【ITニュース解説】4 Free Methods to use LLM APIs in Development
2025年09月09日に「Dev.to」が公開したITニュース「4 Free Methods to use LLM APIs in Development」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
開発でLLM APIを無料で使う4つの方法を紹介。ローカルで動かすOllamaのほか、GitHub Modelsなど3つのホスト型サービスがある。いずれもOpenAI SDK互換のコードで、環境変数を変更するだけで様々なモデルを試せる。(117文字)
ITニュース解説
大規模言語モデル(LLM)は、ChatGPTに代表されるような、人間と自然な対話ができるAI技術である。システム開発の世界では、このLLMの能力を自身のアプリケーションやサービスに組み込む動きが活発化している。その際に利用されるのがAPI(Application Programming Interface)と呼ばれる仕組みだ。APIは、プログラムからLLMの機能を呼び出すための窓口の役割を果たし、これを利用することで、開発者はチャットボットや文章生成、要約といった高度なAI機能を自分の製品に実装できる。しかし、通常これらの高性能なLLMのAPIを利用するには、利用量に応じた料金が発生するため、学習や小規模な開発プロジェクトで試すにはハードルが高い場合がある。ここでは、費用をかけずにLLMのAPIを開発で利用するための4つの方法を解説する。
特筆すべきは、これから紹介する4つの方法は、いずれもOpenAI社が提供するSDK(ソフトウェア開発キット)というプログラム部品を使って操作できる点である。これは開発者にとって大きな利点となる。なぜなら、一度プログラムを書いてしまえば、利用したいLLMサービスを切り替える際に、コード全体を書き直す必要がないからだ。具体的には、「環境変数」と呼ばれるプログラムの外部設定値を変更するだけで対応できる。変更が必要な設定は主に3つで、サービス利用の許可証にあたる「APIキー」、サービスの接続先住所を示す「エンドポイントURL」、そして利用したいAIの種類を指定する「モデル名」である。この共通の仕組みにより、開発者は目的に応じて最適なLLMを効率的に試すことが可能になる。
一つ目の方法は、Ollamaを利用して自分のコンピュータ上でLLMを実行する方法である。これは「ローカル実行」と呼ばれ、インターネット上のサービスに接続するのではなく、手元のPCにLLMそのものをダウンロードして動かす。Ollamaの最大の特徴はその手軽さにある。専門的な知識がなくても、簡単なコマンドを実行するだけでLLMを自分のPCに導入し、実行環境を整えることができる。外部のサーバーに依存しないため、オフライン環境でも開発を進められる利点がある。ただし、LLMは巨大なプログラムであり、動作には高い計算能力を要するため、PCのスペックによっては応答速度が遅くなる可能性がある。自分の開発環境で手早くLLMを動かしてみたい場合に最適な選択肢である。
二つ目は、GitHub Modelsを利用する方法だ。これは、ソフトウェア開発者のためのプラットフォームであるGitHubが提供する、インターネット経由でLLMを利用できる「ホスティングサービス」である。Ollamaがローカル環境で動かすのに対し、こちらはGitHubのサーバー上で稼働しているLLMをAPI経由で呼び出す形となる。利用にあたっては、GitHubアカウントで発行できるパーソナルアクセストークン(PAT)という特殊なパスワードをAPIキーとして設定するだけで、無料の利用枠内で様々なLLMを試すことができる。開発者にとって馴染み深いGitHubの仕組みを使えるため、導入のハードルが低いのが特徴だ。開発したAI機能をインターネット上に公開する際など、ローカル環境では完結しないケースで有効な選択肢となる。
三つ目の方法は、Open Routerというホスティングサービスだ。このサービスは、特定のLLMだけでなく、様々な開発元が提供する多種多様なLLMを集約し、一つの窓口から利用できるようにしているのが特徴である。開発者はOpen Routerに登録してAPIキーを取得すれば、プログラムのモデル名を変更するだけで、色々な種類のLLMを手軽に切り替えて性能を比較検討できる。多くのモデルは有料だが、一部には無料で利用できるモデルも用意されており、コストをかけずに異なるLLMの特性を学ぶのに非常に役立つ。特定の用途に最適なモデルを探したい場合に重宝するサービスだ。
四つ目は、Groqというサービスである。Groqは、LLMを動作させるための専用の半導体チップを自社で開発しているハードウェア企業であり、その最大の特徴は圧倒的な処理速度にある。GroqのAPIを利用すると、他のサービスでは数秒かかるような応答が、瞬時に返ってくることも珍しくない。これもホスティングサービスの一種であり、ユーザー登録後に発行されるAPIキーを使えば、サポートされている複数のLLMを高速に利用できる。特に、リアルタイムでの応答が求められるアプリケーションの開発を試す際には、その性能を大いに発揮するだろう。
これらの方法を活用することで、システムエンジニアを目指す学習者は、コストの心配をすることなく、LLMを活用したアプリケーション開発の第一歩を踏み出すことができる。自分のPCで手軽に試せるOllamaから、インターネット経由で高性能なモデルを利用できるGitHub Models、Open Router、Groqまで、それぞれの特徴を理解し、目的に合わせて使い分けることで、LLM開発に関する実践的なスキルと知識を深めていくことが可能になる。