【ITニュース解説】From ChatGPT Prototype to Real AI Assistant: How I Automated My Daily Planning
2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「From ChatGPT Prototype to Real AI Assistant: How I Automated My Daily Planning」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
ChatGPTで日次計画を作る際、手動作業が多く非効率だった。著者はChatGPTの思考力とZapierの自動実行力を組み合わせ、計画立案からOutlook登録まで自動化。手作業をなくし、AIを実用的なアシスタントに変えた。AIはツールと連携させることで真価を発揮する。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、最先端の技術動向を理解することは非常に重要である。この記事は、大規模言語モデル(LLM)であるChatGPTを活用して日々の業務を自動化しようとした筆者の経験を通じて、現在のAI技術の可能性と現実的な課題、そしてそれらを克服するための具体的なアプローチを示している。
筆者は、自身の毎日の計画作成を効率化するため、まずChatGPTを利用して理想的なスケジュールの設計を試みた。ChatGPTは、複雑なタスクの優先順位付け、移動時間や休憩時間の考慮など、人間の思考に近い形でスケジュール案を提案する能力に優れていた。しかし、実際にこのAIによる計画を毎日実行しようとすると、思いがけない手作業が発生した。具体的には、毎朝新しいChatGPTのチャットを開き、過去に成功した計画作成のプロンプト(AIへの指示文)を探し出し、それをコピーペーストしてその日のタスクに合わせて修正する必要があった。さらに、Outlookカレンダーと連携するために毎回コネクタを手動で有効にし、ChatGPTが生成したスケジュールファイル(.ics形式)をダウンロードし、それをOutlookに手動でインポートするという一連の作業が毎日繰り返された。この「自動化」と称されたプロセスは、実際には毎日10分もの手作業を要し、筆者にとっては自動化どころか、面倒な「儀式」となっていた。ChatGPTはAIの可能性を鮮やかに示してくれたが、日々の実用性という点では課題を残したのである。
この経験は、現在のAI、特に大規模言語モデルが持つ特性を浮き彫りにした。LLMは、プロトタイピング、つまり新しいアイデアやシステムの試作を短期間で行う能力に極めて優れている。筆者は、コードを一切書くことなく、数時間で「動く」アシスタントシステムを構築できた。ChatGPTが多様なタスクの優先順位を分析し、完璧な形式のスケジュールファイルを生成できたことは、LLMがアイデアを迅速に具現化する強力なツールであることを示している。
しかし、LLMには自律性や永続性といった点で限界があることも明らかになった。ChatGPTは、筆者が45分間の会議ブロックを好むことや、午前10時までは集中しにくいといった個人的な好み、あるいは前日の計画設定といった基本的な情報を記憶していなかった。そのため、毎日同じような指示を繰り返し与える必要があり、時には過去のチャット履歴から適切なプロンプトを探し出す「考古学的作業」が必要になった。また、会話の途中で出力フォーマットを忘れてしまい、手動で修正が必要になることもあった。このような状況では、AIの持つ「魔法」は、すぐに手動作業の煩わしさに打ち消されてしまう。このことから筆者が得た重要な教訓は、LLMが優れた「推論エンジン」である一方、それ自体が自律的な「自動化プラットフォーム」ではないという事実である。ChatGPTがOutlookと「連携」すると言っても、その実態は、連携プロセスの大部分をユーザー自身が手動で行っているに過ぎなかった。
このような状況に対し、筆者はChatGPTを諦めるのではなく、その得意な部分である「思考」や「推論」に特化させ、実際の「実行」は別のツールに任せるという発想転換を行った。ここで導入されたのが「Zapier(ザピアー)」というノーコード自動化プラットフォームである。Zapierは、Outlook、Slack、Google Docsなど数千もの異なるアプリケーションを連携させ、特定のトリガー(きっかけ)に基づいて自動でタスクを実行させるツールだ。プログラミングの専門知識がなくても、視覚的なインターフェースを通じて簡単にさまざまなアプリケーション間の連携を構築できる点が特徴である。
