JSONファイル(ジェイソンファイル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
JSONファイル(ジェイソンファイル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ジェイソンファイル (ジェイソンファイル)
英語表記
JSON file (ジェイソンファイル)
用語解説
JSONファイルとは、JavaScript Object Notationの略称であるJSON形式で記述されたテキストファイルである。主に、異なるシステム間でデータを交換する際のフォーマットとして広く利用されている。特にWebアプリケーションにおいて、サーバーとクライアント(Webブラウザなど)がデータをやり取りする際に標準的に用いられる。JSONの最大の特徴は、人間にとって読み書きが容易であり、同時にコンピュータにとっても解釈や生成が容易である点にある。このシンプルさと汎用性の高さから、API(Application Programming Interface)のレスポンス形式や、アプリケーションの設定情報の記述、ログデータの保存など、多岐にわたる用途で活用されている。ファイル拡張子は「.json」が一般的に使用される。
JSONのデータ構造は、二つの基本要素から構成される。一つは「オブジェクト」、もう一つは「配列」である。オブジェクトは、キーと値のペアの集合であり、波括弧 {} で囲んで表現する。キーは必ずダブルクォーテーション " で囲まれた文字列でなければならず、値との間はコロン : で区切られる。複数のキーと値のペアを記述する場合は、カンマ , で区切る。例えば、個人の情報を表現する場合、{"name": "Taro Yamada", "age": 30}のように記述する。この例では、「name」と「age」がキーであり、「Taro Yamada」と30がそれぞれの値にあたる。
もう一つの基本要素である配列は、順序付けられた値のリストであり、角括弧 [] で囲んで表現する。配列に含まれる各値はカンマ , で区切られる。例えば、複数のプログラミング言語スキルを表現する場合、["Java", "Python", "JavaScript"]のように記述する。オブジェクトと配列は、それぞれの値として互いを入れ子にすることができる。これにより、複雑な階層構造を持つデータを柔軟に表現することが可能となる。例えば、ユーザー情報オブジェクトの値として、住所情報を格納したオブジェクトや、スキルリストを格納した配列を含めることができる。
JSONで扱うことができる値のデータ型には、いくつかの種類がある。文字列はダブルクォーテーションで囲まれたテキストであり、数値は整数や浮動小数点数を含む。ブーリアンは、真偽を表すtrueまたはfalseのいずれかの値を取る。そして、前述のオブジェクトと配列も値として使用できる。また、値が存在しないことを明示的に示すためのnullという特別な値も定義されている。これらの基本的なデータ型を組み合わせることで、多様なデータを構造化して表現できる。
JSONは、かつてデータ交換フォーマットの主流であったXML(eXtensible Markup Language)としばしば比較される。XMLも階層構造を持つデータを表現できる強力なフォーマットであるが、JSONはそれに比べて記述が簡潔で冗長性が少ないという利点を持つ。そのため、同じ内容のデータでもJSONの方がファイルサイズが小さくなる傾向があり、ネットワーク経由でのデータ転送効率が良い。また、JSONはJavaScriptのオブジェクトリテラル記法を基にしているため、特にJavaScriptとの親和性が非常に高い。Webブラウザ上で動作するJavaScriptでは、JSON形式のデータを特別なライブラリなしで容易にオブジェクトに変換して扱うことができる。この点が、Web開発においてJSONが広く普及した大きな要因の一つである。
一方で、JSONを利用する際にはいくつかの注意点も存在する。第一に、JSONの仕様ではコメントを記述することができない。設定ファイルなど、注釈を加えたい場面では不便に感じることがある。第二に、構文が非常に厳格であることだ。キーは必ずダブルクォーテーションで囲む必要があり、シングルクォーテーションは許されない。また、オブジェクトや配列の最後の要素の後にカンマを付ける、いわゆる「末尾カンマ」は構文エラーとなる。このような厳密なルールを守らないと、プログラムで正しく解析することができない。さらに、日付や時刻を直接表現するための専用のデータ型が存在しないため、一般的には国際標準規格であるISO 8601形式の文字列や、UNIXタイムスタンプのような数値で代用する必要がある。
これらの特性を理解した上で、JSONファイルは現代のシステム開発において不可欠な技術要素となっている。その軽量さ、可読性、そして多くのプログラミング言語でサポートされている汎用性により、データ交換フォーマットのデファクトスタンダードとしての地位を確立している。システムエンジニアを目指す者にとって、JSONの構造とルールを正確に理解し、適切に扱える能力は必須のスキルであると言える。