【ITニュース解説】デジタルアーツ、2025年1~6月の国内セキュリティインシデント公表組織数調査
2025年09月12日に「@IT」が公開したITニュース「デジタルアーツ、2025年1~6月の国内セキュリティインシデント公表組織数調査」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
デジタルアーツの調査によると、2025年上半期の国内セキュリティインシデント公表組織数は過去最多の1027件だった。不正アクセスの増加が特に顕著で、セキュリティ対策の重要性が高まっている。
ITニュース解説
デジタルアーツが発表した2025年1月から6月の国内セキュリティインシデントに関する調査結果は、システムエンジニアを目指す者にとって非常に重要な示唆に富んでいる。この期間に公表されたセキュリティインシデントの総数は1027件に達し、これは過去最多を記録した。特に、不正アクセスによる被害の増加が顕著であるという事実は、現代のシステム開発と運用においてセキュリティ対策がどれほど喫緊の課題であるかを物語っている。
まず、セキュリティインシデントとは何か、という基本的な理解から始める必要がある。セキュリティインシデントとは、システムやネットワーク、データが不正な手段によって侵害されたり、意図せず利用できなくなったりする事象の総称である。具体的には、情報漏洩、不正アクセス、マルウェア感染、サービスの停止、データの改ざんや破壊などがこれに該当する。これらのインシデントが発生すると、企業の信頼失墜、経済的損失、顧客情報の流出といった多大な被害が生じる可能性がある。今回の調査で示された「1027件」という数字は、日本国内でこれだけの数の組織が、何らかの形でセキュリティ上の問題に直面し、それを公表せざるを得ない状況に追い込まれたことを意味する。
中でも「不正アクセスの増加が顕著」という点は、特に注意すべきトレンドである。不正アクセスとは、正規の権限を持たない者が、ネットワークやシステムに侵入し、情報窃取やシステム操作を行う行為である。その手口は年々巧妙化しており、古典的なパスワード破りだけでなく、フィッシング詐欺による認証情報の詐取、標的型攻撃によるマルウェア感染、システムの脆弱性を突いた攻撃、あるいはサプライチェーン攻撃のように、取引先や関連企業のシステムを経由して本丸のシステムを狙う手法も一般化している。攻撃者は金銭目的や情報窃取、あるいは単なる愉快犯など、多様な動機を持っている。企業や組織がデジタルトランスフォーメーションを進め、システムのクラウド化やリモートワークが普及する中で、システムがインターネットに接続される機会が増え、攻撃対象が拡大していることも、不正アクセス増加の背景にあると言えるだろう。攻撃者は常にシステムの弱点を探し、新たな侵入経路を模索しているため、対策はいたちごっことなりがちである。
このような状況は、将来システムエンジニアとして働く私たちに、セキュリティに対する高い意識と具体的な対応能力を求めている。システムエンジニアの役割は単にシステムを設計し、開発するだけでなく、そのシステムが安全に、そして安定して稼働し続けることを保証する責任も負う。具体的には、以下のような取り組みが求められる。
まず、システム設計の段階からセキュリティを組み込む「セキュリティ・バイ・デザイン」の考え方が不可欠である。これは、システムが稼働してから脆弱性を見つけて修正するのではなく、企画・設計の段階からセキュリティ対策を考慮し、潜在的なリスクを排除していくアプローチである。例えば、ユーザー認証の強化、入力値の検証、暗号化通信の利用、最小権限の原則など、基本的なセキュリティ要件を設計に盛り込むことが重要となる。
次に、開発段階では、セキュアコーディングの知識が必須である。これは、プログラムの記述方法において、セキュリティ上の脆弱性を生み出さないように配慮することである。オープンソースソフトウェアや外部ライブラリを利用する際には、それらに既知の脆弱性がないかをチェックし、常に最新のバージョンを適用することも重要となる。開発したシステムの脆弱性診断を定期的に実施し、発見された問題点を迅速に修正するプロセスも欠かせない。
さらに、システム運用段階におけるセキュリティ対策もシステムエンジニアの重要な責務である。システムの稼働状況を監視するログ監視システムを構築し、不審なアクセスや異常な挙動を早期に検知する体制を整える必要がある。インシデントが発生した際には、被害の拡大を防ぎ、迅速に復旧するための「インシデントレスポンス計画」を策定し、訓練しておくことも極めて重要である。また、万が一の事態に備えて、定期的なデータバックアップとリストア手順の確認も怠ってはならない。
今回のデジタルアーツの調査結果は、セキュリティインシデントがもはや他人事ではなく、あらゆる組織にとって現実的な脅威であることを改めて突きつけている。システムエンジニアとしてキャリアを築く上で、単に技術的な知識を習得するだけでなく、常に最新のセキュリティ脅威の動向を学び、その対策技術を身につけていくことが求められる。セキュリティは、一度対策を講じれば終わりというものではなく、継続的な改善と vigilant(警戒)な姿勢が必要な分野である。この調査結果を教訓とし、システムエンジニアとして社会に貢献するためには、セキュリティをシステムの根幹を支える重要な要素として捉え、深い理解と実践力を身につけることが不可欠である。