【ITニュース解説】Hybrid architecture with redundancy (Aws DX + VPN)
2025年10月02日に「Dev.to」が公開したITニュース「Hybrid architecture with redundancy (Aws DX + VPN)」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
AWSへの接続では、高速で安定した専用回線Direct Connect(DX)と、安価なVPNがある。DXは性能が良いが、VPNは公共回線で遅延しやすい。DXを主回線、VPNを予備回線として併用する「ハイブリッドアーキテクチャ」は、システムを安定稼働させるための有効な方法だ。
ITニュース解説
システム開発において、企業が自社のデータセンターやオフィスに設置しているサーバー(これをオンプレミスと呼ぶ)と、Amazon Web Services(AWS)のようなクラウドサービスを組み合わせて利用するケースは珍しくない。この組み合わせ方をハイブリッドアーキテクチャと呼ぶ。特に重要なシステムでは、通信が途切れることや性能が低下することを避けなければならないため、通信経路に冗長性を持たせる、つまり予備の経路を用意することが非常に重要になる。冗長性とは、システムの一部に障害が発生しても、全体として機能が停止しないように設計することだ。今回解説するのは、AWSとの接続において、このハイブリッドアーキテクチャと冗長性を実現するための二つの主要な方法、AWS Direct Connect(DX)とVPN、そしてそれらを組み合わせるメリットについてである。
まず、AWS Direct Connect(DX)について説明する。Direct Connectは、オンプレミスネットワークとAWSの間に、専用のプライベートネットワーク接続を確立するサービスだ。公共のインターネットを一切経由しないため、そのメリットは大きい。一つ目は低遅延である。遅延とは、データが送信元から送信先に到達するまでの時間のことで、この時間が短いほど、通信は高速に感じられる。公共インターネットの混雑状況に左右されないため、Direct Connectでは安定して低い遅延が期待できるのだ。二つ目は一貫した性能である。公共インターネットでは、時間帯や利用者数によって通信速度が変動しやすいが、Direct Connectは専用回線のため、常に安定した速度と品質を維持できる。三つ目は高帯域幅である。帯域幅とは、一定時間に送受信できるデータ量のことで、Direct Connectでは1Gbps、10Gbps、さらには100Gbpsといった非常に高速なオプションも利用可能だ。これは大量のデータを扱う企業にとっては非常に大きな利点となる。そして何よりも重要なのは、公共インターネットに依存しないという点だ。これにより、セキュリティが向上し、予測不能なネットワーク障害のリスクも低減される。
次に、VPN(Virtual Private Network)接続について説明する。VPNは、公共のインターネットを利用して、オンプレミスとAWSの間で暗号化された安全なトンネルを構築する技術だ。公共のインターネットを利用するため、Direct Connectとは異なる特性を持つ。一つ目は高遅延である。インターネットを経由するため、データはさまざまな経路を通り、多くの機器を通過する。このため、Direct Connectと比較して遅延は大きくなりやすい。二つ目は予測しにくい性能である。インターネットの混雑状況やプロバイダのネットワーク状況によって、通信速度や安定性が変動することがある。三つ目は低スループットである。スループットとは、実際に単位時間あたりに処理できるデータ量のことで、VPNは利用しているインターネット回線の速度に制限されるため、Direct Connectのような超高速な通信は期待できない。しかし、VPNの最大の利点は、公共のインターネットを利用しているにもかかわらず、通信が暗号化されるため、セキュリティが確保される点にある。
これらの比較から明らかなように、Direct ConnectはVPNよりも高速で、より安定しており、信頼性も高いと言える。しかし、その性能と信頼性にはコストが伴う。
コスト面で両者を比較してみよう。Direct Connectには、固定の月額ポート料金と、データ転送量に応じた課金、そして初期設定費用が発生する。例えば、時間あたり$0.30から$0.25(速度によって異なる)のポート料金に加え、転送データ量に応じた料金が加算される。これは、大量のデータ通信を安定して行いたい場合には、全体のコストが高くなる傾向があることを意味する。一方、VPNには月額のポート料金は基本的に発生しない。データ転送量に対する課金はあるが、利用しているインターネット回線の費用を除けば、Direct Connectよりも初期費用や固定費を抑えることができる。そのため、VPNはトラフィック(通信量)が少ない場合は安価に利用できるが、高性能で大量のデータを扱うワークロードにはコスト効率が悪い場合が多い。つまり、大量のデータ通信やミッションクリティカルな業務にはDirect Connectが適しており、比較的小規模な通信やコストを抑えたい場合にはVPNが適していると言える。
では、なぜDirect ConnectとVPNの両方を利用するのか。これは、前述のハイブリッドアーキテクチャと冗長性の概念と深く結びついている。具体的には、Direct Connectをプライマリ、つまり主要な通信経路として利用し、VPNをバックアップ、つまり予備の通信経路として利用するのだ。
Direct Connectをプライマリとして使うのは、その高性能と高い信頼性のためである。通常時の業務で、高速かつ安定した通信が求められるデータ転送やアプリケーションの利用には、Direct Connectが最適だ。これにより、ユーザー体験の向上や業務効率の最大化が期待できる。
そして、VPNをバックアップとして使うのは、主に冗長性を確保するためである。万が一、Direct Connectに障害が発生したり、何らかの理由で利用できなくなった場合、自動的または手動で通信経路をVPNに切り替えることができる。これをフェイルオーバーと呼ぶ。VPNはDirect Connectに比べて性能は劣るが、緊急時には最低限の業務継続を可能にする。また、VPNはDirect Connectよりも初期費用やランニングコストが低いため、バックアップ経路として費用対効果が高いと言える。
このDirect ConnectとVPNを組み合わせた構成は、ハイブリッドアーキテクチャと冗長性を持つと呼ばれる。これは、特にミッションクリティカル、つまり業務上停止することが許されない非常に重要なシステムやワークロードにおいて、推奨されるベストプラクティス、すなわち最適な設計方法の一つだ。メインのDirect Connectで最高のパフォーマンスを享受しつつ、万が一の事態に備えて安価なVPNをバックアップとして用意することで、システムの可用性(いつでも利用できること)を最大限に高めることができる。システムエンジニアを目指す上では、こうした可用性の高いシステム設計の考え方を理解しておくことが非常に重要となるだろう。