Zapierを導入したことで、筆者の朝の計画作成ワークフローは劇的に改善された。まず、ユーザーはカスタマイズされたGPT(カスタムGPT)にその日のタスクを伝える。すると、ChatGPTはそのタスクの優先順位やタイミングについてインテリジェントに推論し、最適な計画を立てる。この計画の情報は、Zapierを通じて瞬時にOutlookカレンダーにイベントとして作成・更新されるようになった。これにより、ファイルのダウンロードやアップロード、手動での連携作業、そしてこれまで毎日行っていた10分間の手動プロセスは一切不要になったのだ。この新しい仕組みは、プログラミングを必要とせず、ChatGPTによる「思考」とZapierによる「自動的な行動」というシンプルな連携で実現された。ChatGPTは引き続き、時間配分や優先順位付けといった高度な推論を担当し、Zapierはソフトウェアが最も得意とする「決定された内容を自動的かつ正確に実行する」という役割を担う。まさに「思考 → 行動 → 完了」という、摩擦のないスムーズなワークフローが確立されたのである。
このシンプルな変更は、筆者の日々の業務に大きな変革をもたらした。これまで計画作成につきものだった煩わしさは解消され、毎日10分かかっていた作業がわずか30秒で完了するようになった。作業時間が大幅に短縮されることで、筆者は日々の計画作成を楽しみにするまでになった。また、この変化によってAIアシスタントは「永続的な記憶」を持つことになった。カスタマイズされたGPTが、筆者のスケジューリングの好み、特定の時間ブロック、必要なバッファ、出力形式のルールなど、時間をかけて完璧に仕上げた詳細なプロンプトを記憶するようになったため、毎日チャット履歴を検索したり、指示を再入力したりする手間が一切なくなったのである。筆者の頭の中や散らばったチャットの会話の中に存在していた計画ロジックが、今では再利用可能な「頭脳」としてAIアシスタントに蓄積されたのだ。
さらに、このシステムはスケーラブルなものになった。同じ設定を他の人の週間計画作成や、チームのミーティングスケジュール調整、さらにはマーケティングタスクの自動化など、様々な場面に応用できるようになった。AIによる推論と信頼性の高い実行が必要なあらゆる状況で、この連携パターンは有効に機能する。この経験を通じて筆者が最も驚いたのは、自動的に作成されたカレンダーを再び信頼できるようになったことだ。自分の実際の優先順位に基づいたインテリジェントな推論によってカレンダーに表示されるイベントは、筆者にとって信頼できる指針となり、日々の業務における迷いを解消した。この実験は、LLMと自動化プラットフォームの組み合わせがまさに最適な「スイートスポット」であることを示した。ChatGPTがアイデアの実現可能性を素早く証明し、Zapierがそのアイデアを日々の生活で「使える」ものに変え、繰り返し発生する退屈なタスクを排除したのである。
この経験から得られた教訓は、システムエンジニアを目指す皆さんにとって重要である。第一に、ChatGPTはこれまでになく最高のプロトタイピングツールだということだ。日々の業務を整理するためのスクリプトやAPI呼び出しなど、どんなものでも迅速に作成し、「動くソリューション」を短時間で手に入れることができる。しかし第二に、ChatGPT自体は自律的な自動化エンジンではないという点だ。決まった時間に起動したり、ユーザーの設定を記憶したり、複数のサービスとシームレスに連携したりする能力は持たない。AIの真の価値はAIそのものの中にあるのではなく、AIと他のサービスとの「接続」の中で生まれる。そして第三に、Zapierのような自動化プラットフォームが、このギャップを埋める役割を果たす。自動化プラットフォームはAIほど華やかではないかもしれないが、AIの推論結果に基づいた永続的で反復的な実行作業を担うことで、AIを本当に役立つ、実用的なツールに変える。
この筆者の洞察は、現在のAI技術がまだ発展途上であり、推論能力は素晴らしいものの、異なるシステムとの連携(統合)はまだ洗練されていないという現状を示している。多くの人がAIに触れて感じるのは、感動的なデモンストレーションの後に「さて、これをどう活用すればいいのだろう?」という疑問だ。その疑問に対する答えは、単に「より賢いAI」を開発することだけでなく、「より良い接続(連携)」を築くことにあると筆者は主張する。
この体験は、AIに既存のツールを「置き換える」ことを求めるのではなく、既存のツール同士を「接続する」ことを求めるという、意識の転換の重要性を示唆している。AIは魔法ではない。それは「レバレッジ」、つまり少ない労力で大きな成果を得るための強力な手段である。未来はAIが全てをこなす世界ではなく、AIが私たちが既に日々行っていることを劇的に楽にする世界なのだ。AIが筆者の作業自体を置き換えることはなかった。代わりに、それは「摩擦」を取り除いた。筆者の日々の計画作成ワークフローは、10分間のコピーペーストという煩わしい作業から、ChatGPTへのたった一文の指示へと変わった。この変化こそが、単なる技術的なデモンストレーションと、実際に人々の生活や業務を変えるツールの違いを生み出すのである。