【ITニュース解説】Don’t Trust, Just Verify: Auth, Faults, and Monitoring
2025年09月11日に「Dev.to」が公開したITニュース「Don’t Trust, Just Verify: Auth, Faults, and Monitoring」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
システムの信頼性とセキュリティを保つには、認証・認可でアクセスを管理し、サーキットブレーカー等で障害に強くする必要がある。さらに、ログ・メトリクスで状態を監視し、ヘルスチェックや冗長化で障害を自動検知・復旧させることが重要だ。
ITニュース解説
システムエンジニアとしてサービスを開発し運用していく上で、安定性と安全性を確保することは最も重要な課題の一つだ。インターネット上のサービスは常に多くのユーザーから利用され、一度問題が発生すると広範囲に影響が及ぶ可能性がある。そのため、信頼できるシステムを構築するには、いくつかの重要な柱となる考え方や技術を理解し、実践する必要がある。ここでは、サービスを円滑かつ安全に稼働させ続けるための五つの基本的な要素について解説する。
一つ目は「認証(AuthN)」と「認可(AuthZ)」だ。認証とは、アクセスしてきた利用者が「誰であるか」を確認するプロセスを指す。例えば、ウェブサイトにログインする際にユーザー名とパスワードを入力し、それが正しいかをシステムが確認する行為が認証にあたる。一方、認可とは、認証された利用者が「何ができるか」を判断するプロセスだ。認証されたユーザーが、特定の情報にアクセスする権限を持っているか、あるいは特定の操作を実行する権限を持っているかを確認するのが認可である。これらの仕組みを適切に実装することで、不正なアクセスを防ぎ、システムの安全性を保つことができる。具体的な技術としては、第三者のアプリケーションに限定的なアクセス権を与える「OAuth2」、ユーザーの識別情報を安全にやり取りするための「JWT(JSON Web Tokens)」がある。また、権限管理の手法として、役割に基づいて権限を割り当てる「RBAC(Role-Based Access Control)」や、より詳細な属性に基づいて権限を制御する「ABAC(Attribute-Based Access Control)」が使われる。例えば、あるユーザーがログインしJWTを受け取った後、そのJWTに含まれる情報に基づいて、特定の注文履歴ページへのアクセスが許可されるかどうかが判断されるといった具合だ。
二つ目は「回復力(Resilience)」だ。システムはどんなに堅牢に作られても、全く問題が起こらないことはない。重要なのは、障害が発生したときにシステム全体が停止することなく、適切に回復し、サービスを継続できる能力を持つことだ。この回復力を高めるために、いくつかの技術が用いられる。一つは「サーキットブレーカー」という仕組みだ。これは、あるサービスが継続的にエラーを返すようになった場合に、一時的にそのサービスへの呼び出しを停止し、後続のシステムへの負荷や障害の連鎖(カスケード障害)を防ぐ。電気回路のブレーカーが過電流を検知して遮断するのと似ている。次に「タイムアウト」は、外部サービスからの応答が一定時間内にない場合、無限に待つことをやめて処理を打ち切る仕組みだ。これにより、処理がいつまでも終わらない状態を回避できる。さらに「リトライ」は、一時的なネットワーク障害やシステム負荷などで処理が失敗した場合に、少し時間を置いてから再度処理を試みる方法だ。ただし、何度も無闇にリトライすると逆に負荷をかけてしまうため、「指数バックオフ」という手法で、失敗するごとに再試行の間隔を長くしていくのが一般的である。これらの仕組みを組み合わせることで、たとえ一部のサービスに問題が生じても、システム全体が止まることなく、安定したサービス提供が可能となる。
