【ITニュース解説】🚀 No More JavaScript — But Why? The Rise of TypeScript in Web Development
2025年09月12日に「Dev.to」が公開したITニュース「🚀 No More JavaScript — But Why? The Rise of TypeScript in Web Development」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Web開発のJavaScriptは大規模開発で実行時エラーや保守性の課題があった。TypeScriptは、静的型付けによりコード実行前にエラーを発見し、開発の安全性と効率を大幅に向上させる。主要企業で採用が進み、システム開発の主流になりつつあるため、SE初心者には必須の知識となる。
ITニュース解説
ウェブ開発の世界で長年、JavaScriptはなくてはならない存在だった。ウェブブラウザがJavaScriptを解釈し実行することで、私たちが日々目にするインタラクティブなウェブサイトやアプリケーションが動いている。フロントエンド開発の主要なフレームワークもJavaScriptを基盤としており、多くの開発者がこの言語を使ってきた。しかし、近年、開発者の間で「プレーンなJavaScriptだけで本当に十分なのか」という疑問が強くなっている。そして、この問いに対し、多くのチームや企業が「十分ではない」という結論に至り、TypeScriptという新たな技術への移行が加速しているのだ。
なぜ、これまでウェブの基盤を支えてきたJavaScriptに限界が見えてきたのだろうか。その最大の原因の一つは、JavaScriptが持つ「動的型付け」という特性にある。これは、変数にどのような種類のデータを入れるか、実行時まで判断しない方式だ。この柔軟性は、数値が期待される場所に文字列を渡してしまっても、コードを書いた時点ではエラーとして扱わないという問題を引き起こす。このような間違いは、プログラムが実際にその部分を実行するまで、つまり「ランタイム」まで発見されない。最悪の場合、開発段階では気づかれず、ユーザーが利用する本番環境で突然エラーとして現れる可能性もある。
このような動的型付けの特性は、プロジェクトが小規模であれば大きな問題にならないかもしれない。しかし、アプリケーションが大規模化し、コードの量が膨大になるにつれて、保守が非常に困難になる。「スケーリングの問題」と呼ばれるこの現象は、どの部分がどのようなデータを扱うのかが不明確なため、コード全体の見通しを悪くし、新しい機能追加やバグ修正作業を複雑にする。また、チームで開発を進める際にも、新しく加わったメンバーが型情報がない既存コードを理解するのに多くの時間を要し、「コラボレーションの障壁」となる。さらに、開発時に利用するエディタや統合開発環境(IDE)も、型情報が不足しているJavaScriptに対しては、正確なコード補完やエラーチェックを提供しきれない場合がある。これも開発体験を損ねる一因だ。
そこで登場したのがTypeScriptである。TypeScriptは、JavaScriptのすべての機能を網羅しつつ、「型付け」の概念を追加した言語、いわばJavaScriptの「上位互換(スーパーセット)」だ。TypeScriptを使うことで、前述したJavaScriptの限界の多くを直接的に解決できる。
最も重要な解決策は「静的型付け」の導入である。TypeScriptでは、変数や関数の引数、戻り値などに明示的に型を記述できる。この型情報は、コードが実行される前、つまり開発段階でチェックされるため、誤った型のデータを渡そうとするとすぐにエラーが通知される。これにより、JavaScriptではランタイムまで発見されなかったようなバグを、コードを書き終える前に特定できる。これは開発者が早期に問題を修正でき、本番環境での予期せぬエラー発生リスクを大幅に減らす。
静的型付けの導入は、開発ツールリングの面でも大きなメリットをもたらす。IDEは型情報を正確に利用できるようになるため、コード補完(オートコンプリート)やインテリセンス(コードヒント)の精度が格段に向上する。また、コードのリファクタリング(コードの内部構造を改善する作業)も、型安全性が保証されるため、より安全かつ効率的に行える。これらの機能は、開発者がよりスムーズに、より生産的に作業を進める上で非常に役立つ。
大規模なアプリケーション開発におけるスケーラビリティの問題も、TypeScriptの導入によって大きく改善される。型情報が明確になることで、コードベース全体の構造が理解しやすくなり、新しい開発者がプロジェクトに参加する際の学習コストも軽減される。コードのどの部分がどのようなデータを扱い、どのように連携するのかが一目でわかるため、大規模なシステムであっても一貫性を保ちながら管理しやすくなるのだ。
TypeScriptは、現代のウェブ開発エコシステムにおいても急速に標準となりつつある。React、Next.js、Angularといった主要なフロントエンドフレームワークや、サーバーサイドのNode.jsエコシステムにおいても、TypeScriptの採用が積極的に推奨されている。これは、TypeScriptがウェブ開発の「未来を担う技術」として業界全体で認識されている証拠である。さらに、TypeScriptは「オプショナルな型付け」という特徴も持つ。これは、既存のJavaScriptプロジェクトにTypeScriptを段階的に導入できることを意味する。一度にすべてのコードをTypeScriptに書き換える必要はなく、徐々に型情報を追加していくことが可能なため、導入のハードルが低い。
実際に、Microsoft、Google、Airbnb、Slack、Shopifyといった世界的な大手企業が、自社の巨大なコードベースの多くをTypeScriptに移行している。プログラミングエディタとして広く使われているVisual Studio CodeのようなオープンソースプロジェクトもTypeScriptで構築されており、現代のウェブ開発に関する新しいチュートリアルやプロジェクトのひな形(ボイラープレート)のほとんどが、デフォルトでTypeScriptのセットアップを提供するようになっている。
簡単な例で、JavaScriptとTypeScriptの違いを見てみよう。
JavaScriptの場合:
function greet(user) { return "Hello, " + user.toUpperCase(); }
console.log(greet(42));
このコードは、greet関数に数値の42を渡すと、toUpperCase()メソッドが数値には存在しないため、console.log実行時に「ランタイムエラー」として表示される。
一方、TypeScriptの場合:
function greet(user: string): string { return "Hello, " + user.toUpperCase(); }
console.log(greet(42));
TypeScriptでは、greet関数の引数userがstring型と宣言されている。この状態で数値の42を渡そうとすると、コード実行前のコンパイル段階で「引数の型が期待されるstring型と一致しない」というエラーが即座に表示される。開発者はこのエラーを見て、すぐに修正できるのだ。この違いは、開発効率と品質に大きな影響を与える。
JavaScriptがウェブの基盤であるという事実は変わらない。すべてのブラウザは引き続きJavaScriptを解釈・実行する。しかし、開発者がコードを書く方法は大きく変化している。かつて開発者が直接アセンブリ言語を記述することが少なくなったように、プレーンなJavaScriptは、小規模なスクリプトや迅速なプロトタイプ作成のために使われることが多くなり、大規模で堅牢なプロジェクトにおいては、TypeScriptが標準的な選択肢となりつつある。
結論として、JavaScriptはウェブを今日の形にした偉大な言語だが、TypeScriptはそれに安定性、安全性、そしてスケーラビリティという新たな価値をもたらしている。もはや「TypeScriptを学ぶべきか?」という疑問を持つ時代は終わり、「なぜまだTypeScriptに移行していないのか?」という問いが現実的なものとなっている。プレーンなJavaScriptだけを使う時代は終わりを告げ、TypeScriptがウェブ開発の未来を担う主要な言語となるだろう。