Large LBA(ラージエルビーエイ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Large LBA(ラージエルビーエイ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

ラージエルビーエー (ラージエルビーエー)

英語表記

Large LBA (ラージエルビーエイ)

用語解説

Large LBAとは、コンピュータのストレージデバイス、特にハードディスクドライブやSSDなどの記憶領域を管理するためのアドレス指定方式の一つであり、その中でも特に大容量ストレージに対応するために拡張されたLBA(Logical Block Addressing)のことである。これは、かつて主流であった28ビットLBAのアドレス空間の限界を突破し、テラバイト(TB)級、さらにはペタバイト(PB)級の大容量ストレージを扱えるようにするために開発された技術である。システムエンジニアを目指す上で、ストレージの基礎を理解する上で避けて通れない重要な概念の一つと言える。

コンピュータはストレージデバイス上のデータを読み書きする際、そのデータがどこに保存されているかを正確に知る必要がある。LBAとは、この保存場所を論理的なブロック番号で指定する方式であり、ストレージを最小のデータ単位である「セクタ」の集合体と見なし、最初のセクタを0番、次のセクタを1番というように、0から順に連続した番号を振っていく。この方式は、ストレージの物理的な構造(シリンダ、ヘッド、セクタ数など)を意識することなく、シンプルにデータを管理できるため、現在のほとんどのストレージデバイスで標準的に採用されている。

しかし、このLBA方式にも初期の頃には限界があった。ATA(Advanced Technology Attachment)インターフェースが初めて登場した際に導入されたLBAは、アドレス指定に28ビットのデータ幅を使用していた。この28ビットLBAで指定できるセクタの最大数は2の28乗、つまり約2億6800万セクタとなる。当時の標準的なセクタサイズは512バイトであったため、28ビットLBAで扱える最大容量は、約2億6800万セクタ × 512バイト/セクタ = 約137ギガバイト(GB)となる。137GBという容量は、1990年代後半から2000年代初頭にかけては十分な容量と考えられていたが、コンピュータ技術の急速な進歩とデータ量の爆発的な増加に伴い、ストレージの大容量化は目覚ましく進んだ。数年と経たずに、ハードディスクドライブは137GBの壁に直面し、それ以上の容量を持つ製品が開発されても、28ビットLBAの制約によりその全容量を利用できないという問題が発生したのである。

この28ビットLBAの容量制限を打破するために考案されたのが、Large LBA、具体的には「48ビットLBA」である。48ビットLBAは、ATA/ATAPI-6規格で導入され、アドレス指定に48ビットのデータ幅を使用することで、格段に広いアドレス空間を提供した。48ビットで指定できるセクタの最大数は2の48乗、つまり約281兆セクタとなる。これを512バイト/セクタで計算すると、約144ペタバイト(PB)という膨大な容量を扱えるようになる。1PBは1024TBに相当するため、48ビットLBAは当時の、そして当面の間予想されるであろうストレージ容量の増加に十分対応できるものとなった。これにより、システムは物理的な容量が137GBを超えるハードディスクドライブやSSDを正しく認識し、その全容量を利用してデータを保存できるようになる。

48ビットLBAをサポートするためには、単にストレージデバイスが対応しているだけでは不十分であり、コンピュータシステム全体がこの新しいアドレス方式を理解し、利用できる必要がある。具体的には、ストレージデバイス自体が48ビットLBAをサポートしていることはもちろん、デバイスとコンピュータ本体を接続するインターフェースコントローラ(チップセット)、コンピュータの起動時にハードウェアを初期化するBIOS(Basic Input/Output System)またはUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)、そしてOS(Operating System)およびそのデバイスドライバが全て48ビットLBAに対応していなければならない。これらの要素のいずれか一つでも対応していない場合、たとえ大容量ストレージを接続したとしても、システムはそれを正しく認識できなかったり、認識できたとしても137GB(またはそれに近い値)までしか利用できなかったりする状況が発生した。たとえば、古いBIOSを搭載したマザーボードに大容量HDDを接続した場合、BIOSがHDDの全容量を認識できず、OSもその情報を引き継いでしまうため、結果として一部の領域しか使えないといった問題が生じたのである。

現在では、ほとんどの現代的なOS、BIOS/UEFI、およびハードウェアは48ビットLBAを標準でサポートしており、ユーザーが意識することなくテラバイト級の大容量ストレージを利用できるようになっている。しかし、古いシステムを扱ったり、特定の組み込みシステムでストレージを導入したりする際には、このLarge LBAの概念とその互換性が依然として重要となる場合がある。ストレージ技術は常に進化を続けているが、48ビットLBAが提供する約144PBというアドレス空間は、現在のところ、一般的な用途では十分な余裕があると言える。将来的にはさらに広大なアドレス空間が必要になる可能性もゼロではないが、現在のストレージ容量の進化速度を考えると、48ビットLBAは長期にわたってその役割を果たすと予想されている。システムエンジニアにとって、過去の技術的な制約とそれを乗り越えるための進化の過程を理解することは、将来の技術選択やトラブルシューティングにおいて貴重な知見となる。

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