NI(エヌアイ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
NI(エヌアイ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
エヌアイ (エヌアイ)
英語表記
NI (エヌアイ)
用語解説
「NI」とは、主に「National Instruments(ナショナルインスツルメンツ)」の略称として用いられる。National Instrumentsは、アメリカ合衆国テキサス州オースティンに本社を置く、計測、制御、およびテスト用のシステムソリューションを提供する多国籍企業である。特に、ソフトウェア定義の計測器や制御システムに強みを持ち、工学分野における様々な課題解決に貢献している。システムエンジニアを目指す初心者にとって、NI製品は製造業や研究開発といった分野のシステム構築において重要な役割を果たすため、その概要と具体的な技術について理解しておくことは非常に有益である。
National Instrumentsの提供するソリューションは、主にグラフィカルプログラミング環境である「LabVIEW(ラボビュー)」ソフトウェアと、各種ハードウェアを組み合わせることで実現される。LabVIEWは、C言語やPythonのようなテキストベースのプログラミング言語とは異なり、直感的なアイコンとワイヤを使ってプログラムを作成する点が特徴である。これにより、データ収集、計測器制御、データ解析、自動テスト、監視・制御システム構築といった幅広いアプリケーションを、プログラミングの専門知識がそれほどないユーザーでも比較的容易に開発できる環境を提供している。NIの技術は、製品の研究開発から製造ラインのテスト、品質管理、さらには教育現場に至るまで、多岐にわたる産業分野で活用されている。
詳細に入ると、National Instrumentsは1976年に設立され、初期は大学の研究室向けに汎用インターフェースバス(GPIB)制御機器を提供していた。その後、パーソナルコンピュータ(PC)の普及とともに、PCをベースとした計測器の開発に注力し、現在のソフトウェア定義の計測・制御システムへと発展させてきた。その中心にあるのがLabVIEWである。LabVIEWは「仮想計測器(Virtual Instrument, VI)」という概念を提唱し、物理的な計測器の機能をソフトウェア上で再現・拡張することを可能にした。これにより、ユーザーは独自の計測器をPC上で構築し、既存の計測器では実現できないような柔軟な機能やカスタマイズ性を享受できるようになった。
LabVIEWは、データ収集(DAQ)デバイスとの連携において特にその真価を発揮する。NIのDAQデバイスは、電圧、電流、温度、圧力、歪みなどの物理量をセンサーから受け取り、それをデジタルデータに変換してPCに取り込むためのハードウェアである。LabVIEWを用いることで、これらのDAQデバイスから取り込んだデータをリアルタイムで表示、記録、解析し、さらにその結果に基づいて制御信号を出力するといった一連の処理を容易にプログラミングできる。例えば、製造ラインでの製品テストにおいて、複数のセンサーから得られたデータを同時に監視し、異常値を検知した場合には自動でラインを停止させるといった複雑な自動化システムを構築することが可能である。
また、NIは高性能な計測器制御のプラットフォームも提供している。例えば、PXI(PCI eXtensions for Instrumentation)プラットフォームは、高精度なモジュール型計測器をPCベースのシステムに統合するための業界標準規格である。PXIシャーシに様々な機能を持つモジュール(オシロスコープ、任意波形発生器、デジタルマルチメータなど)を挿入し、LabVIEWからそれらを統合的に制御することで、非常に高度で柔軟な自動テストシステムを構築できる。これにより、半導体テスト、無線通信機器テスト、自動車の電子制御ユニット(ECU)テストなど、要求の厳しいアプリケーションで高い性能と信頼性を提供している。
さらに、NIはリアルタイムシステムやFPGA(Field-Programmable Gate Array)ベースのソリューションも提供しており、これらは高い信頼性と決定論的な制御が求められる組込みシステムや、非常に高速な信号処理が必要なアプリケーションで活用される。リアルタイムOSを搭載したコントローラとLabVIEW Real-Timeモジュールを組み合わせることで、OSのスケジューリングに影響されずに常に同じ時間で処理を実行するシステムを構築できる。また、FPGAはハードウェアレベルでの並列処理を可能にし、ミリ秒以下の高速な制御ループやカスタムデジタル信号処理を実現するために用いられる。
システムエンジニアがNI製品に関わる機会としては、特に製造業における生産ラインの自動化、製品の品質検査システム、研究開発施設でのデータ取得・分析システムの構築などが挙げられる。NIのプラットフォームは、センサーからのデータ収集から、そのデータの解析、さらにはアクチュエータへの制御信号出力までを一貫して扱うことができるため、物理的な世界とデジタルの世界を結びつけるインターフェースとして機能する。システムエンジニアは、顧客の要件に応じて、これらのNI製品を既存のITシステム(データベース、MES/ERPシステム、クラウドサービスなど)と連携させることで、より大規模かつ統合的なソリューションを設計・構築する役割を担うことがある。例えば、LabVIEWで取得した計測データをSQLデータベースに保存したり、Webインターフェースを通じて遠隔地からシステムを監視・操作したりするような開発である。
したがって、システムエンジニアを目指す者は、NIが提供するグラフィカルプログラミングの概念、データ収集・制御ハードウェア、およびそれらが産業界でどのように活用されているかを理解することで、将来的に関わるであろう幅広いプロジェクトに対応できる可能性を高めることができる。特に、IoT(Internet of Things)やインダストリー4.0といった潮流の中で、物理世界からのデータ収集と分析、そしてそれに基づく自律的な制御の重要性が増している現代において、NIの技術はさらにその価値を高めていくと予想される。