【ITニュース解説】Everything You Need to Know About 800G/1.6T Optical Transceiver and Co-Package Module

2025年09月08日に「Dev.to」が公開したITニュース「Everything You Need to Know About 800G/1.6T Optical Transceiver and Co-Package Module」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

データセンターやAIの需要増加に伴い、光モジュールは800Gから1.6Tへ進化中だ。これはデータ伝送を高速化し、消費電力を抑える新技術で実現され、AIクラスターなどで不可欠。発熱やコストは課題だが、将来的に主要な技術として広く普及する見込みだ。

ITニュース解説

現代のITインフラにおいて、データ通信の高速化は止まることのない進化を続けている。特に、データセンターや人工知能(AI)の計算能力に対する需要が爆発的に増加しており、これに伴い、データを光信号に変換して伝送する「光モジュール」の性能も劇的に向上している。かつて100ギガビット毎秒(Gbps)が主流だった時代から、今や800Gbps、さらには1.6テラビット毎秒(Tbps)といった超高速の世界へと突入している。

光モジュールの進化は、過去10年で大きく4つの段階を経てきた。2015年から2018年頃の「100G時代」では、NRZ変調という方式が使われ、通信事業者向けのネットワークで導入が進んだが、ポートあたりの消費電力が3ワット以上と高かった。次に訪れた「400Gの飛躍」は2019年から2022年で、PAM4変調という新しい技術が登場し、光ファイバーの伝送効率が2倍に向上した。これにより、4つの100Gチャネルを束ねて400Gを実現できるようになり、クラウド事業者のデータセンターで広く使われるようになった。消費電力も8〜10ワットに抑えられた。そして2023年からは「800Gの商用化」が始まり、8つの100Gチャネルを使うアーキテクチャが主流となり、3ナノメートル(nm)という非常に微細な半導体チップ(DSPチップ)が使われるようになった。LPO(Linear Pluggable Optics)という技術の登場により、遅延が30%削減され、消費電力の効率も向上した。さらに2025年以降は「1.6Tの登場」が予測されており、これは8つの200Gチャネルを使用し、CPO(Co-packaging)技術が導入されることで、さらなる高速化と効率化が実現される見込みだ。

このような超高速光モジュールの進化は、AIの発展と深く結びついている。AIの学習や推論には膨大な計算能力が必要で、データセンターは従来の汎用コンピューティングからAIに特化したインテリジェントコンピューティングへと変貌を遂げている。2023年には世界のインテリジェントコンピューティング能力が335EFLOPS(エクサフロップス)に達し、その成長率は136%と、汎用コンピューティングの24%を大きく上回る。この急激な成長は、データセンター内での通信帯域に対する爆発的な要求と、サーバーの消費電力の大幅な増加を招いている。従来の100Gや400Gの光モジュールでは、毎秒数百テラバイトにも及ぶAIクラスター間のデータ交換に対応することが難しくなってきたため、800Gや1.6Tの光モジュールが必要不可欠となった。

800Gおよび1.6T光モジュールの最大の価値は、通信速度のボトルネックを解消しつつ、エネルギー効率も最適化できる点にある。800Gソリューションは、QSFP-DDやOSFPといった形状で提供され、8つの並列チャネルで800Gbpsの速度を実現し、LPO技術と組み合わせることで消費電力を30%削減する。MetaやGoogleといった大手データセンターで既に大規模に導入されている。次世代の標準となる1.6Tモジュールは、200G/チャネルのシリコンフォトニクス集積技術と3nmのDSPチップを採用し、OSFP-XDという形状に対応しながら、合計で1600Gbpsの速度を実現し、ラックレベルで100Tbpsのスイッチング能力をサポートする。この技術進化は、世界的なコンピューティングインフラへの投資増大と同期しており、データセンターのコスト削減と効率向上、さらにはAIクラスターの円滑な拡張に貢献する。

800G/1.6Tモジュールの技術的アーキテクチャは、主に3つの革新的な技術を中心に構築されている。一つ目は「DSP(デジタル信号処理)」だ。これは高速な信号の品質を維持するために不可欠な技術で、PAM4変調のような複雑な信号を扱い、光ファイバー内で発生する信号の劣化を補正する役割を担う。二つ目は「LPO(Linear Pluggable Optics)」技術である。AIにおける低遅延なデータ転送の要求に応えるため、DSPチップを省略し、代わりにリニアドライバーやTIA(トランスインピーダンスアンプ)チップをスイッチのASIC(特定用途向け集積回路)に直接統合する。これにより、消費電力を40〜50%削減し、エンドツーエンドの遅延を2ナノ秒未満に抑えることができる。三つ目は「Co-Package Design(コパッケージング)」技術だ。これは、光モジュールの部品をスイッチチップのすぐ隣、あるいはチップ内部に組み込むことで、電気信号の伝送距離を劇的に短縮する技術である。NVIDIAのSpectrum-Xプラットフォームでは、1.6Tのシリコンフォトニクスエンジンがスイッチチップ内部に組み込まれ、電気配線の長さを従来の10cmから1cm未満に短縮し、信号損失を22dBから4dBへと大幅に削減している。これにより、より高速な信号伝送が可能になる。これらの技術はそれぞれ、長距離通信、省エネなAIクラスター、超高密度システムといった異なるニーズに対応している。

