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NetWare(ネットウェア)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

NetWare(ネットウェア)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ネットウェア (ネットウェア)

英語表記

NetWare (ネットウェア)

用語解説

NetWareは、米Novell社によって開発されたネットワークオペレーティングシステム(NOS)だ。1980年代中盤から1990年代にかけて、ローカルエリアネットワーク(LAN)環境におけるファイルサーバー、プリントサーバーとして、その分野の事実上の標準(デファクトスタンダード)として広く普及した。当時の企業ネットワークにおいては、PC同士がファイルを共有したり、複数のPCから一台のプリンターを共有したりするニーズが高まっており、NetWareはその中心的な役割を担っていた。TCP/IPプロトコルがまだ一般的でなかった時代に、独自開発のIPX/SPXプロトコルを基盤として、安定した高性能なネットワークサービスを提供した点が大きな特徴である。

NetWareの歴史は、1983年にNovell Data Systemsが立ち上げたサーバー製品「ShareNet」に遡る。これが後に「NetWare」へと発展し、特に1980年代後半から1990年代にかけて、パーソナルコンピューターの普及とイーサネットなどのLAN技術の成熟期と重なり、急速にそのシェアを拡大した。当時の企業環境では、PCがスタンドアロンで利用されるか、メインフレームコンピューターに接続されるのが一般的だったが、NetWareはPCベースの安価なサーバーとクライアントPCを組み合わせることで、手軽にファイル共有やプリンター共有ができる環境を提供し、組織内の情報共有を飛躍的に効率化した。

NetWareの核となる機能は、安定性と高速性を追求したファイル共有サービスとプリント共有サービスだった。特にファイルI/O(入力/出力)の性能は高く評価されており、複数ユーザーが同時にファイルにアクセスしたり、ファイルを共有したりする際の排他制御も堅牢に実装されていた。プリントサービスでは、ネットワーク上のプリンターリソースを一元管理し、クライアントPCから簡単に共有プリンターを利用できる環境を提供した。

NetWareの最も画期的な機能の一つが、ディレクトリサービスである「NetWare Directory Services (NDS)」だ。これは後に「eDirectory」と名称を変え、NetWare以外の環境でも利用されるようになった。NDSは、ネットワーク上に存在するユーザーアカウント、グループ、サーバー、プリンター、アプリケーションといったあらゆるリソースを、論理的なツリー構造で一元的に管理する仕組みである。これにより、管理者はネットワーク全体のリソースを単一のポイントから管理でき、ユーザーはネットワーク上のどこからでも一度の認証で様々なサービスにアクセスできる、いわゆるシングルサインオンの概念を早期に実現した。これは、当時主流だったワークグループモデルのネットワーク管理とは一線を画すものであり、大規模なネットワーク環境における管理の複雑さを大幅に軽減する画期的な技術だった。

ネットワークプロトコルに関しては、NetWareは当初から独自の「IPX/SPX (Internetwork Packet Exchange/Sequenced Packet Exchange)」プロトコルを基盤としていた。これは、TCP/IPがまだ商用ネットワークで広く採用される前の時代において、NetWareが高速かつ効率的なデータ通信を実現するために開発されたものだ。IPX/SPXは、ネットワークのオーバーヘッドが小さく、ルーティング機能も持っていたため、複数のネットワークセグメントをまたぐ通信も可能だった。しかし、インターネットの普及とともにTCP/IPが標準プロトコルとしての地位を確立していく中で、NovellもNetWareにTCP/IPサポートを導入し、最終的にはTCP/IPベースでの運用が主流となった。このプロトコル移行は、NetWareの普及期から衰退期にかけて重要な要素となった。

NetWareは、専用のカーネル上で動作するネットワークOSであり、Windows NT Serverのように汎用OSの上にネットワークサービスが載っているわけではない点が特徴だった。サーバーの機能を拡張するには、「NetWare Loadable Module (NLM)」と呼ばれるモジュールをロードする方式を採用しており、これによりシステムを停止させることなく機能を追加・削除できる柔軟性を持っていた。この専用OSとしての設計は、当時のOSとしては非常に高い安定性とパフォーマンスを実現していた。

しかし、1990年代後半に入ると、NetWareの優位性は徐々に失われていく。最大の競合は、Microsoftがリリースした「Windows NT Server」シリーズ、そして後に続く「Windows 2000 Server」だった。Windows NT Serverは、Windowsクライアントとの高い親和性、使いやすいグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)による管理、そして「Active Directory」というNetWare Directory Servicesに類似したディレクトリサービスの登場により、NetWareの市場を急速に侵食していった。特にActive Directoryは、TCP/IPを前提とした設計であり、インターネットの普及と歩調を合わせて広まった。

NetWareは、専用OSとしての高いパフォーマンスと安定性を誇っていたものの、Windows NT Serverが提供する総合的なプラットフォームとしての魅力、特にクライアントOSとのシームレスな連携、そしてTCP/IPベースのエコシステムの拡大には抗しきれなかった。また、LinuxなどのオープンソースOSがサーバー市場に参入してきたことも、NetWareのシェアを低下させる要因となった。Novell自身も、企業戦略の転換や、NetWare以外の製品群への注力などにより、NetWareの開発やサポート体制は縮小していった。

このように、NetWareは1980年代から1990年代にかけてネットワークOSのデファクトスタンダードとして君臨し、企業ネットワークの基盤を築いた画期的な製品だった。しかし、時代の変化とともに求められる要件や技術トレンドが移り変わり、TCP/IPとWindowsエコシステムが主流となる中で、その役割を終え、現在ではほとんど利用されることはなくなった。NetWareの歴史は、IT業界における技術の進化と市場競争の厳しさを物語るものと言えるだろう。

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