【ITニュース解説】Java Concurrency Model - Part III - FutureTask

2025年09月07日に「Dev.to」が公開したITニュース「Java Concurrency Model - Part III - FutureTask」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

JavaのFutureTaskは、時間のかかる処理を非同期に実行する仕組み。結果を返すCallableタスクを使い、メイン処理を止めずに後から結果を取得できる。結果取得時のget()メソッドは処理完了まで待機する。(114文字)

ITニュース解説

プログラムは通常、書かれたコードを上から順に一つずつ実行していく。しかし、データベースからの大量データ取得や、外部サービスとの通信など、完了までに時間がかかる処理が存在する場合、その処理が終わるまでプログラム全体が停止してしまうという問題が発生する。これにより、アプリケーションの応答性が悪化し、ユーザー体験を損なう原因となる。この問題を解決する手法が「非同期処理」である。非同期処理とは、時間のかかる処理をメインの処理の流れとは別の流れ(バックグラウンド)で実行させ、その完了を待たずにメインの処理は先に進めるという考え方だ。Javaにおいて、この非同期処理を実現するための中核的な仕組みの一つにFutureTaskがある。

Javaで並行処理のタスクを定義する際、従来からRunnableというインターフェースが用いられてきた。これは独立して実行可能な処理の単位を定義するものだが、処理が完了した後に何らかの結果を返すことができないという制約があった。この点を補うために導入されたのがCallableインターフェースである。CallableRunnableと同様にタスクを定義するが、最も大きな違いは処理結果を戻り値として返すことができる点だ。そして、このCallableが返す「未来のいつか得られるはずの結果」をカプセル化し、保持する役割を担うのがFutureオブジェクトである。FutureTaskは、このFutureインターフェースの基本的な実装クラスであり、結果を返すことが可能な非同期タスクそのものを表現する。つまり、Callableで定義した「結果を返すタスク」をFutureTaskで包み込むことで、そのタスクの実行状態を管理し、完了後に結果を取得するための具体的な手段を提供する。

FutureTaskを実際に動作させるには、タスクを実行するスレッドを管理する仕組みが必要となる。スレッドとは、プログラム内での処理の流れの単位であり、複数のスレッドを同時に動かすことで並行処理が実現される。しかし、スレッドを直接生成し、管理するのは複雑でエラーも発生しやすい。そこでJavaではExecutorServiceという仕組みが提供されている。ExecutorServiceは、スレッドをあらかじめ複数作成してプールしておき(スレッドプール)、タスクの要求があった際にプール内の待機スレッドを割り当てることで効率的なスレッド管理を実現する。開発者はスレッドのライフサイクルを意識することなく、実行したいタスク(CallableRunnable)をExecutorServiceに提出(submit)するだけでよい。ExecutorServiceCallableを実装したタスクを提出すると、そのタスクの処理結果を保持するためのFutureオブジェクトが即座に返される。この時点ではタスクの実行はバックグラウンドで始まっているが、submitメソッド自体は処理の完了を待たずにすぐに終了するため、メインの処理はブロックされることなく続行できる。

FutureTaskの操作は、主にいくつかのメソッドを通じて行われる。まず、ExecutorServicesubmitメソッドにタスクを渡すことで非同期処理が開始される。その後、isDoneメソッドを呼び出すことで、タスクが完了したかどうかをいつでも確認できる。このメソッドはboolean値を返し、処理をブロックしない。タスクが完了したら、getメソッドを使って処理結果を取得する。ここで最も重要な注意点は、getメソッドは処理をブロックするということだ。もしgetを呼び出した時点でタスクがまだ完了していなければ、プログラムの実行はその場で停止し、タスクが完了して結果が返されるまで待機状態となる。したがって、getを呼び出す前にisDoneで完了を確認するか、あるいはメインの処理が他の作業をすべて終えてから結果を取得するといった設計が求められる。また、cancelメソッドを使えば、実行中のタスクのキャンセルを試みることも可能だ。

記事で示されているサンプルコードは、これらの仕組みを具体的に示している。Preloaderクラスは、時間のかかる製品情報の読み込み処理を非同期で行う役割を持つ。startメソッドが呼び出されると、ExecutorServiceLoadProductInfoタスク(Callableを実装)が提出され、バックグラウンドでのデータ読み込みが開始される。mainメソッドではstartを呼び出した後、whileループを使ってisDoneメソッドでタスクの完了を定期的にチェックしている。これは、メインスレッドがデータ読み込みを待たずに別の処理(この例では完了チェックとメッセージ表示)を並行して行えることを示している。タスクが完了すれば、isDonetrueを返し、ループを抜ける。その後、getメソッドで安全に結果を取得し、製品情報を表示する。もしタスクが想定以上に時間がかかった場合には、cancelメソッドで処理を中断するロジックも組み込まれており、非同期タスクのライフサイクル全体を管理する方法が示されている。このようにFutureTaskは、アプリケーションの応答性を維持しつつ、時間のかかる処理を効率的に実行するための強力なツールである。

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