【ITニュース解説】Don't throw away your old router — Do this instead
2026年09月30日に「Engadget」が公開したITニュース「Don't throw away your old router — Do this instead」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
古いルーターは捨てずに活用しよう。ネットワークの範囲を広げる無線アクセスポイントとして使ったり、他の機器と連携させたりと、様々な方法で再利用できる。ゴミにせず賢く役立てよう。
ITニュース解説
家庭で使っていた古いWi-Fiルーターは、役目を終えたからといってすぐに捨ててしまうのはもったいない。実は、使わなくなったルーターには、現在のネットワーク環境をより快適にするための多くの可能性が秘められている。ゴミとして処分するのではなく、賢く再利用する方法をいくつか紹介する。システムエンジニアを目指す初心者にとっても、ネットワーク機器の仕組みを理解する良い機会になるだろう。
まず、ルーターの基本的な役割を理解しておくことが重要だ。ルーターは、自宅のインターネット接続の「司令塔」とも言える機器で、外部のインターネットと自宅のネットワーク(LAN)をつなぐゲートウェイの役割を果たす。具体的には、インターネットサービスプロバイダ(ISP)から提供されるインターネット回線を、パソコンやスマートフォン、タブレット、ゲーム機など、自宅の複数のデバイスで共有できるようにする。また、各デバイスに個別のIPアドレスを割り当て(この機能をDHCPサーバ機能と呼ぶ)、それぞれの通信が正しく行き交うように交通整理をする。さらに、外部からの不正なアクセスを防ぐファイアウォール機能も備え、ホームネットワークのセキュリティを守る重要な役割も担っている。
このようなルーターの機能を活用することで、古いルーターも新しい役割を与えられ、自宅ネットワークの利便性を高めることができる。
一つ目の再利用方法は、古いルーターを「Wi-Fiアクセスポイント」として利用することだ。現在のWi-Fiルーターだけでは電波が届きにくい部屋や、つながりにくい「デッドゾーン」がある場合に有効だ。古いルーターをアクセスポイントとして機能させることで、既存のWi-Fiネットワークのカバー範囲を物理的に広げ、家中どこでも快適にインターネットが使えるようになる。設定のポイントは、古いルーターのDHCPサーバ機能を無効にすることだ。DHCPサーバ機能はネットワーク内で一つしか機能すべきでないため、メインルーターと古いルーターの両方がこの機能を提供してしまうと、IPアドレスの重複などが発生し、ネットワーク全体が不安定になる可能性がある。古いルーターのLANポートとメインルーターのLANポートをLANケーブルで接続し(これをLAN-LAN接続と呼ぶ)、古いルーターのIPアドレスをメインルーターと同じセグメント内に設定しつつ、メインルーターと重複しないアドレスにすることで、既存ネットワークの延長としてスムーズに機能する。新しいSSID(Wi-Fiの名前)を設定したり、メインのWi-Fiと同じSSIDとパスワードを設定して、場所移動しても自動で電波状況の良いアクセスポイントに切り替わる環境を構築することも可能だ。
二つ目の方法は、古いルーターを「ネットワークスイッチ(ハブ)」として利用することだ。これは、単純に有線LANポートの数を増やしたい場合に非常に役立つ。最近のWi-Fiルーターは有線LANポートが4つ程度しかないことが多く、パソコン、スマートテレビ、ゲーム機、NAS(ネットワーク接続ストレージ)など、複数のデバイスを有線で接続したい場合にポートが不足することがある。古いルーターをWi-Fiアクセスポイントとして設定した状態では、LANポートはそのままスイッチとして機能する。つまり、DHCPサーバ機能を無効化し、IPアドレスの衝突を避ける設定を行うだけで、余っているLANポートを有線接続用の追加ポートとして利用できるようになる。これにより、安定した高速通信が求められるデバイスをWi-Fiではなく有線で接続でき、ネットワーク全体のパフォーマンス向上にも貢献する。
三つ目の再利用方法は、古いルーターを「ゲストWi-Fi」用のアクセスポイントとして活用し、ネットワークのセキュリティを強化することだ。来客時に自分のメインネットワークのパスワードを教えるのは、セキュリティ上あまり好ましくない場合がある。また、スマート家電やIoTデバイスなど、セキュリティ面で不安のある機器をメインネットワークから隔離したい場合にも有効だ。古いルーターをゲスト用ネットワークとして独立させることで、来訪者や特定のIoTデバイスがメインネットワーク内のファイルやデバイスにアクセスできないようにできる。多くのルーターにはゲストWi-Fi機能が搭載されているが、古いルーターをメインルーターのWANポートに接続し、異なるIPアドレスセグメントを割り当てることで、物理的に分離された独立したネットワークを構築できる。これにより、メインネットワークの安全性とプライバシーを保ちつつ、来客にもインターネット接続を提供できるようになる。
四つ目の方法は、USBポートを備えた古いルーターを「簡易的なNAS(ネットワークアタッチトストレージ)」として利用することだ。NASは、ネットワーク経由で複数のデバイスからファイル共有やバックアップを可能にする専用機器だが、古いルーターにUSBポートがあれば、外付けHDDやUSBメモリを接続して、簡易NASとして機能させることができる場合がある。ルーターの管理画面からUSBストレージ共有機能を有効にすることで、自宅ネットワーク内のどのパソコンからでも、接続したストレージ内のファイルにアクセスできるようになる。家族の写真や動画、文書ファイルを一元的に管理し、複数のデバイスから簡単にアクセスできる共有ストレージとして活用したり、簡易的なメディアサーバーとして利用して、ネットワーク経由で音楽や動画をストリーミング再生したりすることも可能だ。これは、専用のNASを購入する前の試運転や、低コストでのファイル共有環境の構築に役立つ。
古いルーターの再利用は多くのメリットをもたらすが、いくつかの注意点も理解しておくべきだ。まず、古いルーターは消費電力が比較的高く、常時稼働させることで電気代が余計にかかる可能性がある。また、ファームウェア(ルーターの制御ソフトウェア)のアップデートが終了している場合、新たなセキュリティ脆弱性が発見されても修正されず、サイバー攻撃のリスクが高まる。そのため、古いルーターを再利用する際は、できる限りセキュリティアップデートが提供されているかを確認し、もし提供されていない場合は、メインネットワークから隔離するなどの対策を講じるべきだ。さらに、古い機器であるため、最新のWi-Fi規格や高速通信には対応しておらず、性能面での限界があることも認識しておく必要がある。例えば、Wi-Fi 6のような最新規格には対応していないため、最高速度は期待できない。
これらの点を踏まえても、古いルーターは単なるゴミではなく、工夫次第で自宅のネットワーク環境を格段に向上させる「宝の山」となる。システムエンジニアを目指す上で、ネットワーク機器の具体的な設定や、IPアドレス、DHCPなどの概念を実践的に学ぶ絶好の機会でもある。捨てる前に、ぜひ一度、その再利用方法を検討してみてほしい。