iモード(アイモード)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

iモード(アイモード)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

iモード (アイモード)

英語表記

i-mode (アイモード)

用語解説

iモードは、NTTドコモが1999年2月に開始した携帯電話向けのインターネット接続サービスである。当時としては画期的なサービスであり、日本の携帯電話文化に大きな影響を与えた。

iモード以前の携帯電話は、音声通話とSMS(ショートメッセージサービス)が主な機能であった。インターネットへのアクセスは限定的で、パソコンに比べて通信速度が遅く、コンテンツも少なかった。iモードは、これらの課題を克服し、携帯電話で手軽にインターネットを利用できる環境を提供した。

iモードの大きな特徴は、以下の点にある。まず、パケット通信方式を採用したことである。従来の回線交換方式では、通信時間に応じて料金が発生したが、パケット通信では送受信したデータ量に応じて料金が発生するため、常時接続でも比較的安価に利用できた。次に、独自のコンテンツ配信プラットフォームを構築したことである。NTTドコモが認定したコンテンツプロバイダー(CP)が、ニュース、天気予報、ゲーム、着メロなどの多様なコンテンツを提供した。これにより、ユーザーは携帯電話を通じて様々な情報を入手し、エンターテイメントを楽しむことができた。さらに、iモード対応のウェブサイトを閲覧するための独自仕様のHTML(iモードHTML)を採用した。これは、当時の携帯電話の画面サイズや処理能力に合わせて最適化されたものであり、パソコン向けのウェブサイトをそのまま表示するよりも快適な閲覧が可能であった。また、携帯電話からのオンラインショッピングやバンキングなどの商用サービスを実現するための基盤も提供した。

iモードの成功の要因としては、まず、NTTドコモが当時圧倒的なシェアを誇っていたことが挙げられる。多くのユーザーがiモード対応の携帯電話を購入し、利用したことで、コンテンツプロバイダーも積極的に参入し、コンテンツが充実した。次に、日本人のニーズに合ったサービスを提供したことが挙げられる。小型で持ち運びやすい携帯電話で、いつでもどこでも手軽にインターネットを利用できるという利便性が、多忙なビジネスマンや学生などに支持された。さらに、NTTドコモが積極的に技術開発やマーケティングを行ったことも成功の要因である。iモードの技術的な改良や新たなサービスの開発を継続的に行い、テレビCMやキャンペーンなどで広くアピールした。

iモードの技術的な詳細について説明する。パケット通信には、当時としては比較的新しい技術であったPDC (Personal Digital Cellular) 方式のデータ通信機能を利用した。iモード端末は、基地局との間でパケットと呼ばれる小さなデータ単位を送受信し、このパケットの量に応じて通信料金が課金された。これにより、短い時間のデータ通信を頻繁に行うような利用方法でも、料金を気にせずに利用することができた。

iモードのコンテンツは、iモードHTMLと呼ばれる独自のHTMLで記述された。iモードHTMLは、従来のHTMLに比べてタグの種類が少なく、携帯電話の小さな画面でも見やすいように設計されていた。例えば、テーブルの表示や画像のサイズなどが制限されていた。また、iモード端末は、HTTPプロトコルに加えて、独自のプロトコルであるTCP/IP over PDC-P (Transmission Control Protocol/Internet Protocol over Personal Digital Cellular Packet) を使用してコンテンツサーバーと通信した。

iモードのセキュリティも重要な要素であった。SSL(Secure Sockets Layer)による暗号化通信や、Cookieによるユーザー認証などの技術が採用され、オンラインショッピングやバンキングなどの安全な取引を実現した。また、NTTドコモは、iモード端末のセキュリティ対策にも力を入れ、不正なプログラムの実行を防止するための仕組みを導入した。

iモードは、日本の携帯電話業界に大きな影響を与え、類似のサービスが他社からも登場した。しかし、スマートフォンの普及とともに、iモードの優位性は失われ、2019年にサービスを終了した。iモードの終了は、一つの時代の終わりを意味するものであったが、iモードが築き上げた技術やノウハウは、その後の携帯電話やスマートフォンの発展に大きく貢献した。iモードは、携帯電話でインターネットを利用するという新たな文化を創造し、日本の情報社会の発展に貢献した功績は大きい。システムエンジニアを目指す上で、iモードの歴史や技術を理解することは、モバイルインターネットの進化を理解する上で重要な意味を持つ。

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