【ITニュース解説】Understanding Object-Oriented Programming (OOP) in JavaScript
2025年09月13日に「Dev.to」が公開したITニュース「Understanding Object-Oriented Programming (OOP) in JavaScript」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
JavaScriptにおけるオブジェクト指向プログラミング(OOP)は、コードを現実世界の「モノ」のように扱う手法だ。カプセル化、抽象化、継承、ポリモーフィズムという四つの原則に基づき、再利用性・保守性・拡張性の高い、整理されたプログラムを効率的に作成できる。複雑なプロジェクトやチーム開発に不可欠な基礎知識だ。
ITニュース解説
プログラミングは、都市を建設する作業によく似ている。無作為にレンガやセメントを積み上げるのではなく、家、学校、病院といった構造物に注意深く組織化していく。これと同じように、コードを書く際も、プログラムを簡単に構築し、拡張し、保守できるようにするために、構造と組織が必要となる。
ここで役立つのが、オブジェクト指向プログラミング(OOP)という考え方だ。OOPは、現実世界の様々な要素を、プロパティ(データ)と振る舞い(機能)を持つ「オブジェクト」としてモデル化するプログラミングの手法である。JavaScriptにおいて、OOPはコードの再利用性、スケーラビリティ、そして理解しやすさを格段に向上させるため、非常に強力なツールとなる。JavaScriptでOOPを理解することは、複雑なプロジェクトに取り組むための基礎を築き、チームと協力し、現実の状況を反映したクリーンでモジュール化されたコードを書く上で非常に重要である。この解説は、システムエンジニアを目指す初心者を含む全ての学習者が、オブジェクト指向プログラミングの概念を容易に理解し、基本的な原則を把握するだけでなく、それらを実際のプロジェクトに応用できるようになることを目指している。
オブジェクト指向プログラミングとは、コードを「オブジェクト」を中心に構成する方法である。オブジェクトは、特定の「もの」を説明し、制御するためのプロパティ(属性)とメソッド(関数)の集合体だ。JavaScriptは、JavaやC++のような一部の伝統的なOOP言語とは異なり、プロトタイプベースの言語である。しかし、ES6(ECMAScript 2015)の導入により、クラス構文が提供され、JavaScriptにおけるOOPの記述がより馴染み深く、読みやすいものになった。
オブジェクト指向プログラミングには、四つの主要な柱がある。これらを詳しく見ていこう。
一つ目は「カプセル化」である。これは、関連するデータとそのデータを操作するメソッドを、一つのオブジェクトの中にまとめて閉じ込める考え方だ。さらに、そのオブジェクトの特定の内部部分への直接アクセスを制限することで、データの整合性を保ち、外部からの予期せぬ変更を防ぐ。例えば、自動車のエンジン内部は複雑だが、ドライバーはスタートボタンを押すだけでエンジンを始動できる。内部の複雑な仕組みを意識する必要はない。
二つ目は「抽象化」である。これは、複雑な詳細を隠し、必要な本質的な機能や情報だけを外部に公開する原則である。ユーザーは、オブジェクトが「何をするか」を知っていればよく、「どのようにそれを行うか」を知る必要はない。自動車を運転する際、ハンドルを回せば方向が変わることは知っているが、その背後にある複雑な物理法則や機械的な仕組みを全て理解している必要はないのと同じである。
三つ目は「継承」である。これは、あるクラス(親クラス)が持つプロパティやメソッドを、別のクラス(子クラス)が引き継ぐことを可能にする仕組みだ。これにより、共通の機能を持つクラスを一度作成すれば、それをベースにして、さらに特定の機能を追加した新しいクラスを効率的に作成できる。例えば、一般的な「車」のクラスの機能(例えば、移動する機能)を、「スポーツカー」のクラスが引き継ぎ、さらに「ターボブースト」といった独自の機能を追加するような場合である。
四つ目は「ポリモーフィズム」である。これは「多態性」とも呼ばれ、同じ名前のメソッドや関数が、それが適用されるオブジェクトの種類や文脈によって異なる振る舞いをする能力を指す。例えば、「運転する」というメソッドがあったとして、それが「車」オブジェクトで呼ばれる場合と、「自転車」オブジェクトで呼ばれる場合、あるいは「トラック」オブジェクトで呼ばれる場合とでは、それぞれ異なる具体的な動作になる、といった状況である。
これらの原則がJavaScriptのコードでどのように実現されるかを見ていこう。
カプセル化は、クラスを作成することで実現される。例えば、「Car」クラスを作成する場合、constructorメソッドでbrand(ブランド)とcolor(色)といった車のプロパティを初期化する。そして、startEngine()のようなメソッドを定義し、このメソッド内でthis.brandのようにオブジェクトのプロパティにアクセスする。このコードでは、車のブランドと色というデータがCarオブジェクト内にカプセル化され、エンジンを始動するという操作もこのオブジェクトのメソッドとして提供されている。
