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PRI(プライ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

PRI(プライ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

一次帯域 (イチジタイイキ)

英語表記

PRI (プライ)

用語解説

「PRI」は、「Primary Rate Interface(プライマリ・レート・インターフェース)」の略称であり、主に通信分野で利用されるインターフェース規格の一つだ。これはISDN(Integrated Services Digital Network:統合サービスデジタル網)と呼ばれるデジタル通信網において、特に大規模な通信接続を必要とする企業や拠点間で用いられる。アナログ電話回線が音声信号を電気信号に変換して伝送するのに対し、ISDNは音声、データ、FAX、映像など、あらゆる情報をデジタル信号に変換して一本の回線で伝送することを特徴とする。その中でPRIは、複数の通信チャネルを同時に提供することで、企業における多数の電話回線や高速データ通信のニーズに応える役割を果たす。システムエンジニアを目指す上で、現代のIP電話システムが主流となる中でも、PRIは既存の通信インフラを理解し、レガシーシステムとの連携やバックアップ回線の設計において不可欠な知識となる。

PRIは、ISDNのアクセス方式の一つであり、主に法人向けのサービスとして提供された。ISDNにはこのPRIの他に、小規模向けの「BRI(Basic Rate Interface:基本インターフェース)」があるが、PRIはその名の通り、より「プライマリ(主要な)」かつ「大規模な」用途に対応するために設計されている。PRIの最大の特徴は、一本の物理的な回線を通して、複数の通信チャネルを同時に利用できる多重化機能にある。具体的には、このインターフェースは「Bチャネル(Bearer Channel)」と呼ばれるユーザー情報を伝送するチャネルと、「Dチャネル(Delta Channel)」と呼ばれる制御情報を伝送するチャネルで構成される。

Bチャネルは、実際に音声通話やデータ通信、FAXなどを送受信するための実データが流れる部分であり、それぞれのBチャネルは独立して64kbpsの帯域幅を持つ。この64kbpsという速度は、高品質な音声通話や、初期のインターネット接続においては十分に高速なデータ通信速度として利用された。PRIでは、このBチャネルが複数束ねられて提供される。地域によって具体的なチャネル数は異なるが、一般的に北米や日本では23本のBチャネルと1本のDチャネル、欧州では30本のBチャネルと1本のDチャネルで構成されることが多い。つまり、日本では「23B+D」という構成が標準的であり、合計で23回線の音声通話やデータ通信を同時に処理できることを意味する。

一方、Dチャネルは、Bチャネルの制御を行うためのチャネルだ。具体的には、電話の発信や着信、接続の確立や切断、通話中の状態管理といった「シグナリング」と呼ばれる制御情報がDチャネルを通じてやり取りされる。このDチャネルは通常1本で構成され、北米や日本では64kbpsの帯域を持つことが多い。このように、実データと制御データを分離して伝送することで、通信の効率化と安定性が図られている。23本のBチャネルと1本のDチャネル(23B+D)の場合、総帯域幅は23チャネル × 64kbps + 1チャネル × 64kbps = 1472kbps + 64kbps = 1536kbps(約1.5Mbps)となる。これは、当時としては非常に高速なデジタル通信回線であり、企業における基幹通信インフラとして広く導入された。

PRIを利用する主なメリットは、その多重化能力にある。企業で数十人、数百人規模の従業員が同時に電話を利用する場合、アナログ回線を一本ずつ契約するよりも、PRIを導入する方が回線管理が容易で、コスト効率も良い場合が多かった。また、必要に応じて複数のBチャネルを束ねて、より高速なデータ通信を行うことも可能であった。例えば、3本のBチャネルを束ねて192kbps(64kbps × 3)のデータ通信を実現するといった利用方法もあった。これは、ビデオ会議システムや大規模なファイル転送など、より多くの帯域を必要とするアプリケーションで活用された。さらに、デジタル回線であることから、アナログ回線と比較してノイズの影響を受けにくく、高品質で安定した通信が可能である点も大きな利点だった。

特に、PRIは企業の構内交換機(PBX: Private Branch eXchange)と公衆電話網(PSTN: Public Switched Telephone Network)を接続するインターフェースとして、長年にわたり中心的な役割を担ってきた。PBXは、企業内の電話機同士の内線通話を可能にし、同時に外線への発着信を制御するシステムだが、PRIを介して接続することで、企業全体で共有する外線チャネルを効率的に管理し、複数の外線を同時に利用できる環境を構築できた。コールセンターなど、多数の電話を扱う業務では、PRIが必須のインフラとして機能していた。

しかし、近年ではVoIP(Voice over IP)技術の普及とインターネットの高速化に伴い、音声通信の主流はIP電話システムへと移行している。IP電話は、音声をデータパケットに変換してIPネットワーク上で伝送するため、既存のデータネットワークインフラを利用でき、通信コストの削減や柔軟なシステム構築が可能であるというメリットがある。このため、新規に電話システムを導入する企業の多くはIP電話を選択するようになっている。

それでもなお、PRIの知識はシステムエンジニアにとって重要性を失っていない。一つには、日本国内にはまだPRIを利用したPBXや通信ゲートウェイが多数稼働しており、既存システムの改修や運用保守に携わる際にはPRIに関する深い理解が求められるためだ。また、IP電話システムが普及した現代においても、IPネットワークの障害時や災害時など、いざという時のバックアップ回線として、信頼性の高いPRI回線が利用されるケースは依然として存在する。さらに、レガシーな電話システムとの接続を必要とする場合や、PBXからIP電話システムへの移行(マイグレーション)プロジェクトにおいて、PRIゲートウェイが一時的に、あるいは恒久的に必要となる場面もある。

システムエンジニアを目指す初心者がPRIについて学ぶことは、単に過去の技術を知るだけでなく、現代の通信技術がどのような背景を経て発展してきたのか、そして既存のインフラがどのように構成されているのかを理解するための基盤となる。デジタル通信の基本的な概念、多重化の仕組み、シグナリングと実データの分離といったPRIの要素は、VoIPやSIP(Session Initiation Protocol)といった現代の通信プロトコルを学ぶ上でも、その基礎となる重要な考え方を提供してくれる。PRIの理解は、通信ネットワーク全体を見通す視野を養う上で不可欠な要素と言えるだろう。

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