなど、特定の排出源からCO2を分離して集める技術である。様々な化学的・物理的な手法が開発されており、排気ガスの中からCO2だけを選択的に取り出す。この技術により、CO2が大気中に放出されるのを防ぐことができる。さらに近年では、特定の排出源からだけでなく、大気中にすでに存在するCO2を直接回収するDAC（Direct Air Capture）という技術も開発が進んでおり、過去の排出分を削減する「カーボンネガティブ」への道を開く可能性を秘めている。

次のステップは「Utilization（利用）」と「Storage（貯留）」であり、回収したCO2の行き先を示す。まず「Utilization」は、回収したCO2を資源として有効活用するアプローチだ。例えば、CO2を原料として化学製品や合成燃料、プラスチックなどを製造したり、コンクリートの製造過程でCO2を吸収させて固めたりする技術が研究されている。これにより、CO2を単なる廃棄物ではなく、付加価値を持つ製品に変えることができる。

一方、「Storage」は、利用しきれないCO2を安全な場所に長期間にわたって閉じ込める技術である。回収したCO2を圧縮して液体状にし、地下深くにある帯水層や枯渇したガス田といった、安定した地層の中に注入して貯留する。地層が蓋の役割を果たすことで、CO2が再び地表に漏れ出すのを防ぐ。この方法は、大規模なCO2排出量を削減する上で非常に有効な手段と考えられている。

このように、CCUSは化石燃料に依存せざるを得ない産業や、排出削減が困難な産業にとって、脱炭素化を進めるための現実的な解決策を提供する。また、再生可能エネルギーへの完全な移行が完了するまでの過渡期において、既存のインフラを活用しながらCO2排出を抑制する「つなぎ」の技術としても重要な役割を果たす。

ただし、CCUSは万能な解決策ではなく、いくつかの課題も抱えている。最も大きな課題はコストである。CO2を回収し、輸送し、貯留するための一連の設備には莫大な初期投資と運転費用が必要となる。また、CO2を回収するプロセス自体がエネルギーを消費するため、そのエネルギーをどこから供給するのかという問題もある。さらに、CO2を長期間にわたって安全に貯留できる適切な場所の確保や、万が一の漏洩リスクに対する管理体制の構築も重要である。これらの課題を克服するためには、継続的な技術開発によるコスト削減や、政府による政策的な支援、そして国際的な協力体制の構築が不可欠となる。CCUSは気候変動対策における単独の解決策ではないが、再生可能エネルギーの普及と両輪で進めることで、ネットゼロ社会の実現を加速させるための重要な技術ポートフォリオの一部を構成するものである。