抽象化の例としては、「BankAccount」クラスが考えられる。このクラスでは、口座の所有者を表すownerプロパティと、残高を表す_balanceという内部変数を持つ。ここで重要なのは、_balanceはletで宣言されたローカル変数であり、クラスの外部から直接アクセスできないようになっている点である。残高を確認するにはgetBalance()メソッドを、入金するにはdeposit()メソッドを使用する。これにより、口座残高という重要なデータが外部から直接操作されることを防ぎ、必ずこれらのメソッドを通して間接的に操作させることで、データの安全性を高めている。ユーザーはdepositメソッドを呼ぶだけで入金できるが、その内部で残高がどのように更新されるかを知る必要はない。getBalanceやdepositがクロージャとして_balanceにアクセスする仕組みを利用して、外部からは_balanceに直接アクセスできず、メソッドを介した操作のみが許されるため、抽象化とカプセル化の両方の側面を持つ実装となっている。
継承の例では、「Vehicle」という親クラスと、「Bike」という子クラスを作成する。「Vehicle」クラスはtypeプロパティとmove()メソッドを持つ。子クラスである「Bike」は、extends Vehicleという構文を使って「Vehicle」クラスの機能を継承する。constructor内ではsuper(type)を呼び出し、親クラスのコンストラクタを実行することで、親クラスのプロパティを初期化する。さらに、「Bike」クラス独自のプロパティbrandを追加したり、親クラスのmove()メソッドをmove()という同じ名前で再定義(オーバーライド)し、自転車に特化した動作をさせることも可能である。myBike.move()を呼び出すと、Bikeクラスでオーバーライドされたmoveメソッドが実行され、親クラスのmoveメソッドとは異なる振る舞いをするのがわかる。
ポリモーフィズムは、異なるオブジェクトが同じメソッド名に対して異なる反応を示す能力を指す。例えば、「Animal」という親クラスがデフォルトのspeak()メソッドを持つ。これを継承した「Dog」クラスや「Cat」クラスは、それぞれ独自のspeak()メソッドを定義し、異なる鳴き声を表現する。そして、これらの異なる種類の動物オブジェクトを配列に格納し、それぞれのオブジェクトに対して同じspeak()メソッドを呼び出すと、それぞれの動物に応じた異なる出力が得られる。この例では、配列の各要素がspeak()メソッドを呼び出すが、それがDogオブジェクトであれば犬の鳴き声、Catオブジェクトであれば猫の鳴き声、Animalオブジェクトであれば汎用的なメッセージを出力する。
JavaScriptでOOPを活用することには、多くの重要な利点がある。
まず、コードの「再利用性」が高まる。一度作成したクラスやオブジェクトは、アプリケーションの異なる部分や、さらには他のプロジェクトでも再利用できる。例えば、ログインやログアウトの機能を持つUserクラスは、様々なWebアプリケーションで活用できるだろう。
次に、「モジュール性」が向上し、コードの整理がしやすくなる。OOPは、複雑なコードを、それぞれが特定のタスクに焦点を当てた小さく管理しやすいピース(クラスやオブジェクト)に分割するのに役立つ。これにより、コードベースをナビゲートしやすくなり、保守も容易になる。
「カプセル化」は、データの隠蔽とセキュリティを提供する。オブジェクトの内部実装を外部から見えなくし、必要な情報や操作だけを公開することで、予期せぬデータの改変を防ぎ、システムの堅牢性を高める。銀行口座の残高が直接変更できないように、特定の入金・出金メソッドを介してのみ操作を許可するのと同じ考え方だ。
「継承」によって、コードの重複を避けることができる。共通のプロパティやメソッドを持つ親クラスを作成し、それを子クラスが引き継ぐことで、同じコードを何度も書く手間を省き、一貫性を保つことができる。例えば、VehicleクラスからCar、Bike、Busクラスを派生させることで、共通の移動機能などを一度定義するだけで済む。
「ポリモーフィズム」は、コードに柔軟性と拡張性をもたらす。オブジェクトは同じインターフェース(メソッド名など)を共有しながらも、文脈に応じて異なる振る舞いをすることができる。これにより、新しい種類のオブジェクトを追加する際に、既存のコードに大きな変更を加えることなく機能を追加できる。
これらの原則によって、「保守性」も大きく向上する。OOPはコードを明確で自己完結型のオブジェクトとして構造化するため、バグの修正、新機能の追加、変更作業が、他の部分に影響を与えずに容易に行えるようになる。
また、「スケーラビリティ」の面でも優れている。Webアプリケーション、ゲーム、エンタープライズソフトウェアのような大規模なプロジェクトでは、増え続けるコードベースを管理することが重要となるが、OOPはこの管理を容易にする。
最後に、OOPは「現実世界のモデリング」を可能にする。ユーザー、商品、注文といった現実世界のエンティティをクラスとして表現できるため、プログラムの設計がより直感的で理解しやすくなる。例えば、eコマースアプリケーションでは、Product、Cart、Orderといったクラスが現実のオブジェクトと密接に対応する。
オブジェクト指向プログラミングは、JavaScriptにおいて単なる概念ではなく、コードを構造的に考えるための強力なアプローチである。カプセル化、抽象化、継承、ポリモーフィズムといった原則を理解することで、よりクリーンで、スマートで、プロフェッショナルなプログラムを書くことができるようになる。OOPは、まるで積木を組み立てるように、一度それらをマスターすれば、電卓のような小さなアプリケーションから、ソーシャルメディアプラットフォームのような大規模なものまで、あらゆる種類のアプリケーションを構築する土台となる。