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pps(ピーピーエス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

pps(ピーピーエス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

パケット毎秒 (パケットマイビョウ)

英語表記

packets per second (パケットパーセカンド)

用語解説

ppsは「packets per second」の略であり、1秒間に処理できるパケット数を表す指標である。ネットワーク機器、特にルータやスイッチ、ファイアウォールといったデバイスの性能を示す上で非常に重要な概念であり、システムエンジニアを目指す上でその意味と役割を正確に理解することは必須となる。bps(bits per second)が1秒間に転送できるデータ量を示すのに対し、ppsは1秒間に転送できるデータのかたまり(パケット)の数を示す点が大きく異なる。

ネットワークでは、すべてのデータは「パケット」と呼ばれる小さな単位に分割されて送受信される。ウェブページの閲覧、メールの送受信、ファイルのダウンロード、動画ストリーミングなど、どのような通信であっても、データは複数のパケットに分割され、それぞれに送信元や宛先、データの種類などの情報が記載されたヘッダが付加されて伝送される。ネットワーク機器は、これらのパケット一つ一つを受信し、ヘッダ情報を解析してどこへ転送すべきか判断したり、セキュリティポリシーに基づいて通過させるかどうかを決定したり、データの優先順位をつけたりといった様々な処理を行う。ppsは、このような個々のパケットに対する処理能力、つまり機器がどれだけ多くのパケットを効率的にさばけるかを示す直接的な指標となるのである。

ppsが重要な理由はいくつかある。まず、ネットワーク機器の性能評価に不可欠である。高機能なルータやスイッチは、単に高速なデータ転送(高bps)を実現するだけでなく、同時に多数のパケットを高速に処理(高pps)できる能力が求められる。特にデータセンターや大規模な企業ネットワークでは、膨大な数のユーザーからのアクセスや多様なアプリケーションの通信が同時に発生するため、個々のパケットを迅速に処理するpps性能がネットワーク全体の応答性や安定性に直結する。次に、ネットワークのボトルネックを特定する際にもppsは役立つ。もしネットワークが遅延している場合、特定の機器のpps処理能力が限界に達し、パケットロス(パケットが処理しきれずに破棄されること)が発生している可能性がある。このppsの監視を通じて、どの機器がトラフィック処理の妨げになっているかを特定し、適切な対策を講じることが可能になる。さらに、セキュリティ対策においてもppsの監視は有効である。例えば、分散型サービス拒否(DDoS)攻撃の一種であるSYN Flood攻撃などは、大量の小さな偽パケットを送りつけることで、ネットワーク機器のpps処理能力を飽和させ、正常な通信を妨害しようとする。不審なppsの急上昇を検知することで、このような攻撃の兆候を早期に捉え、防御措置を講じることが可能となる。

pps性能に影響を与える要因は複数存在する。最も大きな要因の一つはパケットサイズである。一般的に、ネットワーク機器は小さなパケットを処理する方が、同じデータ量(bps)を転送するのに多くのパケット処理回数を必要とするため、より高いpps能力が求められる。例えば、1Gbpsの回線で最大サイズ(約1500バイト)のパケットを転送する場合と、最小サイズ(64バイト)のパケットを転送する場合では、後者の方が圧倒的に多くのパケット数を処理しなければならない。そのため、機器のカタログスペックには、通常、最小パケットサイズ(64バイト)での最大pps値が記載されており、これがその機器の「純粋なパケット処理能力」を示す指標とされることが多い。また、パケット処理の複雑さもppsに影響する。単純にMACアドレスに基づいてパケットを転送するスイッチング処理と、IPアドレスに基づいてルーティング判断を行う処理、さらにファイアウォールのようなセキュリティポリシーを適用する処理、VPN暗号化/復号化処理、NAT(ネットワークアドレス変換)処理など、1パケットあたりの処理内容が複雑になるほど、同じ機器でもppsは低下する傾向にある。これは、複雑な処理ほどCPUや専用チップに大きな負荷がかかるためである。最後に、機器のハードウェアアーキテクチャもpps性能を左右する。汎用的なCPUとソフトウェアに依存する処理を行う機器と、ASIC(特定用途向け集積回路)のような専用ハードウェアで高速なパケット処理を行う機器では、後者の方が一般的に高いpps性能を発揮する。高性能なネットワーク機器は、ASICを利用してパケットの転送処理をハードウェアで高速に行うことで、高いppsを実現している。

ppsとbpsは密接に関連しているものの、異なる側面を示す指標である。bpsは「どれだけの量のデータ」を運べるか、つまり帯域幅の大きさを示す。一方、ppsは「どれだけ多くの個別のパケット」を処理できるか、つまり機器の処理能力の限界を示す。例えば、1Gbpsの帯域を持つネットワークインターフェースがあったとしても、もしそのインターフェースにつながる機器のpps性能が低ければ、多数の小さなパケットが高速に送られてきた場合、1Gbpsという帯域を使い切る前に、機器がパケットを処理しきれなくなり、パケットロスが発生する可能性がある。これは、たとえ道路(帯域幅)が広くても、信号機(機器の処理能力)がパケット(車)の交通量をさばききれない状態に例えることができる。したがって、ネットワークの設計や機器選定においては、最大bpsだけでなく、想定されるトラフィックの種類(大きなデータ転送が多いか、小さなパケットでのやり取りが多いか)を考慮し、pps性能も確認することが非常に重要となる。機器の仕様書には、一般的に最大bpsと、最小パケットサイズ(64バイト)での最大ppsが併記されており、これら二つの指標を総合的に評価することで、その機器がどのような環境で最大の性能を発揮できるかを判断できる。

このようにppsは、ネットワークの安定稼働、性能最適化、そしてセキュリティ維持において、基礎的かつ極めて重要な指標である。システムエンジニアとしてネットワークを設計、構築、運用、そしてトラブルシューティングする際には、常にppsの概念とその影響を意識することが求められる。

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