光モジュールの物理的な形状(フォームファクタ)の選択も重要である。800G/1.6Tの導入では、「QSFP-DD」と「OSFP」の二つの主流がある。QSFP-DDは既存の400Gインフラとの互換性を持つが、消費電力が14ワットを超えると熱放散に課題が生じるため、20ワット以上を必要とする1.6Tモジュールには不利となる。一方、OSFPはより広い筐体と統合されたヒートシンク(放熱板)を持ち、18ワットでも安定して動作できる。この熱管理の優位性から、GoogleやAlibabaなどのハイパースケールデータセンターは、1.6Tの8×200G構成を実現するOSFP-XD(eXtra Dense)の採用を進めている。OSFP-XDはCPO技術との統合も容易であり、AIクラスターで求められる超低遅延を実現するために重要な要素となる。

光ファイバーの種類も、伝送距離とコストに応じて選択される。主に「シングルモードファイバー(SMF)」と「マルチモードファイバー(MMF)」がある。短距離伝送、例えばラック内のAI GPUクラスター間接続には、マルチモードファイバーを使う「SR8(Short Reach 8-lane)」が適している。これは8つの100G PAM4チャネルを850nmのVCSEL(面発光レーザー)で伝送し、100mまでの距離に対応する。一方、2kmから10kmといった長距離伝送には、シングルモードファイバーを使う「FR4/LR4」が使われる。これらは1310/1550nmのEML(電気吸収型変調レーザー)を使用し、波長分割多重(WDM)という技術で複数の波長の光を一本のファイバーで送る。データセンター間接続(DCI)やメトロネットワークで重要な役割を果たす。

800G/1.6Tの光モジュールは、AI/MLクラスターにおけるGPU間の相互接続、ハイパースケールデータセンターやクラウドネットワークの高速化、そして5G-Advancedやエッジコンピューティングのインフラといった多様な分野で導入が進んでいる。AIの学習効率を高めるためには、GPU間の高速でロスレスな通信が不可欠であり、800GモジュールはInfiniBandやRoCEネットワークで利用され、大規模モデルのパラメータ同期効率を大幅に向上させる。データセンターでは、800Gモジュールにより100T以上のスイッチング容量が実現され、AWSやGoogleのようなクラウドサービスプロバイダーの拡張ニーズを満たす。また、5G基地局間の高速バックホールやエッジコンピューティングにおける低遅延接続にも貢献している。

しかし、これらの高速光モモジュールの導入には課題も存在する。一つは「熱管理」だ。モジュールが高密度に配置されると温度が上昇し、安定した動作のためには70℃以下に保つ必要がある。このため、マイクロチャネル液冷や熱電冷却(TEC)といった高度な冷却技術が必要となる。もう一つの課題は「コスト」である。800Gモジュールの価格は400Gモジュールの2〜3倍だが、シリコンフォトニクス技術による集積化や大量生産の最適化により、徐々に価格は低下していく見込みである。ユーザーは実際の要件に基づいて、伝送距離やパッケージングの種類を慎重に選択する必要がある。

将来のトレンドとして、LPOやCPOといった技術のさらなる進化が期待されている。LPOはDSPを簡素化することで消費電力を30%削減し、短距離・高速な用途に適している。CPOはNVIDIAが2026年に3.2TのCPOスイッチを計画しているように、より高い集積度へと進化している。市場予測では、2026年にはハイパースケールデータセンターのポートの30%をCPOが占めるとされており、短中期的に見ても800G/1.6Tのプラガブルモジュールは年間40%以上の複合成長率で市場を支配すると予測されている。

800Gと400Gの大きな違いは、帯域幅の密度である。800Gは8つの100Gチャネルで構成され、400Gの2倍の速度を持つため、AI学習におけるGPU間の高頻度なパラメータ同期に適している。ただし、800Gは平均12ワット、400Gは7ワットと消費電力が高くなるため、より高度な冷却が必要となる。1.6Tモジュールは800Gの進化版であり、8×200G PAM4変調をサポートし、単一チャネル速度が200Gbpsに達する。3nmのDSPチップとシリコンフォトニクス集積技術により、レーザーや変調器、検出器を一つのチップに統合し、モジュール体積を30%削減する。800Gは5nm DSPと従来のハイブリッドパッケージが主流である。現状、1.6Tモジュールは消費電力とコストが高いが、今後最適化が進む。

CPOと従来のプラガブルモジュールは、長期的には共存すると考えられる。CPOは、OpenAIのDGX SuperPODのような超大規模なAIクラスター構築において、スイッチとGPU間のチップレベルでの相互接続が必要な場合に優位性を持つ。CPOは電気信号経路をセンチメートルからミリメートルレベルに短縮し、SerDesの消費電力を35%削減し、3.2Tのスイッチング能力をサポートする。一方、プラガブルモジュールは、柔軟性と互換性に優れており、オンラインでのホットスワップ(稼働中の交換)や迅速なアップグレードが可能である。データセンターの拡張時にスイッチを交換することなく光モジュールだけを交換できる利便性があり、エッジコンピューティングや企業キャンパスのような多様な環境に適している。

関連コンテンツ

関連IT用語

関連ITニュース