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ISMバンド(アイエスエムバンド)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

ISMバンド(アイエスエムバンド)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ISMバンド (アイエスエムバンド)

英語表記

ISM band (アイエスエムバンド)

用語解説

ISMバンドとは、Industrial, Scientific, and Medical bandの略称であり、日本語では「産業・科学・医療用バンド」と訳される、無線通信で利用できる特定の周波数帯域を指す。この周波数帯の最大の特徴は、総務省からの無線局免許を取得することなく、一定の条件下で自由に利用できる点にある。本来、電波は有限かつ公共の資源であるため、その利用には免許が必要となるが、ISMバンドは例外的に開放されている。これにより、Wi-FiやBluetooth、各種センサーネットワークなど、私たちの生活に不可欠な多くの無線通信技術が手軽に開発・利用できるようになった。ただし、自由である代わりに、送信出力が法律で厳しく制限されており、他の通信との干渉を許容しなければならないという制約も存在する。

ISMバンドには複数の周波数帯が存在し、国や地域によって割り当てが異なる場合があるが、代表的なものとして920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯が挙げられる。それぞれの周波数帯には異なる物理的特性があり、用途に応じて使い分けられている。

920MHz帯は、日本国内でIoT(Internet of Things)用途に割り当てられた比較的新しい周波数帯である。Sub-GHz(サブギガヘルツ)帯とも呼ばれ、2.4GHz帯や5GHz帯に比べて周波数が低い。周波数が低い電波は、伝搬損失が少なく、障害物を回り込みやすい性質を持つため、より遠くまで届きやすいという利点がある。この特性を活かし、スマートメーターの自動検針、工場の機器監視、農業分野での環境センサーなど、広範囲に散在するデバイスから少量のデータを収集するLPWA(Low Power Wide Area)通信で広く利用されている。

2.4GHz帯は、世界的に最も広く普及しているISMバンドである。Wi-Fi(IEEE 802.11b/g/n)、Bluetooth、ZigBeeといった無線通信規格のほか、コードレス電話やワイヤレスマウス、そして電子レンジなど、多種多様な機器がこの周波数帯を利用している。世界共通で利用できるため、グローバルに展開される製品で採用されやすいというメリットがある。しかし、その反面、非常に多くの機器が密集して利用するため、電波干渉が発生しやすいという大きな課題を抱えている。例えば、Wi-Fi通信中に電子レンジを使用すると通信速度が低下したり、接続が不安定になったりするのは、両者が同じ2.4GHz帯の電波を利用しているために起こる干渉が原因である。

5GHz帯は、主に高速なWi-Fi通信(IEEE 802.11a/n/ac/ax)で利用される周波数帯である。2.4GHz帯に比べて利用可能なチャネル数が多く、他の機器との干渉が少ないため、より高速で安定した通信が可能となる。動画ストリーミングやオンラインゲームなど、大容量のデータ通信に適している。ただし、2.4GHz帯の電波に比べて直進性が強く、壁や床などの障害物に弱いという特性を持つため、通信距離が短くなる傾向がある。また、5GHz帯の一部は気象レーダーや航空レーダーでも使用されているため、これらの優先業務に干渉を与えないよう、レーダー波を検知した際に自動的にチャネルを変更するDFS(Dynamic Frequency Selection)という機能の実装が義務付けられている帯域も存在する。

システムエンジニアがISMバンドを利用するシステムを設計・構築する際には、これらの特性と制約を深く理解しておく必要がある。免許不要で手軽に導入できる反面、通信品質は保証されない「ベストエフォート」型の通信であることを前提としなければならない。特に2.4GHz帯のように混雑した周波数帯では、予期せぬ電波干渉による通信障害のリスクを常に考慮する必要がある。そのため、導入前のサイトサーベイ(電波環境調査)による適切なチャネル設計や、干渉源となりうる機器の配置への配慮が重要となる。また、日本国内でISMバンドを利用する無線機器を使用するには、その機器が電波法で定められた技術基準に適合していることを証明する「技術基準適合証明(技適マーク)」を取得している必要がある。このマークがない海外製の無線機器などを無許可で使用することは違法行為となるため、機器選定の際には必ず確認しなければならない。このように、ISMバンドは現代のワイヤレス社会を支える基盤技術であるが、その利便性の裏にある技術的・法規的な制約を正しく理解し、適切に活用することが求められる。

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