三つ目は「可観測性(Observability)」だ。これは、システムがどのように動作しているかを外部から把握し、理解できる能力を指す。システムが複雑になればなるほど、内部で何が起こっているかを正確に把握することは困難になるが、可観測性が高ければ、問題発生時に迅速に原因を特定し、解決に導くことができる。可観測性を実現するための主要な要素として、「ログ」「メトリクス」「トレース」がある。ログは、システムの動作状況やイベントの詳細な記録で、エラーの原因特定やデバッグに非常に役立つ。メトリクスは、システムのパフォーマンスを数値で示すデータだ。例えば、1秒あたりのリクエスト数(QPS)、エラー発生率、応答時間などがこれにあたる。これらのメトリクスを継続的に監視することで、システムの健全性を把握できる。トレース、特に分散トレーシングは、マイクロサービスのように複数のサービスが連携して一つのリクエストを処理する際に、そのリクエストがどのサービスを、どのような順序で、どれくらいの時間をかけて通過したかを追跡できる仕組みだ。これにより、システム全体のボトルネックや問題箇所を特定しやすくなる。また、「SLI(Service Level Indicator)」は、システムのサービスレベルを具体的に測定するための指標であり、「SLO(Service Level Objective)」は、そのSLIに基づいて設定される目標値だ。例えば、「99.9%のリクエストが200ミリ秒以内に応答を返す」というSLIとSLOを設定し、常にこれらが満たされているかを監視することで、サービスの品質を客観的に評価し、改善していくことが可能になる。Grafanaのようなツールを使って、これらのメトリクスやログを視覚化し、ダッシュボードとして表示することで、システムの状態を一目で把握できるようになる。
四つ目は「ヘルスチェック」だ。これは、システム内の個々のサービスやコンポーネントが正常に動作しているかどうかを自動的に監視し、問題が発生した際にそれを検知するための仕組みだ。ヘルスチェックには主に二つの種類がある。「Liveness Check(生存性チェック)」は、そのプロセスがまだ生きているか、つまりシステムがクラッシュしていないかを確認する。もしプロセスが停止していると判断されれば、自動的に再起動されることで、サービスの中断時間を最小限に抑えることができる。「Readiness Check(準備完了チェック)」は、プロセスが稼働しているだけでなく、実際にリクエストを受け付けて処理できる状態にあるかを確認する。例えば、サービスが起動した直後でまだ必要なデータがロードされていない場合や、データベース接続に問題がある場合など、プロセス自体は生きているが、リクエストを処理する準備ができていない状態を検知する。これにより、準備が整っていないサービスにトラフィックがルーティングされるのを防ぎ、ユーザーにエラーを返すことなく、健全なサービスのみがリクエストを処理できるようになる。Kubernetesのようなコンテナオーケストレーションツールでは、これらのヘルスチェックが自動的に行われ、サービスの信頼性を高めるために不可欠な機能として利用されている。
最後に、五つ目は「冗長性(Redundancy)」だ。システム設計において最も避けるべきは「単一障害点(SPOF: Single Point of Failure)」を作ってしまうことだ。これは、ある一つのコンポーネントが停止すると、システム全体が機能停止してしまうような箇所を指す。冗長性とは、このような単一障害点をなくすために、同じ機能を持つコンポーネントを複数用意し、並行して稼働させることだ。例えば、サーバーが1台しかない場合、そのサーバーが故障するとサービスは完全に停止してしまう。しかし、同じサーバーを複数台用意し、1台が故障しても残りのサーバーが処理を引き継ぐようにすれば、サービスは停止せずに継続できる。さらに、大規模なシステムでは、物理的なデータセンターの障害や大規模な停電などに備えて、複数の地理的に離れた場所(「Multi-AZ(Availability Zone)」や「Multi-Region」)にシステムを分散配置することが一般的だ。これにより、万が一一つのデータセンター全体が機能しなくなっても、別のデータセンターでサービスを継続することが可能になる。例えば、データベースのプライマリサーバーをアメリカ東部のデータセンターに置き、そのレプリカ(複製)をアメリカ西部のデータセンターに配置することで、地域全体での障害にも対応できる堅牢なシステムを構築できる。
これらの認証と認可、回復力、可観測性、ヘルスチェック、そして冗長性という五つの要素は、現代の複雑なシステムを構築し、安定的に運用するために不可欠な柱である。これらを総合的に設計に組み込むことで、高いセキュリティと信頼性を持つサービスを提供できるようになる。システムエンジニアとして、これらの考え方を常に念頭に置き、日々の開発や運用に取り組むことが求められる。