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【ITニュース解説】“It’s Complicated” Is Not an Answer

2026年09月08日に「Medium」が公開したITニュース「“It’s Complicated” Is Not an Answer」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

システムエンジニアが問題解決で「複雑だ」と言うだけでは不十分だ。本当に信頼できる解決策を導くには、事前に課題の根本原因を深く掘り下げ、関係者と徹底的に議論し理解を深めることが重要だ。

出典: “It’s Complicated” Is Not an Answer | Medium公開日:

ITニュース解説

システム開発の現場では、日々さまざまな課題に直面する。その中で「このシステムは複雑だから」「あの機能は複雑すぎて説明が難しい」といった言葉を聞くことは少なくない。しかし、この「複雑だ」という言葉は、実は問題解決を阻害し、プロジェクトを停滞させる危険な思考停止に陥る可能性がある。システムエンジニアを目指す者にとって、この「複雑さ」にどのように向き合うかという視点は、技術スキルと同じくらい重要である。

「複雑だ」という言葉が持つ問題点は、まずその言葉が説明責任の放棄になりうることである。システムの設計や機能について説明を求められた際に「複雑だから」と返すことは、相手の理解を得る努力を怠り、問題の根本原因を深く掘り下げようとしない姿勢を示してしまう。システム開発は、技術者だけで完結するものではなく、ユーザー、ビジネス担当者、他の開発者など、多様な背景を持つ人々との密な連携が不可欠である。この連携において、共通の理解が築かれなければ、認識のズレが生じ、結果として期待とは異なるシステムが構築されたり、後から大きな手戻りが発生したりするリスクが高まる。

真の問題解決とは、まず「何を解決しようとしているのか」を明確に定義することから始まる。問題を曖昧なままにしておくと、誰もが異なる解釈を持つことになり、解決策もバラバラになってしまう。システムエンジニアは、まずそのシステムの目的、対象となるユーザー、解決すべき具体的な課題を、誰が聞いても明確に理解できるよう言語化する能力が求められる。関係者全員が「私たちはこの問題を解決しようとしている」という共通認識を持てて初めて、効果的な解決策を検討する土台が築かれるのである。

次に、複雑な問題そのものを解きほぐす具体的な方法を考える。どんなに巨大で複雑に見えるシステムでも、それは多数の小さな機能や部品の組み合わせで成り立っている。この考え方を「分解(Decomposition)」と呼ぶ。複雑な問題を一度にすべて理解しようとするのではなく、それを小さな、管理可能な部品に分割していく。一つ一つの部品は比較的シンプルであるため、それぞれを個別に理解し、解決策を検討することが可能になる。そして、これらの小さな解決策を組み合わせることで、全体の複雑な問題に対処できる。この分解のプロセスを通じて、どこに本当の複雑さがあるのか、どの部分が他の部分と密接に絡み合っているのかが明確になる。

また、関係者間の「共通言語」を確立することも非常に重要である。技術者は専門用語を使いがちだが、ビジネスサイドの人間がそれを理解できるとは限らない。逆に、ビジネス用語を技術者が正確に理解していない場合もある。お互いに理解できる共通の言葉を意識的に使い、具体的な例やシナリオを用いて説明する努力が必要である。抽象的な概念だけで話を進めると、各自の頭の中で異なるイメージが形成され、プロジェクトの途中で大きな齟齬が生じる原因となる。システムが実際にどのように使われるのか、どのような状況で問題が発生するのかといった具体的な「使用シナリオ」を共有することで、抽象的な問題を現実的なものとして捉え、共通理解を深めることができる。

さらに、問題の根本原因を突き止めるためには、「なぜ?」という問いを繰り返し続ける粘り強い姿勢が求められる。表面的な問題に対処するだけでは、一時的な解決にしかならず、やがて同じ問題や別の形で似たような問題が再発する可能性が高い。例えば、システムが遅いという問題が発生した場合、「なぜ遅いのか?」「その原因はなぜ起きているのか?」と5回ほど「なぜ」を繰り返して問う「5 Whys」のような思考法を用いることで、データベースの設計に問題がある、ネットワークに負荷がかかりすぎているなど、より本質的な原因にたどり着くことができる。根本原因が特定できれば、より永続的で効果的な解決策を設計することが可能になる。

そして、最終的に目指すべきは「シンプルさ」である。複雑なシステムは、開発に時間がかかり、コストも高く、運用や保守も困難になる。必要以上の機能を追加したり、凝りすぎた設計にしたりすることは、将来の拡張性や変更への対応能力を低下させる。最高の解決策とは、最小限の労力で最大の結果をもたらす、最もシンプルなものであることが多い。システムエンジニアは常に「この複雑さは本当に必要なのか?」「もっとシンプルな方法はないか?」と自問自答し、不必要な複雑さを排除し、本質的な価値を提供するシンプルな設計を追求するべきである。避けられない複雑さは存在するが、それが「責任ある複雑さ」であるか、あるいは「無責任な複雑さ」であるかを区別する視点を持つことが重要だ。後者は排除の対象である。

これらの問題解決のプロセスを円滑に進めるためには、関係者間の「信頼」が不可欠である。オープンで正直なコミュニケーションは信頼の上に成り立つ。もしチームメンバーが自分の理解不足を認めたり、疑問を呈したりすることを恐れるような環境であれば、真の問題は隠され、いつまでも解決されないままであろう。システムエンジニアは技術的な専門知識だけでなく、チーム内外の人々と良好な関係を築き、誰もが安心して意見を言えるような信頼できる環境を作るためのリーダーシップも発揮すべきである。

システムエンジニアは単にコードを書く技術者というだけでなく、複雑な問題を理解し、それを分解し、関係者と共通理解を築き、シンプルで効果的な解決策を設計する「問題解決の専門家」である。技術が日進月歩で進化する現代において、新しい技術を学ぶことはもちろん重要だが、それ以上に、目の前の複雑な課題に対して「複雑だ」と諦めるのではなく、その本質を見極め、解き明かすことに挑戦する姿勢と、それを周囲に明確に伝えるコミュニケーション能力こそが、真に価値のあるシステムエンジニアとなるための鍵となる。

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