【ITニュース解説】Performance Improvements in .NET 10
2025年09月10日に「Hacker News」が公開したITニュース「Performance Improvements in .NET 10」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
.NET 10では、ソフトウェアの実行速度が大きく改善された。これにより、開発するアプリケーションがより高速に動作し、効率的なシステム構築が可能となる。ユーザーもより快適に利用できるだろう。
ITニュース解説
.NET 10では、アプリケーションの実行性能と効率を大幅に向上させるための、多岐にわたる改善が実施されている。この性能向上は、アプリケーションの起動速度を速め、利用するメモリ量を削減し、より多くの処理を同時に、または短時間で完了できるようにする。結果として、開発者はより高速で応答性の高いアプリケーションを構築できるようになり、エンドユーザーは快適な操作感を享受できる。これらの改善は、プログラムコードの実行を担う「JITコンパイラ」、アプリケーションのメモリ管理を行う「ガベージコレクタ」、そしてウェブ通信やデータ処理で日常的に使われる基本的なライブラリ群の効率化によって実現された。
まず、JITコンパイラの進化が挙げられる。JITコンパイラは、記述されたプログラムコードをコンピュータが直接実行できる形に変換し、その過程でコードをさらに効率的に動作するように最適化する役割を持つ。.NET 10では、このJITコンパイラに「Dynamic Profile Guided Optimization (PGO)」という技術がさらに強化された。この技術は、アプリケーションが実際にどのように実行されているか、どの部分のコードが頻繁に呼び出されているかという情報を実行中に収集し、そのプロファイル情報に基づいてコードを最適化する。これにより、アプリケーションの中で最も繰り返し実行される「ホットパス」と呼ばれる重要な部分のコードが特に高速化される。結果として、アプリケーション全体の起動時間が短縮され、処理のスループット、つまり単位時間あたりに処理できる量が増大する。
次に、ガベージコレクタ(GC)の改善がある。ガベージコレクタは、アプリケーションが利用しなくなったメモリ領域を自動的に検出し、解放する仕組みだ。これにより、開発者が手動でメモリを管理する複雑な作業から解放され、メモリリークのリスクを低減し、プログラムの安定稼働を支える。.NET 10では、このGCの内部的なチューニングがさらに進められた。特に、大量のデータや大きなオブジェクトを扱う際に使用される「大きなオブジェクトヒープ(LOH)」の管理が効率化された。LOHの管理が改善されることで、メモリの断片化が抑制され、メモリ使用量が全体的に減少し、GCが動作するために発生するアプリケーションの一時的な停止(ポーズ)の頻度や時間が短縮される。これにより、アプリケーションはよりスムーズに、途切れることなく動作するようになる。
ウェブアプリケーションにおけるクライアントとサーバー間の通信プロトコルであるHTTP/2の実装も強化された。HTTP/2は、従来のHTTP/1.1よりも効率的な通信を可能にするプロトコルであり、.NET 10では、ウェブリクエストの送受信に利用されるHttpClientクラスにおいて、ストリーミング処理や複数のリクエストを同時に処理する際の効率が向上している。また、ASP.NET Coreアプリケーションでウェブサーバーとして機能するKestrelも、HTTP/2のパフォーマンスが改善された。これらの改善により、多くのユーザーからのアクセスが集中する状況でも、サーバーはより少ないリソースで高速に応答できるようになり、ウェブアプリケーション全体の応答速度と安定性が向上する。
近年、ウェブサービスやAPI通信において広く利用されるデータ交換形式であるJSONの処理性能も向上している。C#プログラム内でJSONデータを扱うために使用されるSystem.Text.Jsonライブラリは、.NET 10で大幅なパフォーマンス改善が施された。この改善により、JSON形式のデータをC#のオブジェクトに変換するデシリアライズ処理と、C#のオブジェクトをJSON形式に変換するシリアライズ処理が高速化された。特に、非常に大きなJSONドキュメントを扱う場合や、多数のオブジェクトをJSONとして送受信するようなシナリオで、メモリ使用量の削減と処理速度の向上が顕著に現れる。これは、データの入出力が頻繁に行われるアプリケーションにおいて、全体の応答速度を向上させる上で重要な要素となる。
さらに、プログラム開発で日常的に使用されるデータ構造であるコレクション、例えばデータのリストを管理するList<T>や、キーと値を関連付けて管理するDictionary<TKey, TValue>なども、.NET 10で内部的な最適化が行われている。これらのコレクションは、アプリケーション内でデータを一時的に保持したり、処理したりするために頻繁に利用されるため、要素の追加、検索、削除といった基本的な操作が高速化されることは、アプリケーション全体の性能向上に大きく貢献する。また、メモリ割り当ての効率も改善されており、より少ないメモリでこれらのコレクションを運用できるようになっている。
この他にも、.NET 10では、プログラム内のデータを効率的に操作するための『LINQ (Language Integrated Query)』の一部操作、文字列処理、日付時刻処理といった基本的なデータ型の操作も改善されている。また、C#プログラムからOSの機能などを呼び出す際に発生するオーバーヘッドも削減されている。加えて、アプリケーションの配布サイズを小さくし、起動を高速化するための『Ahead-Of-Time (AOT) コンパイル』や、不要なコードを取り除く『Trimming』といった技術も進化しており、よりコンパクトで高速なアプリケーションのデプロイが可能になっている。これらの多岐にわたる性能改善は、現代のシステム開発において、より高性能で応答性に優れ、リソース効率の良いアプリケーションを構築するための強力な基盤を提供する。結果として、開発者はユーザーにより良い体験を提供できるだけでなく、クラウド環境などでの運用コストの削減にも繋がり、ビジネス面でも大きなメリットをもたらす。