【ITニュース解説】Supabase Security Best Practices: Common Misconfigurations We Keep Seeing
2025年09月15日に「Reddit /r/programming」が公開したITニュース「Supabase Security Best Practices: Common Misconfigurations We Keep Seeing」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
人気サービスSupabaseを使ったアプリで、セキュリティ設定のミスが頻繁に見つかっている。データへのアクセス制限(RLS)が不十分だったり、ファイルを置く場所が公開設定だったりするせいで、外部からデータが見られたり操作されたりする危険がある。安全にアプリを運用するため、正しい設定方法を理解し、見直すことが重要だ。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、現代のアプリケーション開発においてデータベースは非常に重要な要素だ。特に、最近注目されているサービスにSupabase(スーパーベース)がある。これは、データベースのPostgreSQLを中心に、認証、ストレージ、リアルタイム機能などを統合して提供する、いわば「バックエンドのオールインワンパック」のようなサービスだ。開発者は、複雑なサーバー構築や管理に時間をかけることなく、より素早くアプリケーションを開発できるようになる。しかし、その便利さの裏側には、セキュリティに関して注意すべき点がいくつか存在する。多くのアプリケーションで共通して見られるセキュリティ設定のミスについて、具体的に何が問題なのか、そしてそれがなぜ危険なのかを解説する。
まず、最も頻繁に見られる問題の一つが「行レベルセキュリティ(RLS)」の未適用または誤った適用だ。RLSとは、データベースのテーブル(表)に保存されているデータに対し、ユーザーごとにアクセスできる「行」(レコード)を細かく制御する仕組みのことだ。例えば、SNSアプリで自分が投稿した記事だけが見えて、他のユーザーの非公開記事は見えないようにする、といった制御が行レベルセキュリティによって実現される。このRLSが適切に設定されていない、あるいは全く設定されていない場合、開発者が「このテーブルは安全にロックされている」と考えていても、実際には全てのデータが誰でもアクセス可能な状態になってしまう。これにより、例えば銀行の預金情報のような機密性の高いデータが、本来アクセス権限のないユーザーからも見えてしまうといった、非常に危険な状況を招く可能性がある。データの機密性を保つためには、どのデータに誰がアクセスできるのかを明確にし、RLSを厳格に適用することが不可欠だ。
次に、「Edge Functions」が「service_role」で実行されているケースだ。Edge Functionsは、Supabase上で動作するサーバーレスな機能で、データベースとの連携や複雑なロジックの実行に使われる。一方、「service_role」はSupabaseが提供する、非常に強力な権限を持つロール(役割)を指す。このロールは、データベース内のあらゆるデータに、RLSによる制限を一切受けずにアクセスできる特権を持っている。本来、このservice_roleはシステムの管理操作や、バックエンドの信頼できる処理でのみ使用されるべきだ。しかし、もしEdge Functionsがこのservice_roleの権限で動作するように設定されていると、そのEdge Functionsを呼び出すあらゆる操作が、RLSによるセキュリティチェックを完全にバイパスして、データベースの全データにアクセスできてしまうことになる。これは、一般ユーザー向けに作られた機能が、誤って管理者権限で実行されることで、本来アクセスできないはずの機密情報にアクセスできてしまうような、セキュリティの抜け穴を作り出すものだ。アプリケーションのセキュリティを確保するためには、Edge Functionsは必要最小限の権限で実行されるように厳しく設定する必要がある。
さらに、「Storage buckets」(ストレージバケット)のセキュリティ設定も重要なポイントだ。SupabaseのStorage機能は、画像ファイルやドキュメントなどの様々なファイルを保存するために利用される。しかし、一部のアプリケーションでは、このストレージバケットが「public」(公開)としてマークされていたり、あるいはファイルへのパス(場所を示す文字列)が容易に推測できるような弱い命名規則(プレフィックス)が使われていたりすることがある。バケットが「public」になっていると、認証されていない、つまりログインしていないユーザーでさえも、そのバケット内の全てのファイルにアクセスできてしまう。また、ファイルパスが簡単に推測できると、例えば「user_photo_1.jpg」「user_photo_2.jpg」のように連番になっている場合、他のユーザーのプライベートな写真まで簡単にアクセスされてしまう危険性がある。本来非公開であるべき個人情報を含むファイルが、誰でもアクセス可能な状態になったり、特定のルールに基づいて簡単に発見されてしまったりすることは、プライバシー侵害や情報漏洩に直結する深刻な問題だ。ストレージ内のファイルへのアクセス権限は、必要なユーザーにのみ、最小限の範囲で許可されるように厳密に管理すべきだ。
また、データベースから外部ネットワークへの接続を可能にする「ネットワーク拡張機能」の露出も問題として挙げられる。SupabaseのPostgreSQLデータベースでは、httpやpg_netといった拡張機能を使って、データベース自身が外部のWebサーバーにリクエストを送信できる機能が存在する。これは特定の用途では便利だが、もしこれらの機能がアプリケーションのREST API経由で直接外部に公開されている場合、非常に危険な脆弱性につながる。攻撃者は、この公開された機能を利用して、データベースを「踏み台」とし、外部の任意のサーバーに対して不正なリクエストを送信することが可能になる。これを「サーバーサイドリクエストフォージェリ(SSRF)」という。SSRF攻撃が成功すると、攻撃者はデータベースがアクセスできる内部ネットワーク上のサーバーに不正にアクセスしたり、本来アクセスできないはずの機密情報(AWSの認証情報など)を抜き出したり、さらには他のシステムへの攻撃の足がかりにしたりする可能性がある。データベースが外部と勝手に通信してしまうような設定は、厳重に管理し、不要な機能は公開しないことが絶対条件だ。
最後に、認証に関わる設定ミスも多く見られる。特に「招待制」や「認証ゲート付き」と謳っているアプリケーションであっても、新規ユーザー登録を行うためのエンドポイント(/auth/v1/signup)が、誰でもアクセス可能な状態になっているケースが頻繁に発見されている。本来、招待された特定のユーザーのみが登録できるべきサービスなのに、このエンドポイントが開いていると、意図しないユーザーが自由にアカウントを作成し、サービスに侵入できてしまう。これは、セキュリティを重視していると見せかけていても、システムの入り口が完全に開いている状態を意味する。このような設定ミスは、サービスの信頼性を著しく損なうだけでなく、不正なアカウント作成によるリソースの消費や、スパム、さらには他のユーザーへの攻撃の踏み台にされる可能性もある。ユーザー認証に関連するエンドポイントは、そのサービスの意図する認証フローに沿って、厳格に管理・設定される必要がある。
これらの問題は、Supabaseが提供する強力な機能が、開発者によって誤って設定されてしまうことで発生する。Supabaseは非常に便利なツールだが、その便利さに頼りきるのではなく、それぞれの機能が持つセキュリティ上の意味合いを深く理解し、適切な設定を行うことが、安全なアプリケーションを構築する上で不可欠だ。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、このようなセキュリティのベストプラクティスを学ぶことは、将来のキャリアにおいて非常に価値のある知識となるだろう。アプリケーション開発においては、利便性とセキュリティのバランスを常に考慮し、最新の脅威と対策について継続的に学習していく姿勢が求められる。